母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822259457

作品紹介・あらすじ

ある日、母が認知症を発症した――。息子(50代独身男)は戸惑い、狼狽する。
母と息子。たった2人の奮闘記が始まる。男一匹、ガチンコで認知症の母と向き合った。

本書を執筆したのは、科学ジャーナリストの松浦晋也です。
男性、50代。実家に母と同居しながら、気ままな独身生活がこの先も続くと信じていました。
ところが、人生を謳歌していたはずの母親が認知症を患います。
母の様子がおかしいと気がついたのは、「預金通帳が見つからない」と言いだした時のこと。
誰だって、自分が確立した生活を崩したくないもの。様子がおかしいと認めなければ、それは現実にはなりません。
そんな甘い意識から見逃した母の老いの兆候は、やがてとんでもない事態につながっていきます。
初動の遅れ、事態認識の甘さ、知識、リソースの不足…。
認知症の親の介護について描かれたノンフィクションストーリーはたくさんありますが、
「50代・独身・男性」が1人で母の介護に向き合うケースはまれでしょう。
認知症・母の介護を赤裸々かつペーソスと共に描いたノンフィクションストーリー。是非、ご覧くだい。

感想・レビュー・書評

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  • 介護について全く知らなかった1人の男性の
    リアルな介護の日々が綴られています。

    どんどん壊れていく母親
    日々の生活と自分の仕事
    積み重なるストレスとモヤモヤした気持ち
    そしてついに母親に手を挙げてしまった自責の思い

    ものすごく正直に綴っているだけに
    リアルに筆者の思いが伝わって胸が苦しくなります

    自分の母親だから大切にしたい
    でもどうしようもなく壊れてしまう
    病気とわかっていても
    元々の優しい母親を知っているからこその葛藤

    私も自分が介護する立場になったら…
    と思うと著者の気持ちが痛いほどわかります

    人は必ず老いて死にます
    その時、自分なら…

    あたらめて考えてしまいました。

    読んでよかった一冊です。

  • 自身の介護経験をもとに「介護をしない子=悪」的な考え方が変わる。かなり読みやすくて面白かった。表面だけを見ると、家族を切り捨てるように見えるけど、家族だからこそ「甘え」からくる衝突が起こるのは当然であって、心に余裕がないと優しく接することも出来ない。共倒れ状態になって、最悪の結果、虐待や殺人もあり得る。餅は餅屋というように、これだけ高齢社会の市場は大きく成長してるのだから介護の効率性を考えて、介護をする側・される側がより良い人生を全う出来る方法を考えることが1番。
    外部の人間を頼ることは、甘えでも言い訳でも何でもない。権利なんだと思い知りました。

    介護をしてきた間に相当勉強してきたのが読んでても伺えるし、著者の優しさやキャラクターが滲み溢れてて、もっと読みたいと思わせてくれる本だった。

  • 途中まで読んだ。30になったばかりの自分にはまだ早すぎるとも思えたが、いざ親の介護に直前するだいぶ前に読めたのは良かったと思う。圧倒的リアル。介護という困難と向き合う覚悟は今から養っておこうと思う。

  • 男性でも女性でも介護は大変だと思いますが、息子が親の介護をするとなると仕事をどうするのかとか、細々とした家事などの不馴れなことも多く、より大変な気がします。 そして何よりつらいのが、しっかり者の母が簡単なことさえ出来なくなっていくのを目にすること。多分、介護される親もつらいと思います。先が見えないイライラでどんどん追い詰められてしまう…。
    一人で抱え込まず、他人の手をかりることが必要かもしれません。

  • 認知症のことは周りにもおられるし、読む機会も多い。

    50代独身男性だからこういう対処になるんだろうな

    ただ「予防医学のパラドックス」についてはとても興味深かった

    みんな思っている
    認知症だけにはなりたくない
    でも……

    ≪ がんばらず 社会の中の 認知症 ≫

  • 50代独身の筆者による母の介護記録。はっきりと「介護敗戦」と述べており、介護の厳しい現実を目の当たりにしたんだろうと思い、後学のために手に取る。

    帯の文章に早速惹かれる。
    →合理的かつ論理的な世界で働いてきた筆者が思い知るのは、「"男の子"が母の介護を行うことの難しさ」だった

    (介護は)「子供が,家族が頑張ればできるというものでは絶対にない」「介護は事業だ」

    公的介護サービスの本質は被介護者のケアはもちろんだが,介護者の社会生活の維持という側面も大きそう.デイサービスでほんの数時間という自分の時間を得た筆者の喜びたるや.

