- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822288907
作品紹介・あらすじ
20年後、あなたは何歳だろうか?
ひとつ確実なことがある。それは、人間が必ず歳をとることだ。
iPhoneが発売されたのは、たった13年前だった。現在、スマートフォンがない世界なんて考えられない。そして、これまでの10年より、これからの10年の方が世界は大きく、早く変わるだろう。
テクノロジーだけでなく、ほかのことも、気づいたときには手遅れになっているのが人間の性である。地震や災害も、リスクをわかっていながらも被災するまで手を打つ人は少ないし、明らかに社会制度の破綻しつつある。人口は増えず、老人ばかりの国になるし、環境問題も悪くなる一方だ。
これまでと同じように暮らしていたら、今の年齢によっては取り返しのつかない可能性もある。
この本は、あらゆるデータから導き出されるありのままの未来を書いた。「今日」にはこれから起こることの萌芽がある。現在を見つめれば、未来の形をつかむことは誰にでもできる。
本書は、ただ知識を得るためだけの本ではない。読んだ後、俯瞰的に未来を考えられる力がきっとついているだろう。
感想・レビュー・書評
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書評サイトの代表の成毛さんが日本の未来を予測した本。今後の世界は、6G,自動運転,無人店舗,AIなどの技術の進歩による良い点もある。だが、環境悪化,更なる高齢化などの悪い点もある。日本は経済が低迷して、年金は減り、定年がさらに上がってしまいう。この国はこれまで幾つもの難題を乗り越えてきただが、これからも難題を乗り越えるには大きな社会の変化が必要かもしれない。だが例え、日本の将来が暗くても常に考えられる人の未来は明るい。どんなことにも興味を持ち、考え、行動することが大切だと分かった。
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【感想】
近い将来に実現するであろう最先端のテクノロジーの紹介と、同じく近い将来に直面するであろう日本の問題について書かれた本でした。
先日読了した「2030年:すべてが加速化する世界に備えよ」と同テーマの本かと思いましたが、より日本社会にフォーカスした内容が具体的に書かれていました(^^♪
前半部分は、「こんな世界が実現するのか!」と読んでいてかなりワクワクしたのですが、後半部分の日本の"明るくない"将来について書かれているパートを読めば読むほど絶望的な気持ちになってきました(笑)
「借金大国」や「少子高齢化」なんて耳にタコが出来るくらい聞いてきたフレーズですが、それがもう近い将来に迫り、且つこれほど具体的に書かれていると、やっぱりかなり参ってしまいますね(笑)
めちゃくちゃ面白くて、気合入れて思った事や感じた事をつらつらと書いていたら、予想以上にクソ長いReviewとなりました!笑
よければ最後までお付き合いください。。。
まず、最先端のテクノロジーについて、下記にて紹介します。
1つ目は、僕たちが普段から使用しているデータ通信について。
最新では「5G」によって格段に処理スピードが上がり、既存のサービスのバージョンアップは勿論、新しいビジネススタイルの創造という恩恵ももたらしてくれています。
そんな「5G」に次ぐ「6G」が、2030年頃には登場予定との事!
処理スピードは「5G」の約100倍、そんな「6G」の台頭により、本著ではついに「自動運転」が一般化されるのでは?と提唱しています。
また、処理スピードの劇的な向上はそのような物流分野のみではなく、遠隔医療・遠隔手術などメディカル分野にも恩恵をもたらすと言われております。
日常生活あるあるの「YouTubeの読み込みが遅いな~」「PCまた固まっちゃった・・・」みたいな不便さだけに視点がいきそうですが、マクロな視点でビジネスモデルが一新される事は間違いなさそうですね!!
