マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド

著者 :
  • 日経BP
4.09
  • (136)
  • (165)
  • (69)
  • (12)
  • (3)
本棚登録 : 2325
感想 : 150
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822257958

作品紹介・あらすじ

USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)を劇的な再生に導いた後、
マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を設立、
マーケティングによる日本の活性化に邁進中の戦略家、森岡毅氏の待望の最新刊!

なぜ、日本企業はマーケティングを活かせないのか?
なぜ、あなたの提案は通らないのか?
実戦経験を極めた著者が、あなたを成功に導く

【第一部】 組織に熱を込めろ! ~「ヒト」の力を活かす組織づくりの本質~

【第二部】 社内マーケティングのススメ ~「下」から提案を通す魔法のスキル~

【特別対談】 成功者の発想に学べ! ~起点となって世の中を変えた先駆者たち~
●セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問 鈴木 敏文 氏
●作詞家 秋元 康 氏 ●湖池屋 社長 佐藤 章 氏
●SAMURAI クリエイティブディレクター 佐藤 可士和 氏



森岡 毅(もりおか・つよし)
株式会社 刀 代表取締役CEO
1972年生まれ。神戸大学経営学部卒業後、96年P&G入社。ブランドマネージャーとして
日本ヴィダルサスーンの黄金期を築いた後、2004年にP&G世界本社(米国シンシナティ)へ転籍、
北米パンテーンのブランドマネージャー、ヘアケアカテゴリー アソシエイトマーケティング
ディレクター、ウエラジャパン副代表を経て、2010年にUSJ入社。12年、同社CMO(チーフ・
マーケティング・オフィサー)、執行役員、マーケティング本部長。USJ再建の使命完了後、
17年、マーケティング精鋭集団「株式会社 刀」を設立し、マーケティングによる日本の活性化に邁進中。
主な著作に『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』、『USJを劇的に変えた、たった
1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』 (「第44回ビジネスブックマラソン大賞」、「ビジ
ネス書グランプリ2017マネジメント部門賞」) 、『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティ
ングの力』がある

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 201809/

    私にとって組織とは「一人一人の能力を引き上げる装置」です。ある人が、一人でいるときよりも遥かに大きな力を発揮する。それが強い組織で、それこそが組織をつくる意義だと、今まで痛感してきました。/

    「ボトルネックをつくらない」ということ。そして「ボトルネックは動く」ということ。この2つは組織の生産性を考える際に、常に頭の中に置いておくべき視点です。
    チームの生産性を最大化するためには、新人であろうが猫であろうが、戦力として最大能力に応じてその力を、“空っぽ”にするのがリーダーとしての役割。
    チームリーダーとしてのあなたは、潰す度に“動き続ける”ボトルネックが、新たにどこに移ったかを常に意識して、それをまた一つ一つ潰しに行かなくてはなりません。次はどこがボトルネックになるか?常にそれを考えながら目の前のボトルネックを改善していくとチームの生産性は驚くほど高まっていきます。/

    マーケティングに限ったことではないと思いますが、マーケティングは策を立てるより実行する方が100倍難しいのです。/

    人間の本質は「自己保存」/

    組織にとっては正しいが、個人にとってはリスクが高い。このような場合は、個人はその選択肢を取りたがらないのが普通です。
    コミュニケーション不全に陥っている組織問題の核心は、コミュニケーションすると個人が損をするようになっていること。つまり個人の自己保存に反した構造になっていることです。/

    私は「組織づくりの本質とは何か」と問われれば、「自己保存の本能を逆手に取ること」だと、間髪入れずに答えることにしています。/

    自己保存の本能を満たす方法は主に2つあります。それこそが古典的な人身掌握の知恵である「アメ」と「ムチ」です。
    それは「変わる為の必然をつくる」ということ。/

    人間の行動を変化させるには、個々人の自己保存のエネルギーを上手く活用すべきです。そのために個人と会社の利害を一致させる“構造的な仕掛け”が必要です。
    私の頭の中では、この“構造的な仕掛け”が機能している様子は、パチンコ台の釘の間をパチンコ玉がジャラジャラと流れていく様子と似ています。パチンコの玉は一つ一つが打ち上げられた時から、重力で落ちていく位置エネルギーを有しています。それぞの玉は位置エネルギーを使いながら、自己保存の事情で好きなように落ちていきたいのです。しかしながら、落ちていく道すがら出現するあちこちの“釘”に当たって軌道が修正されます。
    フィーバーをもっと増やすために釘を工夫して打つべきなのです。/

