ブランドのそだてかた

制作 : 日経デザイン 
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822264819

作品紹介・あらすじ

立ち上げ時の一番の苦労は?ライバルとどう差別化した?外部デザイナーのうまい活用法は?何を変えたら良くなった?ブランディングで成功する企業、失敗する企業の違いは?大企業じゃなくてもブランディングはできる。六花亭製菓、DEAN&DELUCA、スノーピーク、ドラフト、MARKS&WEB、トーヨーキッチン&リビング。人気ブランド6社に体当たりインタビュー。

感想・レビュー・書評

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  • 西澤さんの講義を聞いて過去の本を読んでみました。 
    アイデア勝負ではなくて着実な一歩一歩が大切だと気づく一冊でした。

  • ブランドのそだてかたというタイトルより、デザインちっくな内容かなと思ってましたが、企業トップへのインタビューから「ブランド」をどう構築していくかという、企業経営目線の書籍である。

    個人的に会社としての「六花亭」が元々好きなので、そこだけでも価値があると思う(僕だけかも)。

    六花亭の「人材ありきで事業を展開する」という部分は、凄いとしか言えない。「ヒト」が大切であるという経営者の言葉は溢れてますが、それをかなり極端に実施され、成功している。企業として人気が出るのもうなずけます。

    「デザイン」と「経営者」という2つの目線からのインタビューは新鮮であり、この本が伝えたい、複合感も伝わってくる。

    個人的には第1章の6人(社)へのインタビューで十分だと思うところが、もったいない。

  • ブランドとは一貫性であり、古くならない、時間に耐えられるものである。そういったものから、消費者は安心を感じる。
    その時その時の流行りを追ってしまうと、一貫性はなくなる。消費者は安心ではなく興奮を感じているに過ぎない。そして流行り廃れという言葉通り、いつかは飽きられる。時間に耐えることはできない。

    目先の利益のために「モノを売る」ことよりも、
    長期的な目線で「ブランドを育てる」ことが重要。


    「ブランドを育てる」=「会社を育てる」
    商品開発、パッケージ、店舗の外装、内装、雰囲気、さらにはそこで働く人や売り方までも。
    経営リソースの全てにおいて、一貫性を感じるかどうか。

    あらゆる仕事を自社で内製化することができれば、一貫性は生まれやすい。
    パッケージデザインはこの会社、店舗の外装はあの会社、などとバラバラでは、どこかで不一致が生まれて一貫性が弱くなる。

    人材も、会社の在り方の基準に沿う人材を集めなければいけない。商品のどんなところが好きなのか。なぜ好きなのか。そういった商品愛も指標の一つ。


  • 今年(2018年)、いちばんハマった一冊。
    2回読み返しました。

    中川政七商店13代 中川淳さんが
    インタビュアーなのと、
    六花亭製菓がラインナップされていたので、
    北海道民としてチェック。

    下記はメモ。

    ◯経営者のデザインリテラシーを高めないといけない

    ◯意思決定する組織体制がねじれていたりする

    ◯ブランドを育てるしくみ「企画開発」「デザイン」「モノ作り」「人材」「経営」

    ◯それまで存在しなかった独自のポジショニング

    ◯人材の成長を促す態勢や組織作り

    ◯ブランディングは「戦略」「戦術」「戦闘」

    ◯ブランドマネージャーが横串となって、全体を一気通貫で把握しておくことも大切

  • 大好きな「MARKS&WEB」が取り挙げられていたのと
    そもそも「ブランド」とはなんなのか?が知りたくて読んでみた。

    インタビューされている企業の社長(代表)それぞれが思う「ブランド」を知ることができる。

    全体を通して共通していたことは
    「企業の核が揺るぎ無いものである」ことと、
    「末端の自由度が高く主体性があること」こと。
    一見相反するものに思えるかもしれないが、この両立がブランドを育てるのだ、と。

