爆速経営 新生ヤフーの500日

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822274290

作品紹介・あらすじ

201X年までに営業利益2倍-。その目標に「高速」を超えた「爆速」で挑む。社長打診は突然だった。一瞬ひるんだ宮坂だったが、巨大組織の舵取りの決意を決めた。高収益だがつまらない会社-。そんなヤフーを変えた若き経営陣の改革の軌跡。

感想・レビュー・書評

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  • 背景
    売上など、表面的には問題ない状態。
    ただし内面的には「つまらない会社」と揶揄され、退職者も出るほどの危険な状態だったYahoo。これを変革していくストーリー。

    まとめ
    人の配置と制度を行いつつ、キャッチーな「爆速経営」というワードを共通言語化して広めていったことで、組織文化が大きく生まれ変わることができた。大規模組織でも文化変革をするためのひとつのプラクティス。
    また、経営と組織マネジメントとリーダーシップには同じ要素があると感じ取ることができた。


    ・まずは理念の再定義から始めた。「自分たちは何のために存在しているのか?」
    ・続いて明確な目標。数字を使って具体的に、ここでは「201X年までに営業利益を2倍にする」
    ・それから戦略と戦術。戦略は絶対に変えない軸。戦術は状況に応じて都度変更する「手段」。
    ・トップマネジメントで大事なのは「人事」。誰をバスに載せるか?これが最重要。能力主義でバスのどこに誰を載せるか。異なるタイプを副社長にしてバランスを取るなど。配役によって結果は大きく変わる。
    ・改革者は人から浮くもの。5%から20%くらいまでのフォロワーが増えるまでが一番疲れるが、その先は早い。真っ先に踊り出し「みんな自分みたいに踊っていいんだよ」という空気を作る仕事。
    ・マネジメントは「マイクロマネジメント」と「オープンなマネジメント」の二種類。後者は、評価や意思決定プロセスのルールを公開してみんなに自律的に動いてもらう方法。手が回りきらないならこの方法がベター。サイバーエージェントがオリジンの方法。
    ・経営者の成長要素は「多くの意思決定」「早く経験する挫折」。それには権限と責任が必要。日本電産の永守さんがソース。
    ・キーワードはキャッチーな方が良い。「!(ビックリ)」「爆速経営」。言葉が広まった時にそこから連想されるイメージ効果は大きい。Tシャツになるのをイメージすると良い。
    ・「働くということ」「組織のあり方」を議論してベクトル合わせをするのも大切。人事ではなくても、アンオフィシャルな勉強会でこういったことから影響力を広めるのも一手。人事本部長にアサインされた本間。
    ・女優が美しくいられるのは「見られているから」。仕事も同じ。
    ・人事評価制度のポイントは3つ。「頑張る人が報われることを社内に周知すること」「実際に頑張った人に報いる」「どうしたら報われるのかの基準を明確にすること」

  • ・まず、Yahooは創業以来増収増益を続けていることがすごいが、その状態でも緩やかに衰退してしまう危機感を感じて、経営陣を総入れ替えしたことがさらにすごい。
    ・「大事なのは、誰をバスに乗せるかである」
    適材をバスに乗せて適所に座らせ、「不適材」はバスから降ろす。そうすればおのずとバスの行先は決まる。危機に際して、「戦略を変えよう」「製品を変えよう」「技術を変えよう」等と思ってはいけない。
    最初にバスを見るべきである。厳格な能力主義によって最高の人材をバスに乗せ、最適の席に座らせているかどうかをチェックする。経営が傾いているとすれば、能力主義を貫いていない証拠である。
    ⇒「ビジョナリーカンパニー」の中の一節。ザッポス本にも書いてあったような。
    ・「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」
    何度も挑戦して、何度失敗してもそれを許容し、次に挑戦できる環境を作っていく。打席に立つ機会を増やして、三振しても、また次の打席に入れるような組織。何度もバットを振り、いつかヒット、あるいはホームランが生まれるようになればいい。
    ・150以上のヤフーのサービスから、利益2倍の目標達成に有望なサービスを絞り込み、そこに資源を集中的に投下する。他社に比べて相対的に劣るサービスや成長の見込みが薄いサービスは、他社の力を借りてテコ入れするか、場合によっては撤退も考える。事業を補完し合える相手とは積極的に連携し、大胆な出資・提携もいとわない。
    さらに、従来手掛けていなかった新分野に進出し、新たな事業の柱も育成していく。
    ・「言霊」が組織を動かす。
    どんなに重要な内容でも、その本質を簡潔な言葉で表現できなければ人の意識には残らない。そして、難易度は聴衆が多ければ多いほど上がる。長々と文章を読み上げても、ほとんどの内容は記憶に残らない。「爆速」というワンフレーズは、分かりやすく、言葉にパンチがある。すぐに覚えられ、コンパクトに何度も繰り返せる。
    ・R&D本部を解体して企画、開発、運用が一体になったユニットを大量に作った。これにより、ユニットを率いる新たな現場マネージャーが200人以上誕生。
    ⇒情報共有のメリットよりも、スピードアップの方が重要
    ・組織の活性化には「誰かに見られている」と本人に意識させる仕組みが不可欠。自分の仕事が他人に見られていると感じることで、仕事に対する意識に明らかな変化が生まれる