    変革の大原則は、パチンコ台の釘(組織システム:構造的な仕掛け)は、自己保存の本質を制御することを念頭に打つこと。釘の本数も多くの会社で最重要な3本程度に最初は集中する。その3本とは、
    1.売上向上のために人々が好ましい行動をとる確率を上げる釘(マーケティングシステム)
    2.組織の重要判断のために人々が好ましい行動を取る確率を上げる釘(意思決定システム)
    3.会社が望む方向へ人々を動機付ける確率を上げる釘(評価報酬システム)
    です。/

    会議とは「人を働かせるための儀式」である!/
    誰がどこで何を決めているかわからない組織は、実は誰もが公に恥をかかなくて済む仕掛けになっているのです。これでは仕事に人を追い込むことができませんし、水面下で自己保存を優先させた行動を取りやすいので、会社としてはまずいのです。/

    人と競争するのはしんどいものです。成果を精一杯出したのに、周囲がもっと良い結果を出していれば自分の評価は低くなるのですから。そんな油断できない毎日を、緊張感を持って能力と成果の向上に向き合うのは大変です。しかし何年も経って振り返った時に、大変だったその時期が、実は自分自身が一番成長できたと思える日がきっと来るはずです。/

    大事なことは、業績目標はできる限り「数値化」すること。数値化できていなければ、結果が主観でどうにでも解釈できてしまうのです。数値化できていれば、たとえ上司と仲が悪くなってもあなたの成績は動かしがたい客観性で担保されることになります。/

    私は最近、いろいろな会社から経営相談を受けることがありまして、過剰在庫や物流システムなど抱えている課題はさまざま。ですが、たいていの問題の本質はそこにはありません。そもそも売れないものを作るから在庫が増し、物流も複雑になっているのです。だから私は、まず消費者を見て「売れるものを作る」ことに全力投球できる組織に変えることを勧めます。/

  • 組織は人体に倣い、すべての器官(部署、社員)が互いに連携し、補い合うように構成すべき。
    マーケティング部門と開発部門の責任者は一つにすべき。
    社内で提案を通すには、人はみな自己保存の欲求に基づいて行動することを念頭に置き、何を、誰に、どうやって提案すべきか考えるべし。
    USJをV字回復させた著者による熱い組織論。実例に基づいているのでものすごく迫力がありました。

    ※先日、西武ゆうえんちのリニューアルに森岡さんが関わるとの発表がありました。これは期待大です。

  • マーケティング理論ではなく、成功体験に基づく体験談。意地悪く言えば、ただの武勇伝。もちろん一般化できる内容も一部あるが、悪印象なのは著者の別著に解説を委ねたり、刀という会社の本業だからだろうか、コンサルの種明かしがされない。

    この本自体にマーケティングの仕掛けや思想が染み付いている!秋元康と膝を突き合わせた写真然り。

    USJとの期限付き契約で、特にハリーポッターの企画を成功させた事を本著では著者の自信の拠り所としており、度々語られる。それをベースに、組織力学、社内調整の勘所を経験に基づき、語っていく。

    多くは共感できる内容。だからこそ、新規性がないとも言える。例えば、会議とは人を働かせるための儀式だと書く。組織の中でよく思われたい、人前で恥をかきたくないと言う心理を利用する。何をどう決めていいか分からない状態のものを会議によって解決。意思決定を見える化することに非常に有効。こういう言い回しに学びがあるなら、この本の読者として向いている。往々にして著者の経験則、感想なのだが、別に間違ってもいないし、綺麗に言語化できているとも思う。しかし属人の域は出ない。

    ネガティブな事ばかり述べたが、しかし、この本は後半に盛り上がる。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文や秋元康、佐藤可士和らとの対談。ここで共通して「あいつが言うなら」「あいつの言うことに乗ろう」と、組織や業界を動かす際に、彼らも属人的な力学を利用していた事が語られる。そう、結局大事なのはセルフプロデュースであり、市場マーケティングの前に組織マーケティング、その原点は自分自身のマーケティングだという理解に辿り着く。

