アメリカ経済 成長の終焉 上

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  • Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822255763

作品紹介・あらすじ

2012年に発表した「成長の終焉」論文で、アメリカ経済の成長率の鈍化と長期停滞入りを予言したロバート・ゴードンによる画期的なアメリカ経済史。上巻は、南北戦争後の1870年から第二次世界大戦中の1940年までを扱う。
下巻には齊藤誠一橋大学教授の解説を収録。

ロバート・ゴードンは本書で、富について――アメリカ人が過去にどのように富を創造し、享受してきたかを論じている。今後縮小するパイをどう分け合うかを議論するのではなく、さらに富を創出しようと思うのであれば、本書を読み、理解しなくてはならない。
――ピーター・ティール、起業家、投資家、『ゼロ・トゥ・ワン』の著者

アメリカの歴史を知るうえで欠かせない「生活水準」が余すところなく語られている本書は、興味が尽きない。ゴードンは、生き生きとした描写と印象的な統計で生活様式の変遷を浮き彫りにし、われわれは今後も引き続き満足な生活ができるのかを問いかける。その答えは意外なもので、将来の経済成長についての常識的な見方を覆す。比類ない画期的な書と言えよう。
――ロバート・ソロー、ノーベル経済学者

本書はきわめて重要な結論をもつ力作である。具体的な事実と深い洞察が満載で、ページをめくる手が止まらない。読者はわくわくしながら、新たな発見をすることになるだろう。奥深い内容でありながらも、じつに読みやすい。
――ジョージ・アカロフ、ノーベル経済学者

「本書では、アメリカの経済成長が著しく高まった一八七〇年から一九七〇年を「特別な世紀」として順を追ってみていくが、そこで取り上げる物語は世界共通のものである。あらゆる発明や改善が、とくに第二次大戦後の三〇年に、日本をはじめ世界各国に広がったからだ。一九九〇年以降の日本の経済成長率は、戦後の早い時期にくらべて見劣りするが、一九九〇年から二〇一六年の生産性の伸び率は、アメリカのそれと遜色ない。日本のみならず、アメリカや他の先進国も、過去にくらべて生産性の伸びは鈍化している。その理由は本書で詳述するが、現在進行中のイノベーションは、かつて電気や内燃エンジンなどを生み出した「大発明」にくらべて、生産性の伸びに与える影響が小さいためである。アメリカの成長を鈍化させる要因として本書で取り上げた逆風のうち、教育と格差について日本はアメリカほど深刻ではない。日本が抱える高齢化と人口減少の問題はたしかにアメリカよりも大きいが、それによる日本の財政の逆風は誇張されているふしがある。」
 ーー本書日本語版への序文より

感想・レビュー・書評

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  • 日本語版への序文

    アメリカ経済 成長の終焉
     序文

      第1章 はじめに 成長率の上昇と低下
       特別な世紀
       1970年以降 収穫逓減により進歩のペースは鈍化
       生活水準とその指標
       生活水準向上と生産性の伸びの乖離
       20世紀半ばに成長率がピークを迎えたのはなぜか
       範囲を設定する 本書が対象とする範囲と成果
        対象
        アプローチ
        発明と発明者
        本書の構成について
        生活水準の伸び率の上昇と低下
        過去と未来

     第1部 1870~1940年 大発明が家庭の内外に革命を起こす
      第2章 出発点 1870年の生活と仕事
       はじめに
       1870年のアメリカを象徴するゴールデン・スパイク
       1870年のアメリカの人口構成 自国生まれ、外国生まれ、出生率
       消費支出 いかにすれば、これほど少額で、これほど多くが暮らせたのか
       食料 何を食べ、どこで買っていたのか
       布、針、糸でつくる衣服
       アパート暮らしは稀
       応接間と使用人 最上層の暮らし
       鉄道、馬、埃 モノや人の移動
       娯楽 新聞から酒場まで
       食事、病気、汚染による死
       仕事 夫は暑さと汚さ、妻は単調な家事労働に耐え
       若者、児童労働、学校教育
       まとめ 現代アメリカの夜明け

      第3章 何を食べ、何を着ていたのか。どこで買っていたのか。
       はじめに 必需品
       意外なほど変化しない食費
       何を食べていたのか 単調な献立が多様に
       コーンフレークからケチャップまで 加工食品の台頭
       雑貨店からスーパーマーケットへ 食品はどのように売られていたのか
       敬遠される牛乳と肉 病気と汚染のジャングル
       小人の世代 なぜ身長は縮んだのか?
       針と糸を置く 市販の衣服の増加
       雑貨店から都会の高級デパートへ
       質問なしでの返金 カタログによる通信販売
       まとめ アメリカの成長の一部が統計から抜け落ちた可能性はあるか