  • 刺激の塊。こういう人たちが自分で枠組みを作り、ビジネスを動かしているんだと実感。

  • 経営交代後のヤフーを舞台に人事・戦略面を中心に取材構成をしたドキュメンタリー書。

    ドキュメンタリー好きな私としてはとても面白く、特に人事面に重きを置いて書かれている面が興味深い。

    「人財」と良く言われますが、社内外にもその意志を強く発信したいという現れじゃないかと。

    印象的な言葉
    ・上司と部下のコミュニケーションにおける「ティーチング」「コーチング」「フィードバック」。
    従来では、「ティーチング」が主となる部分を「コーチング」「フィードバック」に重点を移し、戦略浸透を図る。
    チームとして、どう機能させるかにおいて、重要な点。

    ・人事評価制度の要諦は3つ
    -頑張る人が報われるということを社内に周知させる
    -実際に頑張った人に報いる
    -どうしたら報われるか、その基準を明確にする

    当たり前のようだが、出来てないですね。

    この書籍に関連して、色々な記事が世の中に出ており、ヤフーの変化を発信している。
    社内の人はこの書籍をどう受け止めているかなど、見る人によって違うことは明白だが、上位2割の層に6割を引っ張る役割をはたしてくれることを期待してます。

    ほんと、面白かった!

  • 新ヤフーがどのように考えて動いているのか、現在進行形で記録されたドキュメンタリー。新しい目標、新しい評価制度を悩みながら定め、新しい流れを作っていく様を知ることができる。

    「脱皮できない蛇は死ぬ。」

  • ずっと爆速ってネタで言ってると思ってたけど、経営思想(行動規範)として『爆速』とあるのか。初めて知った。
    アプリストアを見ると本当、ヤフーのアプリがよく見るけど、スマホファーストに考えてるんだなぁ。もちろん、PCをおざなりにしているわけではないのだろうけど。
    これからもどんどんヤフーは面白くなっていくのだろうか。期待したい。

  • 【選んだ理由】
    ヤフーの経営陣が変わったこと、競合他社であること、小澤さんがいることが興味で読む。

    【感想】
    とても面白く1日で読む。

    スピード感と考え方が印象に残る。10倍挑戦して、5倍失敗して、2倍成功する。爆速経営というセンテンスが記憶に残る。

  • あまりビジネス書を読み慣れていない小生であるが、縁もあり読了。
    2012年より、経営陣を刷新し、新役員体制のもと、若返りを果たしたヤフーの再創業500日の記録とそこに流れる経営理念を浮き彫りにした解説書。
    IT企業だけでなく、企業活動一般を概念的に定めるならば、ベクトルを描く作業に例えることができると私は考える。
    置く空間、向き、大きさ
    スマホファーストでベクトルを置く空間を定め、課題解決エンジンで向きを示し、異業種タッグで大きさを伸ばす。
    これを爆速で行う

    目標を定めることと言葉に出して繰り返すことの大切さを認識させられる本。

  • 【読書メモ】

    ●大切なのは、誰をバスに乗せるか

    ●改革とは、組織の中で浮くこと

    ●まず、登る山を決める。多くの経営者が自分の判断に迷うのは、目標が明確でないからだ

    ●宮坂流のマネジメントの本質「組織は原理原則」で動かす。意思決定の拠り所となるルールを公開し、社員に周知させた上で事業を進める。管理型のマイクロマネジメントではなく、社員が自律的に動く、ルールに基づく権限移譲型のマネジメントを目指す。例えばサービスの番付制度

    ●結局、マネジメントとは人に結果を出してもらうことが仕事

    ●経営は軍議長くすべからず

    ●誰からも嫌われない会社とは、熱烈なファンやユーザーを持たない会社

    ●まずインパクトのあるフレーズで社員の心をつかみ、次にそれを実行するための具体的な仕組みに落とし込む

    ●戦艦大和のような巨艦体制はやめて、小さな駆逐艦を大量に造った。「小さなチーム、大きな仕事」

    ●組織の活性化で絶対に外してはならないポイントは「誰かに見られている」と本人に意識させること

    ●意思決定と挫折の数が経営者を磨く

    ●人事評価の要諦は3つしかない。
     まず頑張る人が報われるということを社内に周知させること
     そして、実際に頑張った人に報いること
     さらに、どうしたら報われるのか、その基準を明確にすること

    ●会社の価値観をつくるんだったら、人事評価にそれを持ったこないと定着しない

    ●新生ヤフーの評価軸となる4つの「バリュー」
     「課題解決」課題解決をしたか?
     「フォーカス」やるべき業務にフォーカスしているか
     「ワイルド」既存の枠組みにとらわれない、ワイルドな判断をしているか
     「爆速」何よりも爆速で動いているか?

    ●最も効果のある人材開発手法は「異動」

    ●「ああ、生きててよかった」「この仕事が楽しくてしょうがない」とか、そういう環境を用意することが、会社の本当の価値かなと思うわけです

    ●会社から「アサイン」という言葉をなくしたい。仕事は全部チョイスにしたい。社員が主体的に選んでいくということです

    ●会社というのはそこで働く人の人生のプラットホーム。人は石垣でも何でもなくて、生身の感情を持っている人たち。それぞれの社員がライフステージに合った働き方ができるようにするべき

    ●ヤフーが被災地の復興支援に並々ならぬ力を注ぐのは、単なる社会貢献以上に、ヤフーの課題解決力を鍛える格好の訓練の場となっているから

    ●大切なのは解き方よりも課題発見力

    ●イノベーションには会議より会話

    ●起業家・経営者育成塾では半分の参加者を社外から募り、従来のヤフーにない価値観や考え方の人間が交じることで、互いに刺激を受け合ってもらうことを狙った

    ●イノベーションを起こすには結合する要素をたくさん持っている人を増やす。たくさんインプットして、いろんなことを知っている人をたくさん採用していく。そしてそういう人たちにどんどん会話してもらう

  • 地道な改革

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