データ通信の発達によるエクスポネンシャル、コンバージェンスにより、僕たちの働き方も大きく変わる事でしょう。
2つ目は、人工的に「太陽」を作り出す、ネクストエネルギーの「核融合」について。
僕は化学がとても苦手ですのでよくわかりませんが・・・簡単に言うと"人工の太陽"を作っちゃおうとしているのです。
理論的には「重水素とトリチウムの原子核が衝突し、ヘリウムの原子核と強力な中性子が発生。その中性子を壁にぶつけて生まれる熱を取り出す。」といった工程を経て、重水素などの燃料1グラムから、なんと「石油8トン分のエネルギー」を得る!!といった凄まじいイノベーションが実用化に向けて進められているとの事!!
ただしこの「核融合」というプロジェクトは2020年にすでに開始されており、2025年に実験開始、稼働が2035年で実用化は2050年頃とのこと。
(化学とは無縁の僕は、上の文字だけを見れば、「え、あと20年以上もかかるの?!重水素とトリチウムっていう原子を準備したらすぐ出来るんちゃうん?!」と思っちゃいましたが。笑)
「核融合」と聞くと、「原発なみにリスクが大きいエネルギーなんじゃないの?」「何か危ないんじゃないの??どんなリスクがあるの??」と身構えましたが、、、
・火力や原発の課題を克服し、安全で環境に影響を与えず、取扱いに困る廃棄物も出ない。
・また原料についても重水素やトリチウムが海水などから手に入れられるため、燃料が枯渇する恐れは殆どない持続可能なエネルギー。
・温暖化の原因となる二酸化炭素も排出しなければ、高レベルの廃棄物も発生しない。
などなど。安全性と持続可能性も含め、まさに「未来の理想のエネルギー」なんですね!!
ただ、上記の通り、現段階では「机上の空論」から数歩進んだレベルで、実用化にはかなり時間がかかるらしいです・・・
余談ですが、特に興味を抱いた「核融合」について、個人的にネットでもチョロっと情報収集をしました。
1番の特徴は、本著と同じその膨大に生み出されるエネルギー量で、「火力発電の数百万倍、原子力発電の約3倍に相当するエネルギーを生成できます。さらに材料は水素であるため海が干上がらない限り枯渇しない」と書かれていました。
また、「核融合」への挑戦の歴史は古く、なんと1930年代から着手されていたとの事。
それでいて完成は2050年頃なので、なんと着手から実用化まで120年ほどかかるということか・・・・やばい。笑
では、「核融合」は何故そこまで実用化が難しいのか?まずは核融合の原理を紹介します。
⇒核融合とは原子核同士が合体すること。
⇒原子力発電ではウランの原子核が分裂することを利用して発電をしている
⇒原子力発電とは真逆の原理
ちなみに原子核の融合の為に原子核同士を接近させる必要がありますが、原子核は+同士なので強く反発し合い、接近させるのに約1億℃の熱が必要になるとの事。
ただ、技術的に難しいのはここではないらしいです。
接近時に1億℃の熱が発生するもなると、水素はプラズマの状態に変わってしまい、大きな運動エネルギーを持って拡散しようとします。
拡散して他の材料にぶつかるとプラズマは冷えてしまうため、核融合が行われるように一定の場所に留まらせる必要があります。
この「プラズマを制御する」方法、それが核融合における最も困難な部分と言われています。
また、核融合を成功させるプロトタイプが現状一切ないのもまた大きな課題のようです。まだまだ手探り状態なのですね・・・
国際熱核融合実験炉「ITER」の総建設費は2.5兆円。