  • ・なんでよんだか?
    じぶんのブランドをどうするかの参考に

    ・つぎにどうする?
    なし

    ・メモ
    ディーン&デルーカ
    感性を大切にできないとルールに頼ってしまう。昔ながらの文房具店にはディスプレイとあう感覚はなく、商品の補充になる。

    スノーピーク
    地域というのはスノーピークという会社の基盤であり、我々のふるさとなので、理屈じゃなく大事なものだと思っています。

    六花亭製菓
    俗っぽいけれども、おいしい菓子をつくろう、その時その時に妥協のない菓子をつくろう。これに尽きる。
    そもそも仕事は大変なことなので、これは自分との闘いだぞと折に触れて言っている。勤勉であれ。つまり、2つのじりつ。自分を律すること、自ら立ち上がってやるということ。
    私たちのここがほかとの差です、と自分で言ってみたところで誰にも伝わらない。マルセイバターサンドの放送が変わったこと、それにより微妙に食感が変わったこと、副産物として食べ方のバリエーションが増えたことを小田社長はチラシで顧客に淡々と伝えた。結果として、顧客は六花亭製菓がどれほどバターサンドにこだわり、真面目に改善をこつこつ積み重ねているかを感じたと思う。六花亭はバターサンドにこだわっています、とチラシに書いたところで、顧客の心には届かない。
    デザインだけ変えて売れないものを売れるようにするのは一番良くない。根本的なところで差別化できない商品はどうしたってダメ。

    自分たちでコントロールしないことにはブランドはそだたない。主導権を握る。外から寄ってくるようにする。事業で失敗するときは自分たちの責任で失敗するんだということ。

  • 帰納的にベストプラクティスを探る一冊。ただし著者の一人がデザイナーなので、ディレクションでからめそうなモノをつくる企業のみが対象。スペックのないサービス業は含まない。

  • デザインの視点からブランディングを考えるのは、モノが溢れた時勢に合っている。ただ、店頭で目立てばよいというわけではなく、そのデザインがきっちりとブランドを顔になっており、買う人間の所有欲や使用欲を満たしてくれる必要があると感じる。
    スーパーにならぶ加工食品の世界にその世界観は通用するのか。現時点では、よっぽど客層とチャネルを選ばない限り、デザインの力でブランドを引っ張り上げるのは難しい。
    どのブランドも1年やそこらで「ブランド」になったわけではないはず。
    本文にもあるように、いいものがまずあり、それを丁寧に、改良しながら社会とつながりつづけて、やっと「ブランド」になりえるのだろう。
    選択肢の多い現代で、長く愛される「ブランド」はとても成立しづらいのではないか。
    モノ視点でいえば、他が真似できない「発明」の域に達する必要があり、さらにそれを根気よく、資源を集中して伝え、販売しつづける事が必要となる。
    そんな発明品の開発と根気のある販売活動と、その見極めを、自社ができるようにならなければならない。

