星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則

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  • / ISBN・EAN: 9784822264116

感想・レビュー・書評

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  • 星野社長が手本にしている教科書が、何なのか知りたくて手にとりました。

    軽井沢の温泉旅館の4代目で、米国に留学していた異色の経営者で、グロービスにもよく顔をだされていて興味深かったです。

    5部構成で
    1 教科書の生かし方
    2 教科書通りの戦略
    3 教科書通りのマーケティング
    4 教科書通りのリーダーシップ
    5 教科書通りに人を鍛える

    サービスを基軸に、視野を広げられる方によろしいかと

  • <本書で紹介されている本リスト>
    「競争の戦略」(ポーター)
    「コトラーのマーケティング・マネジメント基本編」
    「The Myth of Excellence」
    「売れるもマーケ当たるもマーケ、マーケティング22の法則」
    「いかに「サービス」を収益化するか」
    「真実の瞬間」
    「ONE TO ONE マーケティング」(ドン・ペパーズ)
    「ブランド・エクイティ戦略」(D・A・アーカー)
    「ビジョナリー・カンパニー」
    「1分間顧客サービス」
    「1分間エンパワーメント」
    「後世への最大遺物 デンマルク国の話」
    「代表的日本人」(内村鑑三) など

    <備忘録メモ>
    理論をつまみ食いしないで、100%教科書通りにやってみる
    既にサービス内容に定評がある場合、サービス保証システムは不要
    ミス報告をしっかり褒める(部門ごとにノルマ)
    採用活動:現状よりも「目指す将来像」を語る
    経営ビジョンと目標の書かれたマグカップ(グッズ)
    3つの数字(顧客満足度、経常利益率、エコロジカルポイント)
    企業の文化を維持することが最重要課題
    「勉強会ではなくコンセプトを作る会です」
    マーケティングデータを分析する手法に慣れる
    会議で大事なのはアイデアではなく「気づき」
    全てのお客様を満足させようとするとコストが膨らむ
    「誠実本位の日本主義に則るべし」(内村鑑三の手紙より)
    経営計画の全社員説明会(施設は丸一日休業)

  • 日本の、今の会社の実例が読めるというところがこの本のポイント
    だと思います。

    以前姉妹編の書籍「星野リゾートの事件簿」
    という本を読んだ時には読み切れなかったのですが、
    いざ単独で読んだら最後までさらっと読み切ることができました。

    星野リゾートの事件簿の方は、本当に起きた問題からそれをどうやって
    解決していくのかという「物語」調だったので、本当にただただ
    楽しく読めた本ですが、

    こちらの本は、そういった「物語」を生むために、経営本を「そのまま」
    実践したという本です。

    「書店に1冊しかないような古典的な本ほど役に立つ」

    とはまさにその通りだと思っていて、そんな中でも何を読もうかな、
    と思った際に、この本があるとケーススタディーと共に読めるというのは
    効果が大きいと思います。

    なにせ、こういった経営の本のケーススタディーはアメリカンなもので、
    さらに古典的な本になると、ケーススタディーで取り上げられている
    業種、会社へのイメージが湧きにくいことが多いのです。

    ということで冒頭に上げました
    「日本の、今の会社の実例が読める」
    ことは大きな価値があると思います。

  • ビジネス書として有名だったので読んでみた。

    カレーのおいしさ保証については
    お客さんがまともなら炊飯器の不調などを教えてくれる
    Win-Winの結果になるというのは良いが
    実際本当にそううまくいくかというと
    ケース・バイ・ケースだろう。
    確かに品質保証は製造業では一般的と言われたら
    一瞬なるほどと思ったが、それは曖昧な美味しさなどの感覚ではなく
    明確な検査基準があるからだと思う。

    ミス撲滅のためにミスを報告させる場合に
    ミスを責めないと言ってもなかなか現場では難しいと思う。
    しかし本人だけでなく他人が報告することで
    本人が気づいていない隠れたミスの報告が集まるというのは面白いと思った。

    顧客情報の集約はどちらかと言えば普通だと思う。
    シャンパンクーラーを用意してくれるのが嬉しいか
    毎回持ってくる訳ではないのになと思われるかは
    お客さん次第だし、不要な情報は捨てる、スタッフの主観的な情報は不要というが
    クーラーを見て喜んでいなかったように見える、などの主観なら必要だし、取捨選択をする上司のセンスも問われる。