いよいよ2025年から実験がスタートするようですが、本当に実現するのでしょうか?笑
続いて、「明るくない日本の将来」のパートに移ります。
1つ目は、上記の高齢化について。
これに関しては、言わずもがなですよね。。。
高齢者が増え現役世代が減る事で、税収は落ち込み医療介護費は増え、今よりも財政が厳しくなっていくことは火を見るよりも明らかです。
いま僕は33歳なのですが、この先の人生やっていけるかどうか、改めて考えると本当に不安だなぁ・・・・
2つ目は、これは個人的に興味を持ったトピックなのですが、「日本の不動産価格」について。
これについては本当に色んな見解があるのでしょうが、本著には「2~30年先で、且つ都心部であれば、むしろ価格は高騰する可能性が高い」と書かれてあります。
理由は明確で、国内の人口減は否めないが、他のアジア圏都心部(香港・シンガポール他)と比べれば相対的に安価なため、投資先としてはまだまだ日本は魅力的であるとの事。
ただし、上記の通りそれは"都心部"に限った話で、地方では人口減少&空き家増に伴って新築物件は減少し、住宅の価値はどんどん下落の一途を辿るとの事。
そんな世の中だと不動産のサブスクリプションも当たり前になっていく可能性も高い為、作中では「家を買う必要のない人が増える」「35年ローンは過去の遺物になる」とまで書かれていました。
永遠の問いであった「購入vs賃貸」という議論に、ついに終止符が打たれるのか・・・
そう感じると共に、僕自身が近々住宅の購入を検討しているものですから、筆者のこの主張には背筋がゾっとしてしまいましたね・・・笑
3つ目は、避けては通れない「天災」について。
これも耳タコですが、日本列島において天災は必ず起こるとの事。
具体的に数値化すると、、、
・南海トラフ(M9)は30年以内に70~80%
・首都直下型(M7)は30年以内に70%
・「100%起こる」と言われている富士山の噴火が300年ほど起きていない(=いつ起きてもおかしくない)
などなど・・・・・・・・
この3つも相当恐ろしいですが、実際毎年のようにどこかのエリアが何らかの災害に見舞われていますよね。
幸い僕自身は生活に大きく影響を及ぼすレベルの災害は阪神淡路大震災以降は受けておりませんが、日本ではドコに住んでも何らかの災害と隣り合わせ。
これに関しては切っても切れない関係ですので、最低限の予防はしつつも受け入れるしかないものですね。
平和でのほほんとした毎日で忘れていましたが、日本に住むこと自体が大きなリスクと隣り合わせなのですね。
・・・とまぁ、こうしてReviewしていても気が滅入るような事ばかりですね(笑)
ただ皆さん、安心して下さい!筆者も巻末でこう主張しています。
「テクノロジーがあらゆる問題を解決してくれる」、「最悪の事態を想定しながら未来を描け」と、締めてくれました。
個人的には、御年65歳になる成毛眞のことですから、「3~40年先の事なんて、もう俺には関係ないぜ!お前ら頑張れよ、バイバ~イ!!」って言われてる風に感じましたが(笑)
そんなこんなで、読後はかなり気持ちがズーンと落ちちゃいましたが、、、、ただよくよく考えてみますと、確かに先行きが見えなさ過ぎて不安になるよりも、こうして起こり得る一番最悪のパターンを知っておくことが重要ですよね。
最悪のパターンを想定した上で人生設計をしていけば、人生において大きく躓くことはないのかもしれません。
本当に面白く、若者には読後に絶望感を与える、とてもとても興味深いオススメの1冊です!
