セゾン 堤清二が見た未来

著者 :
  • 日経BP社
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本棚登録 : 135
レビュー : 20
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822256050

作品紹介・あらすじ

無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、そして外食チェーンの吉野家ーー。
いずれも日々の生活でなじみのある企業であり、知名度の高いブランドだ。
これらの企業が、かつて同じグループに属していたことを、知らない世代が増えている。

これらはいずれも、堤清二という男が一代でつくり上げた「セゾングループ」という企業集団を構成していた。
小売業にとどまらず、クレジットカードや生命保険、損害保険などの金融業、ホテルやレジャー、食品メーカーまで、多様な事業を展開してきた。

一時はグループ約200社、売上高4兆円以上のコングロマリットを形成したセゾングループ。
かつてはスーパーを軸としたダイエーと並んで、二大流通グループとされていた。

2000年代、セゾングループは解体された。だがそれぞれの企業を見れば、堤が育てたセゾングループの価値がより鮮明に分かるはずだ。

例えば無印良品を展開する良品計画は、今では国内外で約900店を展開するグローバル企業に育っている。
ファミリーマートは海外約7000店を含む、約2万4000店の巨大チェーンに成長し、国内ではコンビニ業界2位となった。

現代の消費市場をリードするのは、米アマゾン・ドット・コムに代表されるIT企業だ。
インターネット通販やスマートフォンが爆発的に普及したことで、消費スタイルも根底から変わりつつある。
ものを所有しないシェア消費や個人間売買など、新たな流れが広がっている。

大きな変化が起こっているのは確かだが、人々の生活意識や買い物のスタイルがこれからどう変わっていくのかについては、企業も消費者も視界が晴れない。

そんな中で、堤とセゾングループがかつて持っていた特有のエネルギーを検証することは、未来の消費の行方を知る大きなヒントとなるはずだ。

新たな価値を生み出す発想力や、現状を否定してイノベーションを起こす柔軟性ーー。
閉塞感が漂う現代だからこそ、セゾングループのかつての哲学を掘り起こし、分析することに大きな意味がある。

感想・レビュー・書評

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  • 西武百貨店 対 無印、パルコ、ファミマ、ロフト。
    軸を育てて、自己否定をするような対軸も育てる。結果、両方とも存在感を増す。
    すごいとしか言えない発想。
    ダイエーの中内功を書いた「カリスマ」と対比して読みたい。

  • この本は知り合いの経営者に教えていただきました。読む前はセゾンと聞いてセゾンカードという単語しか出てこなかったです。
    無印良品や西武百貨店を経営する堤氏の「現状を否定する」考え方が、テクノロジーが発展する今求められている考え方だと思いました。
    文章から堤氏の経営に対する情熱が感じられ、非常に感銘を受ける良著でした。

  • 無印良品やロフトなど現在でも業界のトップを走るブランドを数々立ち上げたセゾングループの堤清二氏の半生や功績について関わりのあった関係者の取材などを通して書かれた一冊。

    大資本家の一族として生まれ、父も経営者というなかで無印良品やロフト、パルコといった斬新なブランドを次々に誕生させ、画期的な戦略で他とは一線を画したルーツには父や異母弟との確執が大きく影響していると本書を読んで感じました。
    高度経済成長がひと段落し、国民が充実したライフスタイルを求めていることを察知し、様々なブランドを作っていった時代を読む眼は読んでいて何度も凄いと感じました。
    80年代にキャッチーなコピーで当時の小売業界では他とは一線を画した戦略を打ったり、一軒の店舗から街の空間を作ったりと一族の中で異色の存在となるべく奮闘してきた堤氏の姿は印象に残りました。

    本書を読んで、自身の消費の先を読む感覚で今の時代も存在感を放つブランドを多く作ってきた堤イズムの浸透している後継者たちがどのような道を進んでいくのか楽しみになるとともに堤氏が歩んできた足跡を辿ることでこれからの小売業界や経済界についてのヒントが詰まっているとも感じた一冊でした。