    ブランド価値は貯金、取り崩していたらいつかなくなるから積み上げることが大事というのは納得。
    自分の意見が通れば確かに辞めないが、一歩間違うとやりがい搾取に繋がるので注意が必要だと思った。

    会社のグッズとして目覚まし時計を作り
    アラームが売上目標などというのは洗脳みたいで気味が悪い。

    書いてあることに納得することもあったし一定の実績をあげている企業だとは思うが
    別のビジネス書籍を教科書として選び、その内容を参考にこう解決した、という成功事例を著者が取材して羅列した本であり
    これをもってしてビジネスに役立つかというと疑問。

    星野リゾートはニッチな需要に目をつけていて
    おしゃれで行ってみたいという印象を持っていたが
    コロナ化の一斉ノーマスク方針が気持ち悪く感じたし
    この本を読んで改めて自分は利用することはないだろうと思った。

  • 星野社長が、経営課題に向き合う際に参考とした書籍から、どのような成果を上げたのかを垣間見る事が出来る、興味深いアプローチから書かれた書籍。

  • ちょっとだけ感動した。僕が学んだことは、教科書は経営の役に立つということと、教科書はその意味がわかるまで読むということ
    内村鑑三が出てくるのに驚き。ビジネスと宗教/生き方というのは遠からずと感じる。特に高い目線を持った経営者はそれだけ人格者であり、人生についても深く考えているのかもしれない。好意的に捉えればそうなる。もしくは星野氏がそうというだけかもしれない。
    さて、大成功している企業が、教科書的な考え方、をしているというのは、当然のようでもあり、しかし意外である。教科書というのは、虚学であり、観念であり、抽象であって、個別具体的なカオスが支配する現実世界では使えない。むしろゼロから自分で考える力が重要である。こんなふうに、ややもすれば考えがちだ。
    教科書があればいいというわけではないし、この本を読めば星野氏が単なる公式当てはめおじさんではないことがわかる。しかし、確かに教科書をしっかり読み込んで、その「公式」の意味を考え、丁寧に実践するというのは、端的に言えば、良い教師のもとでよく考え、その導きの元で教えをよく実践する、という、当たり前ながらなかなかできない学習と実践のプロセスを丁寧に行うことだ。
    しかもそれが役に立つ、ということの実例を紹介してくれるから、丁寧な勉強と実践をやらない理由はない。

    また個別の事例は深くまではわからないものの星野リゾートの経営の特徴を察することができる。gよく考える社長の取り組みの姿は自分のあるべき姿の参考になる。
    そして、各種の本の非常に簡潔だが良質なイントロダクションともなっている。こんな課題に対してこんな本があるのか、という、日常の課題ベースで参考書を教えてくれる本でもある。

  • 部署の後輩との議論で、読書の意義について聞かれたのを踏まえて、
    本を読むことの意義について記載されているものを選んだ。

    星野リゾートの社長は、
    MBAを取得していることもあり、論理的な書物を好み、
    経験則を一方的に話す本ではなく、知識を体系化しようとしている本を好んでいる。
    言わずもがなだが、星野リゾートは、近年よく取り上げられる会社であり、
    その考え方が参考になるのでは?どんなかんがえかたをしているのか?
    を知りたくて、本をとった。

    ある限定条件の中では、正しいことが証明された理論であり、
    経営の定石である。
    教科書に書かれていることは正しく、実践で使えるものだというスタンス。
    根拠や基準があれば、判断のブレを最小化できる。
    結果が出ないときに我慢ができる。

    古典的な本ほど役に立つ。学問と実践を行き来した研究者の本
    熟読する。
    実践する。理論をつまみ食いしない。

    というスタンスのもと、実例とその際に参考にした書籍の紹介というスタイル
    実際に、理論→実践の成功例が示されており、より納得感が高くなるように示されている(あくまで成功例だけを紹介している可能性はもちろんあるけど)