【内容まとめ】
0.最悪の事態を想定しながら未来を描け。
「テクノロジーがあらゆる問題を解決してくれる」と楽観的に考えれば良い。
たしかに日本の将来は明るくない。困難に直面するのは避けられない未来が待っている。
だが、それと同時にテクノロジーも発達している。
地震も台風も温暖化も、これから20年先の未来には、今とは違う景色が待っているはずだ。
ひとつアドバイスをしよう。それは、「国を忘れる」ことだ。
日本国民であることや、国籍を変えろとかいう話ではない。「あなたの力で国を変えよう」など、間違っても思うなということだ。
今これを読んでいるあなたは、国事を忘れて、これからの時代をどうやって生き残るのかをまず考えるべきだ。
どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギーを注ぐのをオススメする。
生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは、歴史が証明している。
環境に適応するには環境を知ることが不可欠だ。最悪の事態が想定できていれば、右往左往することはない。
最悪の事態を想定しながら未来を描け。
そうすれば、あなたの人生はそれよりも悪くなることはない。
1.新しいテクノロジーが登場したとき、人間はその普及に反対する。
新しいテクノロジーに対して、普通は人は懐疑的になる。そういうものなのだ。
だからこそ、いち早くその可能性に思いを巡らせられる人にはチャンスがあるのだ。
2.テクノロジーの加速度的な進展に欠かせないのが中国の存在。
2007年時点のGDPでみると、中国はドイツを抜いて世界3位に浮上したところで、日本が世界2位を守っていた。
中国にその座を明け渡すのは3年後の2010年だ。
そのまま今では中国のGDPは日本の3倍近くにまで膨れ上がっている。
3.「6G」で自動運転が可能に
2030年ごろに登場予定の6Gは、5Gの100倍と言われている。
6Gの台頭により、高速で大容量のデータ通信が可能になり、通信が途切れなくなってタイムラグもなくなる。そうすると、自動運転が実現される。
公共のバスや電車などは、ネットワークに接続された自動運転になり、輸送や物流なども効率的になる。
上空はドローンが行き交い、どこにでも欲しいものを配達してくれるはずだ。
遠隔手術も現実化する。カメラとロボットを使って、医師が多くの救えなかった命を遠隔で救うはずだ。
4.世界で注目!ネクストエネルギーは「核融合」
軽い原子核同士が結び付き、重い原子核になる現象。
具体的には重水素とトリチウムの原子核が衝突し、ヘリウムの原子核と強力な中性子が発生。その中性子を壁にぶつけて生まれる熱を取り出す。
重水素などの燃料1グラムから、石油8トン分のエネルギーが得られる。
現在フランスで国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」が進んでおり、2020年から組立作業開始、2025年の実験開始を目指し、順調にいけば2035年に本格稼働、実用化は2050年ごろ。
5.日本は慢性的な借金大国
日本の財政を家計に例えると、毎年収入より支出が多い状態が続いている。慢性的な借金体質なのである。
税収だけでは予算を組めない。消費税や所得税、法人税などの税収では歳出の約6割しか賄うことができていない。
そのため残りは国債を発行し、実質日銀が殆ど買い上げている。
単純な解決策として、歳出を減らせば良いだけなのだが、現実的には厳しい。1番の理由は高齢化だ。
6.日本の不動産価格について
確かに人口減少に伴い空き家が増え、地価が下落というストーリーが定説だが、コロナの影響で状況が変わる可能性もある。
50年後には下落している可能性は高いが、世界中の政府が経済の刺激のために、コロナ禍で大量のマネーを供給した。
まずは株式市場に流れ込んだが、その次に金が行くのはおそらく不動産だ。
香港やシンガポール、アメリカ都市部の地価はかなり高く家賃も高騰している。いずれ落ち込むのは確実視されているとはいえ、日本は相対的に「安い」国なのだ。2030年だけでみると地価上昇もあり得る。
だが、それは都市部だけの話だ。
全国的に見ると、2033年には30%、約2100万戸超が空き家になるという。
7.「35年住宅ローン」は過去の遺物⇒住宅がサブスク化?