    対談で森岡毅が佐藤可士和に漏らす。人間がとっている様々な行動や生理現象のデータを数学的に分析することで無意識の相関関係を利用する。テーマパークを選ぶ人の傾向を血圧や毛髪量などを調べた中でテストステロンと言う男性ホルモンの分泌量と来場者年齢別分布に相関関係があることがわかった、と。私が面白いと思うのはこういう内容だ。しかし、商売道具だから出版物では明かせないのだろう。こうして冒頭の書評に戻る。惜しい本だ。

  • マーケティングとは何なのか

    そもそも組織として会社に属する上でわたしたちが目的を達成させるためには
    どういう考え方が必要で何に気をつけなければいけないのか

    仕事をしていく上での大切なこと以外に
    日常生活にも落とし込める要素が多く
    非常に勉強になった。

    繰り返し読みたい1冊!

  • p.4 マーケティングのノウハウは重要であるが、実行できる組織も作らなければ意味がない。

    p.26 組織とは「一人一人の能力を引き上げる装置である」
    →強みを活かし弱みをカバーできるから。

    p.30 組織の機能は次の4つだけ
    1.マーケティングシステム
    →売上を獲得する能力のこと
    ・商品開発も消費者を獲得するための武器であるから、マーケティングに分類する

    2.ファイナンスシステム
    →お金を管理する働き

    3.生産マネジメントシステム
    →商品を生み出し続ける一連の機能
    SCMの一連の流れとか。
    ・サービス業では、商品がないためサービスである商品を生み出している従業員を採用、管理している運営部がマネジメント機能を持つ

    4.組織マネジメント・システム
    →人と人をより生産的に働かせるための仕組みを最適化する一連の流れ
    ・1-3のシステムを連動させるための中枢機能もここ

    p.38 ポトルネックを作らない。ボトルネックは動く。
    →この2つの考え方大切

    p.43 本当に優しくあるためには、リーダーは冷徹でなければならない。
    →1番成長できるのは、自分の能力に挑戦してた時だから。

    p.60 御社のバリューチェーンはどこから始まっているか?という質問に、商品開発から。と答える経営者が多いが、本来は、「市場構造や顧客を理解するところから」始めるべき。売りたいものありきではなく、顧客が求めているものから考え始める。

  •  マーケティング実践のための組織論について述べた本。
     前半はマーケティングを実践するための組織づくりについて。マーケティングの実践には、マーケティング機能ががんばるだけではなく、他の機能を含めた組織全体が連動して動くことが必要である。そのためには、「自己保存の本能」と呼ぶ変化を拒む人間の本質を理解すること。その上で、組織にとって望ましい行動と個人の生存確率を高める行動が合致するように、意思決定や評価・報酬のしくみを設計することが肝要。
     後半はマーケティングのフレームワークを活用した下からの提案の通し方について。提案を通すということは、提案を上に買わせて社内という市場を開拓するマーケティングと捉えられる。市場原理として組織の文脈を理解した上で、提案の目的と組織の目的を合致させ、誰にどんな内容をどうやってアプローチしていくかを組み立てる。
     マーケティングに関する内容は薄めなため、著者のマーケティング論について学びたい場合は別著を読んだ方が良い。大企業の組織運営や意思決定のやり方は本書に描写されている通りと思う。処方箋として書かれている評価・報酬のあり方なんかは、具体性はあるものの、果たしてこれが本当に正解かは疑問符。参考の一つに留めた方が良さそう。付録ではあるが、巻末に収録されているマーケティングの第一人者たちとの対談の中で、佐藤可士和との内容が興味深かった。佐藤さんは感覚、森岡さんは数学・論理を主としたマーケターという感じ。
     以下、備忘録。
    ■組織づくり
    ・マーケティングとは、消費者プレファレンスを読み解いて会社を勝つ確率が高い焦点に集中させる働き
    ・ブランドは、消費者の頭の中にある選ばれる必然
    ・マーケティングは策を立てるより実行する方が難しい。策の通りに(=消費者視点で)会社全体が動く組織づくりが必要。マーケティング・システムの改革に加え、その他の3つ、ファイナンス・システム、生産マネジメント・システム、組織マネジメント・システムを連動できる体制にする必要がある
    ・商品開発は生産ではなくマーケティングに組み込むべき。作ったものを売るのではなく、売れるものを作る
    ・人間の本質は自己保存。コミュニケーションにおける個人が負うリスクやコストが大きいと、無難に過ごす
    ・自己保存の本能を満たすのはアメとムチ。生存確率を高めるための行動は自ら進んで行う
    ・組織マネジメントシステムの核は意思決定システム(会議)、評価システム、報酬システム
    ・会議は人を働かせるための儀式。オープン化することで、恥を書きたくない心理を利用
    ・相対評価にすることで確実に差をつけれる
    ■下から提案を通す社内マーケティング
    ・下の人間でも上に提案を通す社内マーケティングスキル。自分が言いたいことを相手が買いたいものとして伝える。自分という商品を会社に売っている営業
    ・社内マーケティングのフレームワークは5ステップ。①提案が判断される組織文脈の理解、②提案の目的と組織の目的との関係性整理、③提案を当てる直接・間接ターゲットの把握、④提案によるメリットの整理、⑤相手に合わせた提案の話し方
    ・組織文脈の理解では、所属組織や上位・下位組織の目的・戦略、意思決定者、意思決定者の評価制度を把握する
    ・目的・戦略があいまいな場合は、意志決定者の困りごとにフォーカスする
    ・提案のターゲットは、組織全体の公の利を考えるタイプ、個の利を考えるタイプの2系統。1人が2系統両方の性質を併せ持つケースもあり
    ・提案内容は、魅力を高く、実現性を高く、コストを低く
    ・相手のコミュニケーションのスタイルが攻撃型、積極型、反応型、消極型のどれかを読み解き、相手に適したコミュニケーションのスタイルをとる

