政治を語る言葉―札幌時計台レッスン

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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822808693

作品紹介・あらすじ

「社会に生きる人間が自分の言葉で政治を語り、自らの抱える問題を公共的空間に提起することで社会は良くなる」(山口二郎)。山口二郎・中島岳志・辛淑玉・香山リカ・佐藤優が、政治・思想・人権・精神医学・外交の視点からアプローチする市民の社会力強化レッスン。書き下ろし論考と講演。

感想・レビュー・書評

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  • 動機はさておき、あの戦争は間違いだった。しかし、戦争に従事した民間人までを否定的には捉えられない、とする山口二郎の考え方は、左翼ではなく、極めて中道的だ。また、1960年までの革新派と保守派の攻防を一勝一敗とし、まさしく、60年安保の確率で革新は一敗、しかし、岸信介の憲法改正を阻止した事で一勝とする。戦後レジームを維持するべき、というのが山口先生の基本的立場になる。

    辛淑玉の論考は酷いね。感情論として言いたい結論が先にあって、それにくっつけて論拠を選んでいる。朝鮮人には年金が払われない弱者だというが、生活保護は受けている。この矛盾への説明は?中東でテロに捕縛された人たちへの自己責任論。中傷されたのは女子供だからだと。違うよ。中傷されなかったもう一人が、ジャーナリストだったからだ。

    政治に臨む態度について。お前らの富の分配では、不公平だから俺に任せろ、というタイプと、一部人々の利益を代表します、というタイプでは全く異なる政治家であるし、自分自身のため、という点をどれだけ考えるかによっても政治は変わる。民主主義は、原則一人一票であり、投票する側の人民は、自らの利益を優先する。利害対立のテーマがあれば、自然、部分的多数決になるのであり、立候補する側は票が欲しい故のポピュリズムに走った最適解を持つ事が可能だろう。もちろんその実行可能性も重要なのだが、然るに、民主主義の成熟期には、イデオロギー無き政治家が台頭してくるのではないか。

  • 辛淑玉のパートが特によかった。
    貧困はずっーと昔から日本にあるんよね。

    全体的には、戦後日本の政治に対する新たな視点。日本政治と国民の意識の抱えるねじれが分かりやすくかかれてます。

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著者プロフィール

法政大学法学部教授・行動する政治学者
1958年生まれ。東京大学法学部卒、北海道大学法学部教授、同大学院公共政策学連携研究部教授などを経て、2014年より現職。最初の著作『大蔵官僚支配の終焉』(岩波書店)により、自民党と財務省による政治・行政支配の構造・実態を暴き、1990年代から2000年代に続く政治改革の深い底流のひとつを形作る。2009年の民主党政権成立をめぐっては、小沢一郎、菅直人、仙谷由人各氏らとの交友を通じて政権交代に影響を与える。立憲主義の立場から安倍首相を痛烈に批判、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の結成にかかわる。

「2018年 『圧倒的!リベラリズム宣言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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