人口増が望めない以上、新築物件は減り、戸建の空家は頭打ちになる。
資産価値が見込める一部を除き、住宅の価値は下落する。買うにしても借りるにしてもコストは下がる。
おそらく自分の家が欲しいと考える人は、サラリーマン層にはいなくなっていく。そして、家を買う必要がないと考える人が増えれば、家の価格はさらに下がる。
「35年住宅ローン」は過去の遺物となり、買わずに借りるにしても家賃が収入に占める割合は劇的に下がる。
ちなみに2020年時点で、定額制で家に住み放題のサービスも生まれている。
8.天災は必ず起こる
地球温暖化により海面上昇、あらゆる河川の氾濫が発生する。また2100年には日本は熱帯化すると言われている。
台風も温暖化によって大型化し、豪雨が増加している。首都圏や地方に関係なく、誰もが水害の当事者になりうる。
マグニチュード9クラスの南海トラフは30年以内に70~80%、マグニチュード7クラスの首都直下型は30年以内に70%の確率で起きると予測されている。
南海トラフは死者・行方不明者が23万人、全壊・全焼する建物は210万棟と予測される。
富士山の噴火も、専門家によると「火山学的に100%噴火する」と断言されている。
富士山が最後に大規模噴火したのは1707年だが、そのときは16日間も噴火が続き、東京の都心部に5センチ、横浜には10センチの火山灰が積もったとされる。
そうなれば交通機関や物流、火力発電などのインフラの崩壊は回避不可能だ。
ちなみに富士山は300年ほど大きな噴火が起きていないが、それ自体が歴史的に珍しい。逆にいえばいつ起きてもおかしくないといえる。
【引用】
p7
テクノロジーの加速度的な進展に欠かせないのが中国の存在だ。
2007年時点のGDPでみると、中国はドイツを抜いて世界3位に浮上したところで、日本が世界2位を守っていた。
中国にその座を明け渡すのは3年後の2010年だ。
そのまま今では中国のGDPは日本の3倍近くにまで膨れ上がっている。
p25
・新しいテクノロジーが登場したとき、人間はその普及に反対する。
新しいテクノロジーに対して、普通は人は懐疑的になる。そういうものなのだ。
だからこそ、いち早くその可能性に思いを巡らせられる人にはチャンスがあるのだ。
p40
・「6G」で自動運転が可能に
2030年ごろに登場予定の6Gは、5Gの100倍と言われている。
6Gの台頭により、高速で大容量のデータ通信が可能になり、通信が途切れなくなってタイムラグもなくなる。
そうすると、自動運転が実現される。
公共のバスや電車などは、ネットワークに接続された自動運転になり、輸送や物流なども効率的になる。
上空はドローンが行き交い、どこにでも欲しいものを配達してくれるはずだ。
遠隔手術も現実化する。カメラとロボットを使って、医師が多くの救えなかった命を遠隔で救うはずだ。
(今は専門医師不在のために世界で1億件以上のオペが行えていないという試算がある)
p75
・監視カメラ国家、中国
中国では、「スコアに影響するので悪いことをすることは損」という感覚が広まりつつある。
信用スコアは、暮らしやすい社会の実現をサポートすると考える人も増えている。スコアが高いと優遇されるからだ。
監視カメラがあるから信号を守る。
スコアが悪くなるからズルをしないしお店のキャンセルをしない。
p106
・世界で注目!ネクストエネルギーは「核融合」
軽い原子核同士が結び付き、重い原子核になる現象。
具体的には重水素とトリチウムの原子核が衝突し、ヘリウムの原子核と強力な中性子が発生。
その中性子を壁にぶつけて生まれる熱を取り出す。
重水素などの燃料1グラムから、石油8トン分のエネルギーが得られる。
核融合は、重水素やトリチウムが海水などから手に入れられるため、燃料が枯渇する恐れは殆どない。
また温暖化の原因となる二酸化炭素も排出しなければ、高レベルの廃棄物も発生しない。
火力や原発の課題を克服し、安全で環境に影響を与えず、取扱いに困る廃棄物も出ない。
現在フランスで国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」が進んでおり、2020年から組立作業開始、2025年の実験開始を目指し、順調にいけば2035年に本格稼働、実用化は2050年ごろ。
p124
日本の財政を家計に例えると、毎年収入より支出が多い状態が続いている。慢性的な借金体質なのである。
税収だけでは予算を組めない。消費税や所得税、法人税などの税収では歳出の約6割しか賄うことができていない。
そのため残りは国債を発行し、実質日銀が殆ど買い上げている。
単純な解決策として、歳出を減らせば良いだけなのだが、現実的には厳しい。1番の理由は高齢化だ。
p193
・日本の不動産価格について
50年後には下落している可能性は高いが、果たして2030年はどうだろう?