  • 経営者、ビジネスマン、学生と読み手の立場によって刺さるポイントが異なる一冊だと感じました。

    本書の中で、著者の森岡毅氏は「一人」の力で組織を変えていくことは可能であると断言しており、「下の立場」から「上」を変えていったP&G・USJでの実務経験と絡めながらその具体的な方法について述べられています。

    また、間もなく社会人の一員となる私にとって
     プロとして成功するために真っ先に必要なのは、自分に矢印を向ける覚悟
    という言葉が強く響きました。


    「社会は理不尽なことだらけ。自分の正義が信じられなくなるときもある。
    そんな時でも自責思考で周りを変えていけるか、変えるために行動し続けられるか。」
    そんなメッセージが本書には込められていたのかなと解釈しています。

    最後に、著者の仕事と向き合うプロフェッショナルとしての姿勢は胸熱必須!(笑)
    是非手に取って読んでみてください!

  • あまり目新しい内容はないね

  • ここ最近面白い本を読んでいる自負はあるけど、その中でもかなり面白かった本書。
    P&G、USJ、刀の森岡毅氏著。
    マーケティング、数字分析で有名な著者だが、
    本書ではそもそも分析した提案を、いかに社内で通すのかについて書かれたものになっている。
    ヒト、組織に焦点を当てることで、より多くのビジネスマンに必読の書となった感。

    前半部分で、なぜ組織、ヒトとは思うように動かないのか、その理由が書かれている。
    また、後半部分では、その理由を理解した上でどう立ち回るか、提案を通していくのかが書かれている。
    そのため、この1冊でヒト、組織の仕組みから、その対処法まで学べるものとなっている。

    なので、ヒト、組織でストレスを感じていたり、自分の提案が通らないのは上の人間が悪いとか思ってる人は読むべきかと。というかビジネスマンは、読むべきかと。

    巻末の各先駆者との対談も面白かった。
    ぜひぜひー!

  • 人間の本質とは自己保存である、がとても腑に落ちた。
    それを踏まえて時代の流れに合わせて釘を打たないと組織は腐る。ゆえに、組織に望ましい行動を取らないとその人が困るようなシステムになっているべし。性悪説はある程度大きい組織になると仕方ないのかなと思う。

全150件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

株式会社刀 代表取締役CEO

「2020年 『誰もが人を動かせる! あなたの人生を変えるリーダーシップ革命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森岡毅の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ベン・ホロウィッ...
リンダ グラット...
佐々木 圭一
マシュー・サイド
リチャード P....
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×