  • 無印良品をつくった堤清二さんの話。
    無印良品の価値は何か

    共感するところも多かった。
    2019.03

  • 長年、取材を重ねてきた記者の書。
    メチャメチャ面白かったです。

    80年代後半から90年代初頭のセゾンや西武百貨店は、感性豊かで好きでした。無印良品、ロフト、今でも好きです。

    西武鉄道の不祥事から上場廃止になった時は、とても残念でした。堤家のごたごたは、当時あまり興味がなくよく知ろうともしなかったのですが、本書でよく分かりました。
    (この章だけが、暗い印象です)

    最終章で、人間としての堤清二に視点を戻して頂き、改めてクリエイティブなセゾングループの余韻に浸ることができました。

  • 物心がついたときには丁度バブル経済が破綻しかけていた自身にとって、セゾングループという存在は一種の謎めいた企業体であった。セゾングループが、なぜ企業体としての経済成長と同時に、ある種の文化的爛熟さを提示することができたのか。それが私にとっての謎であった。例えば、中学生のときから私が愛聴してきた日本が誇る作曲家である武満徹。彼の生涯を追うときに、セゾングループが主催した事業「MUSIC TODAY」の存在は欠かせない。その支援は、いわゆる企業メセナ・CSRといったものとは違う立ち位置に感じられていた。

    その答えは、セゾングループのドンたる堤清二に迫る他ない。本書は長らくセゾングループを日経の記者として取材した著者によるルポルタージュである。

    本書の問題提起は、バブルの最中で不動産等の過剰投資によりセゾングループを崩壊に追い込んだ堤清二の負の側面ではなく、正の側面を照射しようとする点にある。例えばその正の側面とは、無印良品、パルコ、ロフト、ファミリーマートといった今でも別資本の元で活躍を続ける種々の企業体の創出。また、美術・アート・コンサート等のいわゆる”コト消費”の先駆け。こうした観点から、関係者のインタビューを元に本書では堤清二に思想を明らかにしようとする。

    時間が経つことで負の側面がマイルドになり、それまでは隠れていた正の側面が浮かび上がってくるということは往々にしてある。歴史的再評価とでも言おうか、本書を読んで堤清二の生き方は十分それに見合うものであるということを実感した。

  • 「商売を通して、生活や文化を作ることに貢献する」という小売業の醍醐味ややりがいといったものを改めて考えさせられた。
    無印、西武だけでなくチケットセゾン、J-WAVE、パルコ、クレディセゾン、このあたりが面白かったな。

    無印良品とは、消費者の自由を確保すること
    生活の要求の多様性、意義のある生活を送りたいという願望、生活の知恵を得たいという願い、そういう人々の要求に応えるように売場が作られ、商品が提供されているということ
    自分の頭でものを考え、判断することが質販店なのである
    米国の様子を見ていると、その地域に住んでいる人に合わせて品ぞろえを変えている。その変え方がチェーンオペレーションのスピリットになっているという感じがする
    ノーアイデアでなんとかするというのは、みっともないんですよ
    資本の論理と人間の論理の間にあるという「マージナル産業論」


  • 自己矛盾の経営と、生活者を真に豊かにするためにセゾン文化とあう1つの時代を作ったことは大きな功績であり偉業だと思う。バブル崩壊後のセゾングループ解体からは経営者として優れていたと評価することは難しいかもしれないが、戦後物が充足する中でまず個々の豊かさをいかに提供するか、ライフスタイルや街をつくっていくという文化的な消費行動を促した点では、優れたアーティストだったのかもしれない。

    無印良品、ロフト、パルコ、WAVE、リブロ。どれもが堤清二から生み出されたということに驚き。

  • 無印良品のDNAを深掘りできた。小説家という側面からもわかるように、人間ひとりひとりの感情を洞察しアイデアに落とし込むのが長けていたのだなと思いました。現代にも通ずる示唆が多いなと思いました。

  • セゾン全盛期の雰囲気を知っている世代としては、懐かしく読んだ。堤清二の人となりは何冊か読んでいるので知っているが、もう少し掘り下げないと何故このような経営をしたのかという核心に迫れていないと感じた。

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