成功する起業家は「居場所」を選ぶ 最速で事業を育てる環境をデザインする方法
- 日経BP (2019年4月11日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822289539
作品紹介・あらすじ
東大で200以上のプロジェクトを支援してきた
アクセラレーターが明かす!
ビジネスモデルより大切な「経営環境の4要素」
近年は、起業やイノベーションに関する情報にあふれています。
それでも起業でうまくいかない(または起業する前に諦めてしまう)人が絶えないのは、
知識やノウハウ以外の部分に成否を分ける要素があるからではないか?
長年、起業支援を行ってきた著者は、そんな問題意識を持つようになりました。
そこでこの本では、スタートアップを取り巻く「環境」に注目し、
成功を導く(そして失敗をできるだけ防ぐ)要素を分析しています。
それが、以下の「4つのP」です。
●Place:どこでやるか?
●People:誰とつながるか?
●Practice:どう訓練するか?
●Process:どう仕組みを作るか?
豊富な事例とエビデンスを用いて「良い環境の作り方」を解説
スタートアップが新しいアイデアを育み、実行力を高め、
チーム全体で成長していくためにはどんな環境がいいのか?
著者は膨大な数の事例とエビデンス(各種研究で導き出された学術的・科学的な根拠)を
引用しながら考察しています。本書で取り上げている内容の一部を紹介しましょう。
● スティーブ・ジョブズがPixerのオフィス設計でこだわったこと
● Googleも採用している「選択アーキテクチャ」とは
● MITの「ビルディング20」が後の大企業を続々と輩出した理由
● Y Combinatorが食事の際に「9メートルの机」を用意する理由
● 「ガレージ的な場所」を自ら作り、起業することになったWHILL
● バブソン大学流「起業家精神を習得する5つのメソッド」
● GoProやSnapchatの創業期を支えたセーフティネット
著名投資家・鎌田富久氏との対談も収録
さらに、「ビジネスと環境の因果関係」についての知見を深めるべく、
携帯電話向けソフトウェア開発で成功し、現在は投資家として数多くの
スタートアップを支援している鎌田富久氏との対談
●「イノベーションを育む環境」の選び方、作り方
も収録しています。理論と実践の両面から導き出された
「事業運営をエンパワーメントする環境」の特徴を知って、
ぜひあなたもより良い環境を選び、育ててみましょう。
感想・レビュー・書評
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冒頭で引用されてある「私は、私と私の環境である」というオルテガの言葉は、「私」は私だけで自立しているように見えるけれど、実は自分の周りや環境も含めて「私」である、ということを意味しているようです。
本書では環境の重要性を述べていますが、同時に自己の存在の境界を少しだけ広げて、「自分の周りの環境を良くすることで自分自身を向上させる」という考え方も示してくれています。
提案内容はよく耳にすることから、具体的な起業のアドバイスまでありますが、本書は各主張に対してエビデンスを重視しているので、説得力がありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「私は、私と私の環境である。そしてもしこの環境救わないなら、私をも救えない」オルテガ
仕事で関係するので読見始めた本。
起業家(を目指す人)のためというようなタイトルだが、勤め人にも参考となる本。
#成功する起業家は居場所を選ぶ #馬田隆明 #読書記録
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良い選択をするための8つの知恵
1.リフレーミングする
2.「探究」と「深化」の違いを知る
深化がマネジメントの問題だとすれば、探索は基本的にリーダーシップの問題。自分自身のキャリアの「マネジメント」はうまくいっていても、自分のキャリアに対して「リーダーシップ」は取れていなかったのかもしれません。
3.意識的に「余裕」をつくる
4.効果的な時間の使い方を「バーベル戦略」で考える
結果という見返りを得やすい深化の方に90%程度の時間をかけつつ、探索については「何も得られないというリスクもあるが大きなリターンが得られるかもしれない行為」として10%程度の時間を使う、とやるのがいいかもしれません。
5.「焼きなまし法」を応用する
6.「秘書問題」を応用する
7.satisfied~足るを知る
8.WRAPのプロセスを実践する
選択肢を広げる
仮説の現実性を確かめる
決断の前に距離を置く(10-10-10の思考法)
誤りに備える -
・「私は、私と私の環境である Yo soy yo mi circunstancia」(ホセ・オルテガ)
○いい言葉をもらった!
・自分という存在は、環境も含んでの自分。
・自分を変えるには、環境を変えるのが良い。
・成功を自分の能力だけに頼る必要はない。居場所を変え、周りに助けてもらえるような環境に身を置けば良い。
・起業という目的があるのなら、その目的に最も適した環境に一歩踏み出してみよう。
・もし起業して成功したいのであれば、最適な場所(Place)と人(People)を選び、正しく訓練(Practice)をしながら、その実践プロセス(Process)も整備しよう。
○まさに、比企起業塾、比企起業大学が目指しているのは、これかも。
・環境を変えることで、何か良いことが起こる確率-運を高められるのではないか。起業を成功させるためには、運が重要。
・アクセラレーターでは、プログラムの期間中に起業家が一挙に集まり、そこでの相互作用が、学びを促進する。
・起業家は、学び続けなければならない職業。
○これもいい言葉だな~。まさにそう!