    ・ブランドとは人格である(ディーンアンドデルーカ 横山正紀代表)
    ・ブランドとは価値観である(中川淳 経営の視点)
     →ブランドの価値観を体現する人としてブランドマネジャーという役職を立てている。価値観を細部にわたって明文化することは非常に難しいので、ブランドマネジャーという人を立てることで、そのブランドにかかわる人が判断基準とすべきよりどころとしている。
    ・POPなどのツール類はブランドデザインを構成する上では小さなアイテム群に見えるが、実はお客様との日常の接点であり、売上に直接的に貢献する重要なコンタクトポイントである。これらはコスト、業務スピードの観点から社内制作になることが多いが通常ここで表現の質が落ちやすい(ディーン&デルーカは落ちない)
     →ディーン&デルーカは落ちない。なぜならインテリア、雑貨ブランドで培った経営者のセンスと、従業員一人一人の人格(食とデザインが好き)
    ・やらないことを明確にすることが、ブランドの輪郭をしっかりと作る。「モノを売る」のではなく「ブランドを育てる」感覚でグッと我慢することが大切。
    ・ブランドを形作るものはモノ50:説明50だ(スノーピーク 山井社長)
    ・ブランドーラインー商品 の関係を把握する。
    ・経営者のデザインリテラシー度合いによる
    ・長く売れるものには社会とのつながりがある(デザイン会社ドラフト宮田代表)
    ・経営者とデザイナーが2人とも「やったね!これはいける!」で意気投合して経営者が本気でそのデザインを売ればきっと売れる。
    ・デザインと経営はつながっている。「ブランドマネジメント(=経営)→クリエイティブ・ディレクション→デザイン」
    ・ブランディングとマーケティングは違う。市場調査をして8割の人が良いというものを作ったとしてもそのとおりには売れない。自分たちが本当に良いと思うものを考えぬいて作れば、共感して買ってくれる人がかならず存在する。それこそがブランディングである。
    ・もはや原料による差別化は困難。チョコレートや飴などの半製品で差別化する時代。(六花亭 小田社長)
    ・菓子業界には販売地域を限定したエリアマーケティングの考え方に基づくブランディングがある。菓子がおいしい事が大前提だが「場所の希少性」を付加価値としてブランドの価値に盛り込む方法である。
    ・製品は永久保証
    ・21のしくみ
    1企画開発 「自分たちらしいか」が判断基準
    2企画開発 未活用の経営資源を生かす
    3企画開発 多層的に差別化する
    4企画開発 小さな差別化にとらわれない(品質や機能を改善する本質的な差別化に目を向ける)
    5デザイン 世界観を伝えるデザイン
    6デザイン スタイルを売る
    7デザイン 経営者の目でデザインする
    8デザイン デザイナーに「作る」から「売る」までを経験させる
    9モノづくり 製品は永久保証
    10モノづくり ユーザー視点を忘れない
    11モノづくり 販売スタッフの「説明力」を磨く
    12モノづくり エンドユーザーへ働きかける
    13モノづくり 大量生産はしない
    14人材  「スキル」より「好き」を大切にする
    15人材  デザインへの感性が高い人材を採る
    16人材  三拍子そろった人材開発
    17人材  人材を育てる組織を作る
    18人材  社員の勤勉がブランドを支える
    19経営  事業ドメイン、ポジショニングで差別化する(製品コンセプトでの差別化とは強さが違う)
    20経営  「会社の成長=社員の成長」にこだわる
    21経営  人ありきで事業を考える

  • ブランドのはじめかた、が面白かったので続けて。
    デザインが一貫されていて、ブランドがきちんと成り立っている会社はお洒落でかっこよくて商品もやっぱりいい。今回紹介してくれた企業は全て芯があってみんなが同じ方向を向いている企業ばかり。やはりこういうところがあるからブランドも育って人にも信頼される企業になれるんだな。

  • 信念とか、曲げないこととか、みんなで同じ方向を向くとか、当たり前だけど実はみんなが続けられていないこと。

    それが大事だと再認識。

    ただ、大人の世界では子供のときと違って資金という体力がどこまで続くのかのチキンレース。
    これが尽きるまでに金にしなきゃならないし、目先につられたらブランドにはなんねーし。

    さて、いまの事業はどうなるか。

    とりあえず、曲げるつもりなし。

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著者プロフィール

1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通株式会社入社。2002年に株式会社中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長に就任、2018年より会長を務める。業界初の工芸をベースにしたSPA業態を確立し、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、業界特化型の経営コンサルティング事業を開始。現在は学生経営×地方創生プロジェクト「アナザー・ジャパン」や志あるブランドを世の中に届ける共同体「PARaDE」を提唱。「カンブリア宮殿」「SWITCH」などテレビ出演のほか、経営者・デザイナー向けのセミナーや講演歴も多数。著書に『奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。』『ブランドのはじめかた』『ブランドのそだてかた』『経営とデザインの幸せな関係』(日経BP)、『日本の工芸を元気にする!』(東洋経済新報社)。

「2023年 『中川政七商店が18人の学生と挑んだ「志」ある商売のはじめかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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