      第4章 アメリカの住宅 暗く孤立した住宅から、明るくネットワーク化された住宅へ
       はじめに 住宅
       アメリカ人はどこに住んでいたのか 都市部の大きな変容
       住宅の進化 部屋数の減少と、それを上回る人数の減少
       都市の住宅 単身世帯向けで小型化したテネメント
       住宅の密集度 路面電車による拡大
       バンガロー(平屋)の流行 変化の象徴
       大都市と農場のあいだ 小さな町と中都市
       地方の農家住宅の変化 現代的な利便性の限界
       一回限りの変化の波 現代的な住宅の実現、1870年~1940年
       電化の奇跡 1940年までの照明と家電製品の急速な普及
       上水道と下水道 最大の革命?
       暖房 暖炉からセントラル・ヒーティングへ
       まとめ 住宅の変容

      第5章 馬と鉄道に代わる自動車 発明と漸進的な改良
       はじめに 輸送機関の長足の進歩
       都市内蒸気鉄道 経済発展の初期の原動力
       通勤列車、郊外の発達、馬に依存した都市
       馬に代わる乗り物へ ケーブルカー、路面電車、迅速な乗り換えが可能に
       自動車の登場 直接のメリット
       自動車の黎明期 価格の大幅な低下と品質の向上
       自動車と舗装道路 ニワトリと卵
       馬や公共交通機関に取って代わる自動車
       自動車が変えた農場や小さな町の生活
       自動車への移行の周辺効果
       まとめ 一回限りしか起こりえない革命

      第6章 電報からトーキーへ 情報、通信、娯楽
       はじめに
       新聞と雑誌 多数の読み物が流通する
       電信が商取引、輸送、ジャーナリズムをスピードアップ
       郵便がすべての農家のポストに
       「番号をお願いします」 電話の登場
       蓄音機 ボーモル病克服の第一歩
       ほぼすべての家庭に「世界」を届けたラジオ
       映画 五セント劇場から「風と共に去りぬ」へ
       まとめ 予言から70年後の現代へ

      第7章 不潔、残酷、短命 病気と早死
       はじめに
       空前絶後 改善の諸相、1870年~1940年
       清潔な水が来て、汚い水は出ていく 死亡率の低下の主因
       パスツールの病原菌理論と不純物から規制への移行
       薬局と医薬品流通における「西部(ワイルド・ウエスト)」の順化
       医師は何をしていたのか?
       病院 「貧困者の溜まり場」から病気の治療へ
       医学研究、医学校、医学の知識の変容
       患者は医療費をどのように支払ったのか
       事故と殺人による死亡
       あらゆる進歩のなかで最も価値が高いのか? 平均余命の伸びの価値
       まとめ

      第8章 職場と家庭の労働環境
       はじめに
       女性の労働参加率が上昇する一方、十代の若者と高齢者の労働参加率は低下
       労働 つらく退屈で危険で不安定
       一週間の労働 労働時間、労働日数の減少
       アメリカの農民 極端な気象、土壌の浸食、予想外の価格に翻弄される
       疾病、暑さ、危険 農場以外の労働環境
       労働災害による死傷 死亡、負傷、頻繁な失業
       家庭の外での女性の労働 職業差別、低賃金、反復作業
       家庭内女性の運命 孤立、洗濯がすべて
       進歩は実質賃金を押し上げたのか?
       教育の機会費用としての児童労働
       まとめ

      第9章 リスクを取る、リスクを緩和する 消費者信用、保険、政府
       はじめに
       農場および都市での借り入れ 消費者信用の初期の形態
       耐久消費財では、「今買って、支払いは後で」が主流に
       1920年代の住宅ブームと、それを生み出した住宅金融革命
       生命保険 最古の金融制度
       火災保険と自動車保険
       政府が経済成長を促進し、全体ではないにせよ一部のシステミック・リスクを軽減する
       まとめ

      第2部に向けて 革命から進化へ 20世紀半ばの変化
       1870年~1940年の革命的変化の範囲を捉えきれなかったGDPの計測
       成長ペースの鈍化と情報通信革命、1940年~2014年
       1970年以降の成長鈍化の特質
    Princeton University Press「The Rise and Fall of American Growth: The U.S. Standard of Living Since the Civil War」 2016年1月

  • 332.53||Go||1

  • 東2法経図・6F開架 332.53A/G67a/1/K

  • 【書誌情報】
    発行元 日経BP社
    発行日 2018年7月24日
    ISBN 9784822255763
    ページ数 548
    サイズ 4-6
    価格 3,888円
    原著者 ロバート・J・ゴードン
    https://shop.nikkeibp.co.jp/front/commodity/0000/P55760/

    【簡易目次】
    日本語版への序文
    序文

    第1章 はじめに ――成長率の上昇と低下

    第1部 一八七〇~一九四〇年 大発明が家庭の内外に革命を起こす
    第2章 出発点―― 一八七〇年の生活と仕事
    第3章 何を食べ、何を着ていたのか。どこで買っていたのか。
    第4章 アメリカの住宅――暗く孤立した住宅から、明るくネットワーク化された住宅へ
    第5章 馬と鉄道に代わる自動車――発明と斬新的な改良
    第6章 電報からトーキーへ ――情報、通信、娯楽
    第7章 不潔、残酷、短命――病気と早死
    第8章 職場と家庭の労働環境
    第9章 リスクを取る、リスクを緩和する――消費者信用、保険、政府

    第2部に向けて 革命から進化へ 二〇世紀半ばの変化

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