小惑星探査機「はやぶさ2」の挑戦

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822276393

作品紹介・あらすじ

世界初の小惑星からのサンプルリターンを果たした初代はやぶさ。
だが、数々のトラブルに見舞われ、満身創痍での帰還だった。
しかも、目指したのは“行ける星”。“行きたい星”ではなかった。
はやぶさ2が目指すのは“行きたい星”。
水や有機物が存在すると考えられているC型小惑星の一つだ。
その星と地球との位置関係から、はやぶさ2では短期開発が必須。
しかし、なかなか予算が付かず、本格始動は遅れに遅れる。
キーパーソンのインタビューを交えながらプロジェクトの実像に迫る。


小惑星探査機「はやぶさ」の後継機として開発が進む「はやぶさ2」。12月3日にその小惑星探査機「はやぶさ2」を搭載したロケットが鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。さまざまなトラブルに見舞われながらもさまざまな知恵で困難を乗り切り、微粒子ながらもケイ素質(S型)小惑星「イトカワ」の破片を見事に地球に持ち帰ったはやぶさ。はやぶさ2では、炭素質(C型)小惑星「1999 JU3」の破片の持ち帰りを目指す。

微粒子ではなく、もっと大きな破片を持ち帰りたい。そのミッションをより確実に遂行できるように、はやぶさ2では、はやぶさの教訓や経験を生かして様々な改良や新技術を加えている。はやぶさ2のプロジェクトの意義と全体像、ミッション遂行に向けたシナリオ、それを実現する技術、さらにはやぶさから得られた教訓に基づく改良点など「はやぶさ2のプロジェクトの全貌と凄さ」、および「打ち上げまでに乗り越えなければならなかった生みの苦しみ」をキーパーソンのインタビューを交えて紹介する。

筆者は、宇宙関係のプロジェクトや技術に詳しい松浦晋也氏。宇宙開発に興味のある一般の技術者/ビジネスマン、将来の技術者候補である大学生や高校生を主な読者対象として想定している。

感想・レビュー・書評

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  • プログラム的探査 単独ではない難易度の高い継続性
    手順 1.接近 2.周回 3.着陸 4.サンプルリターン

    はやぶさ 技術試験機 行ける惑星へ行く
     地球スイングバイ+専用キックモータで世界最高効率
     140トン全段固体ロケットで510kgの探査機
    はやぶさ2
     1999 JU3 リュウグウ 行きたい惑星へ行く
     2の能力で往復できる唯一のC型(炭素質)小惑星
     熱や構造設計そのまま 短期間に低コスト
     ・インパクター IHIエアロスペース 対戦車弾頭技術 2kgの銅の蓋を弾丸に成形
     ・Kaバンドの高利得アンテナ 大量データ送信

    PPP 段階的プロジェクト計画 を採用(はやぶさは理学工学2人の教授の独裁)
       ミッション定義審査
       システム要求審査
       システム設計審査
       基本設計審査
       詳細設計審査

    JSPEC 月・惑星探査プログラムグループ設立 2007年 JAXAの下位組織
     ISSの次の国際協力テーマ? →有人探査
     かぐやに続く月探査機?

     太陽系探索 工学 ジャンプ シーズ先行 開拓科学
     天文学   理学 ニーズ先行で安全第一 精密科学

    探査 行ったことがないところに行くことにこそ価値
       +どのような新技術で理学の展望が開けるか?
        日本は質を重視したいが、理学も量の勝負になっている

     木星以遠では太陽光以外の電源=原子力 太陽の重力が弱く直線移動可能に
     イオンエンジン 50mNでは弱く、将来はホールスラスター 1Nへ

    軌道決定
     電波を使い、3億kmかなたの探索機を500mの精度 

    LUNA-A
     月へ地震計ペネトレーターを打ち込み→搭載機器の破損で中止に
      対策:最初から壊れるところを作っておく

    はやぶさ2
     科学の広がり コミュニティーづくり
      それまでの研究と新たな手法でのつながり
      一点突破では多くの科学者の興味を引けない? 副作用の緩和策?

     SELENE-2か?はやぶさ2か? の判断
     →「小惑星からの惑星科学」へ 目的のストーリー化
       工学と 惑星形成論+物質科学(隕石学)との合流
     
      一つひとつの疑問へ誠実に答えていって
      はじめて共有され、みんなで目指すミッションになる。
       国際的な探索クラブへの参加 →重力天体への着陸技術
     

  • No.756

  • さまざまなトラブルに見舞われながらも見事困難を乗り切り、「イトカワ」の破片を地球に持ち帰ったはやぶさ。はやぶさの後継機「はやぶさ2」のプロジェクトの全容とそのすごさが分かります!【大宮図書館スタッフ】

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著者プロフィール

ノンフィクション作家/科学技術ジャーナリスト宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日経BP社記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後、独立。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。

「2022年 『母さん、ごめん。2 ― 50代独身男の介護奮闘記 グループホーム編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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