    =====================

    "「事実を受け入れることができず、対策に反対し、抵抗する」という母の姿勢は、この後ことあることに現れて、私を苦しめることとなった。良かれと思ってしたことが本人から激烈な態度で拒否される−私にとって、介護に関する苦しみの半分は介護される母本人による拒否と抵抗であった−"

    ・介護用品などのハードウェアの準備、介護方法などのソフトウェアの準備

    認知機能が衰えた高齢者はサブスクビジネスの学校のカモ→白髪染め、健康食品、サプリ..
    →入口はテレビの通販番組
    テレビの通販番組はこうやって儲けるのか...関心

    アンガーマネジメント
    →人間が衝動的になるのは数秒→6秒待つ。
    →イライラは文字に起こして点数化。客観視

    "介護をやり遂げるには「公的介護制度をいかに上手に使い倒すか」という戦略性が必須だった。"

    ・アルツハイマー病:
     感情抑制が効かなかうなると言う性格の変化

    ・親孝行は親が認知症になる前にすべし.認知症になった
    ら生活を支えることが親孝行になり楽しいことや嬉しいことを組んでも本人に届くとは限らず,悲しい結果になることも

    ・代替医療
     薬機法をくぐり抜ける.筆者曰く有害無益な商売.
    例:病に効用があったかのような体験談を載せ,最後に「個人の感想です」と逃げの一言.
    「自然由来」「副作用がない」「穏やかな効き目」と耳当たりのいい宣伝文句

    ・認知症の人へのいいお見舞い→お金.
    一般人が手を出せる代替医療品は困りもの.必要なものは本人んや介護者が一番知っている.「同情するなら金をくれ」の世界

    ・宇宙飛行士は最大七時間に及ぶ船外活動でオムツをつける.ちなみに高齢者用おむつはリハビリパンツというらしい.

    ・下の汚れには塩素系漂白剤

    ・介護の世界では「説得」という言葉は使わない.「誘導する」という.

    ・コストを下げて美味しいと思わせる料理を作る方法
     調味料の手を抜く
     味を濃くする
     →マクドナルドじゃん..

    ・「玄関に求人ポスターが貼ったままの小規模多機能型居宅介護施設」→文章としていい表現だな.「人がいない」と直接書かない表現.

    ・特別養護老人ホームー> 要介護3以上

    ・グループホーム「入居費用は母の年金全額に加え兄弟三人が月々1.5万円」

  • 2014年、要介護認定(1-5)の方が、430万。そして255万人を超える方が、自宅で介護をされている。認知症の有無は別として。

    第1章にあるように、介護敗戦記です。”介護”にそもそも勝てる訳がありません。常に後悔と屈辱と反省と悲しみ、そして憎しみ。
    主人公の介護者は、職業上、比較的時間を融通できるため、自分で無理をされたのでしょうか。無理をするつもりはなかったのでしょうが、結果的に、疲れ切ってしまわれた。「身内の介護は、どうしても限界があって…」が残ります。

    もし、主人公が、兄弟なし独身で会社員だったら、と考えると、恐ろしいです。もっと早く追い詰められたのでしょうか、あるいは、ケアマネの支援をもっと早く受けられたのでしょうか。

    過去には、要介護2で施設に受け入れられたのが、現在は要介護3とか。今後、要介護3でも、受け入れられなくなることも考えられるかも。

    よく、ピンピンコロリと生きたいと聞く。しかし、実際は、ネンネンコロリの方が多い。本書でも、お父様とお母様のお姿を対比されているけど、複雑な気持ちです。

    そして、我が身は……。

  • 悪くはないのだが、確かに、当事者になってみないとわからないことなのだが、介護される側より、介護する側の方を気にしなければならないのだろうが、どうしても言い訳に聞こえてしまった。もちろん、そんなことはないのだが、でも、活字に起こしてしまうと、どうしてもそういう気がしていけなかった。
    一番気になったのは、著者が自分の母親に敬語を使っているところだ。それで、バッターアウトになってしまった。

  • ジャーナリストの息子が実母の介護について記録したリアル。異性の親の介護ならではの難しさ、知的で聡明だった親の変化を見ていく辛さ等、読みやすく書かれている。自分の親(初期の認知症)とよく似た始まり方だったので、今後どのように進んでいくのか参考になったというか…心構えをしなくてはならないのだなと思わされた。

  • ☆独身男性の母親介護。どこまで自宅介護できるのか?

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著者プロフィール

ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日経BP社記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後、独立。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

「2022年 『母さん、ごめん。2 ― 50代独身男の介護奮闘記 グループホーム編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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