確かに人口減少に伴い空き家が増え、地価が下落というストーリーが定説だが、コロナの影響で状況が変わる可能性もある。
世界中の政府が経済の刺激のために、コロナ禍で大量のマネーを供給した。
まずは株式市場に流れ込んだが、その次に金が行くのはおそらく不動産だ。
では、どこの国の不動産か?
香港やシンガポール、アメリカ都市部の地価はかなり高く家賃も高騰している。
いずれ落ち込むのは確実視されているとはいえ、日本は相対的に「安い」国なのだ。2030年だけでみると地価上昇もあり得る。
だが、それは都市部だけの話だ。
全国的に見ると、2033年には30%、約2100万戸超が空き家になるという。
p213
人口増が望めない以上、新築物件は減り、戸建の空家は頭打ちになる。
資産価値が見込める一部を除き、住宅の価値は下落する。買うにしても借りるにしてもコストは下がる。
おそらく自分の家が欲しいと考える人は、サラリーマン層にはいなくなっていくだろう。
そして、家を買う必要がないと考える人が増えれば、家の価格はさらに下がる。
「35年住宅ローン」は過去の遺物となり、買わずに借りるにしても家賃が収入に占める割合は劇的に下がる。
2020年時点で、定額制で家に住み放題のサービスも生まれている。
p232
・貧しくなる日本にシェアリングは不可欠
衛生面にリスクがあろうが、安く済ませたい、買いたくても買えないからシェアリングを利用したいという欲求が依然として強い。
p237
・天災は必ず起こる
地球温暖化により海面上昇、あらゆる河川の氾濫が発生する。また2100年には日本は熱帯化すると言われている。
台風も温暖化によって大型化し、豪雨が増加している。首都圏や地方に関係なく、誰もが水害の当事者になりうる。
マグニチュード9クラスの南海トラフは30年以内に70?80%、マグニチュード7クラスの首都直下型は30年以内に70%の確率で起きると予測されている。
南海トラフは死者・行方不明者が23万人、全壊・全焼する建物は210万棟と予測される。
富士山の噴火も、専門家によると「火山学的に100%噴火する」と断言されている。
富士山が最後に大規模噴火したのは1707年だが、そのときは16日間も噴火が続き、東京の都心部に5センチ、横浜には10センチの火山灰が積もったとされる。
そうなれば交通機関や物流、火力発電などのインフラの崩壊は回避不可能だ。
ちなみに富士山は300年ほど大きな噴火が起きていないが、それ自体が歴史的に珍しい。逆にいえばいつ起きてもおかしくないといえる。
p266
テクノロジーがあらゆる問題を解決してくれるのではと楽観的に考えれば良い。
地震も台風も温暖化も、これから20年先の未来には、今とは違う景色が待っているはずだ。
だが、日本の将来は明るくない。
困難に直面するのは避けられない未来が待っている。
ひとつアドバイスをしよう。
それは、「国を忘れる」ことだ。
日本国民であることや、国籍を変えろとかいう話ではない。「あなたの力で国を変えよう」など、間違っても思うなということだ。
経験豊富な政治家や官僚のトップ、コロナウイルスですら国を変えられないのだから、多分もう変わらない。
今これを読んでいるあなたは、国事を忘れて、これからの時代をどうやって生き残るのかをまず考えるべきだ。
どうすれば幸せな人生を送れるかに全エネルギーを注ぐのをオススメする。
生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人であることは、歴史が証明している。
環境に適応するには環境を知ることが不可欠だ。
最悪の事態が想定できていれば、右往左往することはない。
最悪の事態を想定しながら未来を描け。
そうすれば、あなたの人生はそれよりも悪くなることはない。-
初めまして。
「生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人」私もそう思うます。
周囲の環境の変化にも積極的に行動していく必要がありますね...初めまして。
「生き残るのは優秀な人ではなく、環境に適応した人」私もそう思うます。
周囲の環境の変化にも積極的に行動していく必要がありますね。2021/05/19 -
HARUTOさん
コメント有難うございます!HARUTOさんのレビューも拝見し、とても参考になりました(^^)