    実例は読みやすく、とった施策は、今となっては、
    目新しいと感じられるものでもないように感じるのは、
    要諦はそこに至るまでの過程であるからだろう。

    その中で紹介されているものの中には、
    戦略論、:競争の戦略ポーター
    コストリーダーシッ、差別化、集中
    ライバル企業との想定的な位置から、戦略の判断が決まる。

    コトラーのマーケティング・マネジメント
    リーダー、チャレンジャー、フォロワー、にっちゃーの4つの位置に分けられる。

    リーダーは、市場の拡大、シェアの維持
    チャレンジャー:2位がリーダーの攻撃と、3,4番手の攻撃
    フォロワー:2位だが、攻撃はせず、リーダーを追従する
    にっちゃー小さな市場で、トップに立つ戦略

    Myth of excellence
    サービスや、製品の質で差別化できないときは、アクセス性で差別化することもできる。
    1.お客が急いで切るときにスピーディに買うことができる情報、サービスるの提供
    2.使い勝手よくアクセスできる(ボタン一つで)
    3..提案する。お客の要望を先回りする。

    ヤッホーブルーイング
    味を変えない、増やさない。まずは認知される。あるカテゴリーでトップにとるような、カテゴリーに絞る
    焦点を絞る戦略は、効果が出るまでに時間がかかる、
    しかし、効果が出れば、利益率が高くとれる。
    バリエーションを増やすことよりも長期的に聞く。

    <サービス>
    いかに「service」を収益化するか
    真実の瞬間:SASの話
    One to Oneマーケティング:

    ブランドエクイティ戦略
    ブランド価値は、時間とともに変わっていく
    認知:どれだけ知られているか
    知覚品質:どのように感じるか
    連想:ブランドから思い浮かべること
    ロイヤリティ:リピーターになってくれるか
    その他:トレードマークなど

    長期的な視野に立った首尾一貫した取り組み
    が必要

    びじょなりーかんぱにー
    1分間顧客サービス
    1分間エンパワーメント
    必要な情報を与えて、判断を任せる。

  • 文字通り星野社長が経営の教科書にした書籍の数々を紹介したもの。教科書はその通り忠実になぞらなければいけない。一部を美味しいとこ取りでは意味が無いと言う話と解るまで何度も読むという下りが一番為になった。

  • 星野リゾートの教科書


    著者は中沢康彦氏で、書籍販売当時「日経トップリーダー」副編集長だった方(現在の情報はとっていないです)。

    星野リゾートと言えば、各地でリゾート施設を運営する日本有数の企業。しかし、その発祥は軽井沢の老舗温泉旅館であるというから驚きである。そして、その成長の背景には、星野佳路社長が実践した「教書通りの経営」があるという。本書では、星野社長が戦略やマーケティング、リーダーシップの参考にしたネタ本30冊と、それらの本から学んだ理論の実践事例が紹介されている。

    ところで、皆さんは「教科書」と聞くとどのような印象を抱くでしょうか。
    正直なところ、学校の勉強が苦手だった私はあまりいい印象がありません。むしろ、「教科書通りの人生なんてない!」「丸暗記じゃだめだ!」「マニュアル人間になるな!!」などと言われて来たことが多い気がします。

    これらの中で使われている「教科書」という言葉は、どちらかというと「これをやっていれば大丈夫」といった受け身の対象として使われているように思います。
    リゾートの運営、というまさに現場での臨機応変な対応が求められる仕事には、まったくそぐわない言葉だなというのが本を読む前の感想でした。

    しかし、本書で言われている「教科書」という言葉は少し捉え方が違うのかなと考えます。

    ~~~
    根拠や基準となる理論があるとぶれなくなる

    理論をつまみぐいしないで100%教科書通りにやってみる

    自分の直感力を信じられないときに教科書は自らの経営判断の根拠となり自信を持って頑張る勇気を与えてくれる
    ~~~
    ここでの意味は「基礎」と「基準」。自分が主体的に動く際に立ち返る場所、より高いレベルで実践していくために基礎や基準を作るためのもの、として話されているように感じます。

    確かに行動していて、それに熱中してどんどん進んでいるときはいいのですが、ふと立ち止まり周りを見渡した時に迷子になっているときがあります。そんな時に、立ち返る場所として各名著を「教科書」として使っていたということのようです。

