- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822283681
作品紹介・あらすじ
数学者・物理学者が見出した対称性の美の本質。代数方程式の解の存在性から量子の挙動まで説明できる「群論」という強力ツールの発展。
感想・レビュー・書評
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楽しい本だった。対称性をキーワードに古代の数学からガロア理論、そして相対性理論、最先端の超弦理論へ。厚い本だが語り口がうまくどんどん読める。この中で特に対称性で大きな発見をしたのが若くして死んだ天才ガロア。改めてガロアの偉大さがわかりました。天才ウィッテンも出てきて、現代物理の入門としても良い本だと思います。
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数学者、物理学者たちが共通して持っていたと思われる考え方、対称性について、理解を深めることができる。すごい発見、考えをした人たちの生き様がよく描かれていて、面白いし、興味が湧いてくる。
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「対称性」ということなので、素粒子理論やひも理論のことが出てくるのは分かっていた。ただ、その説明のために高次方程式の解を導く公式から始まるのは想定外。ただ、読み進めていくと納得できる。高次方程式の解法が、何かが不可能であることを証明することや、複素数という新しい「数」の発明、という数学の歴史の中でも大きなステップにつながる出来事でもあったということがわかるからだ。そして何より、現代物理学にとって重要な「対称性」の鍵となるガロアの群論がここから始まったからだ。
(群論は、大学のときに全く頭に入らなかったことで覚えている。大事なんだろうなとは思っていたのだけれど...)
量子力学の歴史や、ひも理論、多宇宙理論などの歴史を綴った科学書はいくつか読んだが、「対称性」を鍵に、さらにレイヤを上げてそれらの歴史を再構成したようなイメージの本だ。「対称性」ということが理解できたかというと、できてはいないのだけれど、そのフレーバーは感じることができた。8元数の性質が、ひも理論の次数が10次元であることを基礎づけるかもしれない、ということが出てくると、数学と物理学(現実)がつなが意外なところでつながるようで、心惹かれるものがある。
数学と物理学のダンス。物理学にとって「真」とは何か。数学にとって「美」とは何か。決して簡単な本ではないが、改めてそういったことを考えさせてくれる本。でも、ちょっと難しいね。 -
うーむ、数学者の人間ドラマ中心。。。。
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いっけん何の役にたつかわからないような数学の概念が、じつに応用への大きな可能性を持つかが分かる本です。5次方程式に解の公式がないという話から始まって群論へ、微分方程式に対する同様の議論からリー群へと展開していきます。その後、これらの数学の概念は物理学の分野で不可欠な道具となっています。
数学者たちのエピソードも面白いです。さすがイアン・スチュアートといった感じです。内容をざっと知りたいなら訳者のあとがきを読むとよいでしょう。 -
130630 中央図書館
数学読み物の書き手として、現在イアン・スチュアートはNo.1だと思う。通俗読み物によくあるような、パズル的なトピックの羅列には終わらない。読者が数学の本質的な役割について考えさせられるような深いテーマを、数式を極力用いずに、やさしく丁寧に語る。
本書は、数学の発展史の見取り図だが、特に幾何から代数学を経て群論に至る道筋を取り上げている。数学の進化(抽象への深化)が、物理学分野での宇宙の真理をさぐる原動力となっていることが語られる。
数学は、ガロアによる群論の萌芽をその発展のエポックとして記憶する。ガロアは5次方程式の代数的解の存在の考察から、数学の抽象化の大きなステップを築いた。これによって<b><u><span style='color:#ff0000;'>数学は、算術、幾何学、代数や三角法といった数や形の学問から構造の学問へと、対象の学問から過程の学問へと変化した</span></u></b>。そこにあるものの分析に役立つだけではなく、真理の構造を予言しうる強力なものへと進化したのである。 -
純粋に対称性のお話だと思いきや、数学史から眺めた対称性を浮き彫りにするという形式で、数学の楽しみがぐっと深まる本になっていました。
数学史からの眺めているので、いろいろな人が紹介されています。そのため、リンクが貼られすぎて、この本から各方面へ、どれだけのことが調べられう得るかという、インデックスになりそうです。数学者の人間らしい一面や、その時代に要求されている数学に関して、数学は決して転載の閃だけでなく、社会と伴って進化してきていると行くことがかるいい本だと思います。おすすめです。