世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822289973

感想・レビュー・書評

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  • 倒産理由を戦略とマネジメントと分けているが、そこでは分けられない。あまり上手い分け方になっていない。戦略での失敗はある程度仕方がない、そのリカバリーが大事だから。

    読んでいて釈然としない本。

    過去の成功に対する過信、わからないものを都合よく解釈する、すなわち謙虚さの喪失が本質だと思う。

    前半の戦略の方は流し読み、後半のみ読んだのでまとめ

    マネジメントの問題
    ◯山一
    ・株が上がればチャラにできると考えて損失を子会社に付け替える飛ばしの意思決定をしたこと。結果重視で逸脱したプロセス。
    ・1965年に危機に陥った時に政府の資金で救済、株が上がって完済という成功体験を引きずった。

    ◯北海道拓殖銀行
    ・バブル期低金利で貸出先が無い。新興企業へ融資。営業と審査の部門が一体化されており甘い審査体制
    ・焦りに対するリスク管理の甘さ。

    ◯千代田生命保険
    ・健全な審査機能を無くし、ガバナンスを形骸化させ、リスクある投資先に融資をしていく。

    ◯リーマン・ブラザーズ
    ・複雑で中身のわからない金融商品を、みんなが儲かっていたからと投資した。
    ・誰かが考えているだろう、グループシンク(集団浅慮)

    ◯NOVA
    ・前金ビジネスが故キャッシュフローは安定したが、獲得顧客の満足度を高める努力を怠った(講師数が足りず予約できない問題)
    ・規律のなさ。顧客価値に関係ない豪華な設備、堕落のサイン

    ◯林原
    ・いざとなったら不動産という絶対的自信から来る雑な経営管理。経理のブラックボックス化、社長は財務諸表を全くみていない。
    ・不正会計して銀行から融資を得ていた。

    ◯コンチネンタル航空
    ・コストカットで短期的利益を追求し、企業価値を上げて次の買収へ。実態は内部崩。従業員のモチベーションと労組との関係が最悪。
    ・極度の単純化、これさえやれば結果が出るという傲慢さ、全能感

    ◯タカタ
    ・大規模リコール、インフレーターから金属片が飛散する。04年にホンダから報告されたのに検証を怠った。08ホンダリコール、14年アメリカ公聴会、その後全米リコールを飲まされ、1兆円以上の負債で倒産。
    ・社長は最後まで品質責任を認めなかった。
    ・設計日本と生産北米の距離、品質管理ができていない。
    ・オーナーの強権、役員でも反論できない。

    ◯シアーズ
    ・なってはいけないCEOランパード。出社は年一株主総会、億万長者の隠れ家からテレビ会議で部下のデータの不具合を問い詰める日々。現場を知らない経営者

  • Case01●そごう 「勝利の方程式」が逆回転して倒産
    Case02●ポラロイド 「分析体質」が行き過ぎて倒産
    Case03●MGローバー 非効率体質を改善できずに倒産
    Case04●ゼネラルモーターズ 政府頼みの末に倒産
    Case05●ブロックバスター 重要なタイミングを逃して倒産
    Case06●コダック 希望的観測を抑え込めず倒産
    Case07●トイザラス 新規事業の入り方を間違えて倒産
    Case08●ウェスチングハウス 技術を過信して倒産
    Case09●鈴木商店 事業意欲が先行し過ぎて倒産
    Case10●ベアリングス銀行 不正取引にとどめを刺されて倒産
    Case11●エンロン 「不正のトライアングル」に陥り倒産
    Case12●ワールドコム 自転車操業の果てに倒産
    Case13●三光汽船 ギャンブルに勝ち続けられず倒産
    Case14●エルピーダメモリ 「業界のイス取りゲーム」に負けて倒産
    Case15●山一證券 プロセスを軽視し過ぎて倒産
    Case16●北海道拓殖銀行 焦りに追い立てられて倒産
    Case17●千代田生命保険 見たいものしか見ずに倒産
    Case18●リーマン・ブラザーズ リスクの正体をつかめず倒産
    Case19●マイカル 風呂敷を畳み切れず倒産
    Case20●NOVA 規律が効かな過ぎて倒産
    Case21●林原 雑な経営管理により倒産
    Case22●スカイマーク 攻め一辺倒が裏目で倒産
    Case23●コンチネンタル航空 経営を単純化し過ぎて倒産
    Case24●タカタ 経営者が現場を知らずに倒産
    Case25●シアーズ 現場不在の経営により倒産

  • 読書会で、自分たちの勤めている会社つぶれたらどうする?という話から、どうやって生きていきたいかという話題に。永遠のテーマすぎて答えは出ないけど、面白いたのしいと思えることを少しずつ並行してやっていくことだねというのは共通した思いだった。

  • ■書名

    書名:世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由
    著者:荒木 博行

    ■概要

    リーマン・ブラザーズ、エンロン、コダック、トイザラス、MGローバー、
    山一證券、そごう、タカタ……日米欧の25事例を徹底分析!
    (amazon.co.jpより引用)

    ■感想

    面白そうだったのですが、自分には合わなかったです。
    倒産から学ぶことは多いと思いますが、この本では一つ一つ深堀していない
    ので、うわべの原因に収まっています。
    これであれば件数を減らし、もっと各社内の内部事情を踏まえたうえで、本当の
    原因を追究して欲しかったです。
    この本、誰向けなのかの、微妙です。経営者??雇われビジネスマン??
    どっちつかずという感じに思いました。

    期待して読んだので、少し残念です。

    ■気になった点

    ・過去の成功から抜けだせないことが原因

    ・ルールが変わったら自分を変える

    ・リスクの本質を理解する必要がある

  • ビジネストリビアとしては面白いが、それ以上でも以下でもない。
    「倒産」に至る原因となった意思決定を戦略系による失敗と、マネジメント系による失敗とに大別して整理、論じている

  • 失敗からこそ学ぶべき、という話をよく聞くが、個人的には「分かった後なら何とでも言える」論でしかないと思っています。

    よく知った大企業の倒産劇が原因や考察含めて整理されているので、確かに「図鑑」としてはよいと思います。
    ただ、何かを学べるものでは結局ないと思います。

    うまくいっている時に「破綻に向かっている」と誰が気付けるのか?
    うまくいっている組織の中で、「実は危ないのでやめましょう」と誰が言えて、誰が止められるのか?
    問題と指摘されるやり方だって「その時」はもてはやされる成功の方程式なのに、終わった後に失敗の原因と言うのは誰だってできる。

    失敗学を実学にするのは本当に難しいと思います。

著者プロフィール

荒木 博行(アラキ ヒロユキ)
株式会社学びデザイン 代表取締役社長
住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。 株式会社フライヤーなどスタートアップのアドバイザーとして関わる他、株式会社絵本ナビの社外取締役、武蔵野大学、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。 音声メディアVoicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティを務めるとともに、株式会社COASにおけるホースコーチング・プログラムディレクターも務める。著書に『自分の頭で考える読書』(日本実業出版社)、『藁を手に旅に出よう』(文藝春秋)、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』(ともに日経BP)など多数。

「2023年 『独学の地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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