何でも安易に乗り掛かるのも...HARUTOさん
コメント有難うございます!HARUTOさんのレビューも拝見し、とても参考になりました(^^)
何でも安易に乗り掛かるのも考えものですが、新しいモノや技術に対して「食わず嫌い」にならない程度の柔軟性が今後必要そうですね!(^^)
本当に面白くて興味深い1冊でした!2021/05/19
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将来のことについて書かれた本を読むと、日本の将来は、、、暗いらしいです。
でも、「こんなに小さな日本が世界第2位の経済大国であった!」ことの方が奇跡的であり、これからが本来の状態のような気がします。
移住したい国、第1位の日本は、まだまだ魅力がある国だと個人的には思います❕
あとインデックス投資は生活の余力があればやった方がいいんだろうなーと感じました。
ぜひぜひ、読んでみてください -
未来予測シリーズ第2弾。
(私の中でね)
結構悲観的な内容。
でも現在の情報から考えられる未来で
あることは間違いないと感じた。
大切なのは、知ることではなく、
知ったことで何をするかだと思う。
1人じゃなにも出来ないけど、
きっと1人じゃないはず。
日々勉強だな。 -
猫の死後10数年ってところでしょうか?
【新・仕事の周辺】成毛眞(書評サイト「HONZ」代表) 自分のなかの静かなる戦い - 産経ニュース
https://www.sankei.com/life/news/210411/lif2104110017-n1.html
2040年の未来予測|日経の本 日経BP
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/21/P88900/ -
未来は現在の延長線上にあるので、「今」のテクノロジーや社会情勢をベースにすれば、20年後くらいの未来は予測可能である、という考えのもと2040年に起こっているであろう出来事を予測し、未来の可能性とリスクを示した本。
その通りだな~と思ったのは、「はじめに」にある、「新しいテクノロジーが出たとき、世の大多数は否定的である。それを大衆という。世界を変える可能性に気づく人間は少ない。新しいテクノロジーは、ありがたみがわかったときにはすでに陳腐化している。テクノロジーだけではなく、他のさまざまなことも、気づいたときには手遅れになっているのが人間の性でもある。」というところ。
振り返って、つくづく自分の「大衆」っぷりに気づかされた次第。
5G、6Gの通信技術、AI、IOT、全個体電池、核融合等々のテクノロジーをはじめとして、年金、税金、医療費、教育、衣食住、災害等々、生活全般にわたり「そうかも」と思わせられる未来予測が満載。
ちなみに電池についていえば、先日の日経で、リチウムイオン電池を補完する蓄電ソリューションとして「キャパシタ」が紹介されていた。リチウムイオン電池よりも急速充電が可能で、発熱や爆発の危険が無いとの事。ただ、高容量化と製造コストでまだリチウムイオン電池には及ばない等の問題もあり、お互いが補完的な立場になるのでは、との事だった。
なるほど、こうやって将来の進歩に向けてのタネが徐々に出てきて、未来へつながるのかも、と早速本書の主張を実感した次第。
あと、個人的にはかねがねより、5Gや6Gの普及により、配信による完全没入型のエンターテインメントが普及し、今で言う「ネトゲ廃人」のようにそこから戻ってこれなくなる人が増加、社会問題になるのでは、と予想している。
あと、20年生きて答え合わせをしてみたい。 -
文末にあったように、悲観的観測が並んでいた。しかし、これがリアルというモノなのだろう。天地をひっくり返すイノベーションが起こらないだろうかと考えもしたが。
不確かな希望を夢に見るよりも、確実に予想されるリスクを乗り越えられるように準備が必要だと肝に銘じて。。
文面は読みやすく、いいテンポで読めた。 -
2040年といえば、うちの子どもが成人を迎える年。
こどもを社会に無事送り出すのが親の務め。
その社会がどうなるのか。
いいこともそうでないことも、
どんな変化が起ころうと、
それにうまく順応できるかどうかが肝心。
今から準備できることはなにか、考えるきっかけになりました。