    なるほど、とこの考え方を学べた時点で結構満足(笑)でもあるのですが、もう少しだけ本書を紹介したいと思います。

    ~~~
    現場のスタッフの判断の質こそが、会社全体に対するお客様の評価を決める
    真実の瞬間の質を引き上げることで企業の競争力を高める

    ワンツーワンマーケティング
    個別の要望に合わせて製品やサービスを提供する考え
    星野社長もこの理論は時間とコストをかけて必死に追い求めるだけの価値がると確信している。お客様一人ひとりに100%満足していただくためにはそれだけの取り組みが必要だ

    サービスを徹底するためには手間がかかったとしても、スタッフが顔を合わせて話し合うことが大切だ
    ~~~
    この辺りが、神髄なのかなと思いました。いかにお客様の満足度を高めるか、そのためには何ができるか、を突き詰めていくということは、私自身はもちろんのこと、仕事をしてお金を対価としていただいている人であれば全員が意識しておくべきことだと考えています。

    そしてそのためのコミュニケーションとしては
    ~~~
    言いたい時に言いたいことを言いたい人に言う
    ~~~
    を大事にされているようです。確かに直接的なコミュニケーションは仕事という面だけでなく、人間関係全体の質とスピードを高めてくれるため、私も日々意識しています。
    そして、”言いたいことを言い合えるだけのしっかりとした関係性を築く”こと自体が大切だ、という背景あるのかなと思います。


    最後に星野リゾートの”成功の秘訣”として書かれているものをメモしておきます。
    正直、これだけではよくわからないと思うので、気になる方はぜひ本書に目を通してみてください。
    経営だけでなく、生きるうえで大切なことが多く含まれています。

    =====
    成功の秘訣-内村鑑三 大正15年7月28日 為:星野温泉 若主人
    1.自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
    1.本を固うすべし、然らば事業は自ずから発展すべし。
    1.急ぐべからず、自働車の如きも成るべく徐行すべし。
    1.成功本位の米国主義に倣うべからず、誠実本位の日本主義に則るべし。
    1.濫費は罪悪なりと知るべし。
    1.能く天の命に聴いて行うべし、自ら己が運命を作らんと欲すべからず。
    1.雇人は兄弟と思うべし、客人は家族として扱うべし。
    1.誠実に由りて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
    1.清潔、整頓、堅実を主とすべし。
    1.人もし全世界を得るとも其霊魂を失はば何の益あらんや、
    人生の目的は金銭を得るに 非ず、品性を完成するに在り。
    =====

    私自身も、学びを実践し、経験として蓄積していきます。

  • 2022年1月7日 再読
    ついつい、定期的に読みたくなる。メモ。
    キーワード
    ・教科書通り
    ・経営の定石⇔正しい経営判断の確率に差が出る
     行動のブレが少なく、決断に自信を持ち、判断理由を明確に説明できる
    ・思い切った判断に勇気をもって踏み出せる
     ⇔何も買えられないことが一番のリスク
    ・書かれている理論を理解すると同時に、自社にどのように当てはめればいいのか、どこを変える必要があるのかと考えながら読む。頭の中が次第に整理され、やがてうつべき対策が見えてくる。


    2018年
    経営全般に関して、必読書が網羅的に記載されている。その書籍が企業経営においてどのようなシュチュエーションで必要かも理解することができる。

    企業経営や、企業の戦略立案に携わることになった人は、最初何をすべきか、何をヒントにすべきかさえ、分からないと思う。
    この本の中にある、教科書を熟読し、実行すれば、少なくとも、星野さんの発想と、業績には近づけるのかもしれない。

    3度目くらいの読み返し。自分の会社のビジネスにとっての今の課題と、どこから手を付けていけばいいのか。まずは、実績に直結するMKTに集中して取り組みたい。

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著者プロフィール

日経ビジネス副編集長。1966年新潟市生まれ。慶応義塾大学卒業後、毎日新聞記者を経て日経BPに入社。日経ビジネス編集部、日経トップリーダー編集部、日本経済新聞社企業報道部などを経て2018年4月から現職。著書に『あの同族企業はなぜすごい』(日本経済新聞出版)、『星野リゾートの教科書」「星野リゾートの事件簿』(ともに日経BP)など。

「2021年 『星野リゾートの事件簿2 なぜお客様は感動するのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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