チェルノブイリ原発事故

著者 :
  • 七つ森書館
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822811303

作品紹介・あらすじ

史上最悪のチェルノブイリ原発事故を、どう受けとめ、そこからどんな教訓を引き出すべきなのか。

※本書は『チェルノブイリ』(七つ森書館、1986年)と『チェルノブイリ月誌』(反原発運動全国連絡会、1988年)を合わせて、1冊としました。

感想・レビュー・書評

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  • チェルノブイリ事故当時に出た本かと思えばこれほど的確に今を示していることはないと驚いた。と同時に変わっていないのかとショックを受けた。
    想定外の事故が起きたとき、それを防ぐ術を人類はもっていない。だから想定内の範囲でしかリスク管理もする必要が無い。天上の技術を地上にもってきたのだ。肩が震えた…
    また、筆者の日本人に対する自然観も非常に興味深かった。

    チェルノブイリは毎度起きている故障が突出したものに過ぎない…

  • ここに書かれているのはチェルノブイリ原発事故の悲惨な様子ですが、それはそのまま数年後の日本の未来になります。あの事故の悲惨さと、これから起こるであろうことに恐れおののいています。

    この方はもともと原子力関係の技術者だったのですが、あるときを境に原発に対する反対運動に回って。いま、改めてその発言に注目が集まっている方で、今回紹介する本は、世界最悪の原発事故として有名なチェルノブイリ原発事故に関するもので、ここに書かれてあることはそのまま近い将来の日本。特に福島県の人間にとっては苦難の道のりを示すだろうな、ということが記されてあって、読み終えたあとにすごく暗澹とした気持ちになってしまったことを覚えております。

    本文構成は
    1.チェルノブイリで何が起きたか
    2.原発事故を考える
    3.ポスト・チェルノブイリに向けて

    というもので、四半世紀が経過しても事故が起こった場所の周辺に住んでいた人は帰ることができない、ですとか。水をはじめとして、肉や魚はもちろんのこと、乳製品や取れた肉まで放射性物質によって汚染される。そして、数年後にはがんや白血病の患者が飛躍的に増大した、という内容に、これが20年以上前に書かれたということが信じられなかった、ということと、原子力というものが以下に危うい仕組みで動いているのか、ということ。そして、いったん原子炉が暴走すると止めることができない、ということ。

    いったん、大気中に放射性物質が飛散した後、その被害状況や影響については誰も理解も、把握もできないんだ、ということが淡々と書かれていました。本当に、恐ろしいです。今、原発の是非を巡って、ずいぶんと議論がありますが、やはり、この本を読んだ後、今回の事件が起こった後では、もう原子力発電に頼るのは無理だろう、というのが個人的な意見です。今後、最低でも数十年。場合によっては数百年。数千年。数万年。私たちはこういう事実と向き合わなくてはいけなくなってしまった。本当に、大変な世の中になってしまいました。

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著者プロフィール

理学博士。核科学専攻。原子力の研究所、東京大学原子核研究所助手、東京都立大学理学部助教授、マックス・プランク研究所研究員等を経て、1975年「原子力資料情報室」の設立に参加。1997年には、もうひとつのノーベル賞と呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞。原子力時代の末期症状による大事故の危険性と、放射性廃棄物がたれ流しになっていくことに対する危惧の念を最後のメッセージを記し、2000年10月8日に死去。

「2004年 『高木仁三郎著作集 全12巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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