・人々の行動が大きく変わる閾値、いわゆる社会的なティッピングポイントは、おおよそ25%。
・人脈、仲間というセーフティーネットを起業時に用意する。
・良い「壁打ち」ができる相手に、ただ「ボール≒悩み」を打つ。
・アントレプレナーシップとは「規律ある実践」である。
・バブソン大学で「メソッド」を教えるためのプログラム
1)遊びのプラクティス
2)共感のプラクティス
3)創造のプラクティス
4)実験のプラクティス
5)内省のプラクティス
・プロセスを明確にするために「チェックリスト」を活用する。
・数学者のR.ハミングは、毎週金曜日の午後(10%)を「大いなる考察の時間」にあてた。
○これ、いいな。俺の場合は、朝時間をあてよう。
・探索ができる余裕を持っておく。
・結果という見返りを得やすい深化に90%程度の時間をかけつつ、探索については「何も得られないというリスクもあるが、大きなリターンが得られるかもしれない行為」として、10%程度の時間をかける。
・実際にサポートを受けられるかよりも、必要になった時に受けられると感じているか(そのように期待できるか)どうかが重要です。
○これは俺も気を付けないと。塾生から、必要な時に相談を受けられると思ってもらえるように。
・自立とは、社会の中に依存先を増やすこと。
○起業とは、複数顧客をつくること。
・ハイパフォーマンスなアクセラレーターの支援内容:
1)他の起業家へのアクセスと、起業家同士の学びを重視
2)資金調達や会計などのファイナンスのスキルについてあまり時間を割かず、プレゼンテーションやコミュニケーション、ネットワーキングや組織構築、デザインについて多くの時間を割いている
3)メンターの中に、潜在顧客が含まれている。
・前に進むと、景色が変わる。視座が高くなる。
・アドバイスというのは、相手が必要としてない時にしても全く響かない。何かしら悩みに直面したタイミングで、すぐにアドバイスをもらえるという環境が最高。
・皆で育てていくための「余白・ゆとり」をあえて残しておく。
・最も成果を出していたのは「コネクター型」のマネジャー。専門外の分野については、他の誰かを紹介することで、課題解決を図る。
・メンタリングがビジネスにもたらす効果についてはまだ最終的に答えが出ていない。
・メンタリングではなく、先輩起業家たちに、サポーティングをしてもらう。
・若い起業家には、次のような人たちにメンターをお願いするよう勧めている
1)自分より「半年先輩」となる起業家
2)1~2年先輩
3)5~6年先輩
4)10年以上先輩
○比企起業塾では、自然とこの構成になっているな。
・誰かに頼む(Ask)スキルは、起業家にとって大切。
・同じ大学の出身は影響力が大きい。
・多くの経営者が、読書を習慣として身に着けている。
・ストーリーの基本
「昔々あるところに、~がいて、~という状況で、~できないことに困っていた。 なぜなら~だったから。でも実は、~という本当の課題があった。 ある時、~をきっかけに、~に出会い、そして~、ついに主人公は~をした。 めでたしめでたし。」
・アイデアを形成する「6つのS」
・YコンビネーターのS.アルトマンの手法:毎朝3つだけ「今日終わらせるべきこと」を決めて、それ以外はやらないようにする。
○これいいな~。ついやりきろうとしてしまうけど、このやり方なら余白を作りやすくなる。 -
今時の働き方。
環境の大事さを伝えている。
やはりピクサーの話出てきますよね。
各社がやっていることが科学的に正しいのかの立ち位置が求められる時代と感じるイノベーションも景気の良さも結局都心という世界的な事実を本書を読みつつ感じる。
バーベル戦略の提案あるのいい。ただ著者の情報を取っていると目新しさは少なめ。 -
* 起業の準備というのは大体本業のサイドプロジェクトから始まり、往往にしてモチベーションを保つのが難しい。この本はそんな弱い人間の精神力を居場所というツールを使って保っていけるようなノウハウを紹介してくれている。起業に関わらず資格の勉強とか、ダイエットとか、強い意志が必要なケースでは色々と参考になると思う。
* 一緒に時間を過ごす人間がその人を形成するという話。これまではオフの時間の友人関係を意識的に選択してきた自覚はなかった(会いたくない人と会わないというのは無意識でやってきているんだろうけど)が、今後ある程度時間が限られてきたり、行き詰まったりした時には、メンターポートフォリオをつくって意識的に、定期的に、会いたい人と会うという時間は検討する価値あるかもな、と思った。
* 煮詰まったミーティングルームの空気が大嫌いで。科学的にこれを言ってくれてる凄く嬉しい。空気の入れ替えちゃんとしようと思った。
* 著者の馬田さんはこの他にもたくさんの情報をスライドやブログの形で発信していて、個人的には凄く好きなんだけど。書籍にした時に引用文献を多めにすると、論点がまわりくどくなってしまいすっと入ってこないことがままにあったり、そこは引用いらないのでは…みたいなところも本文の尺を取ってしまったり、逆に著者自分の意見をいう時に説得力が弱く見えてしまう、といったとこがあるんだなーと感じた。とはいえなんのエビデンスもなく「何を根拠に」みたいな自論全開のビジネス書も多い中で、こういうスタイルは一つの正解だとは思うので、難しいバランスではあるんだろうな。 -
話の流れがスムーズでめちゃめちゃわかりやすかった
著者プロフィール
馬田隆明の作品





