宮澤賢治をめぐる冒険: 水や光や風のエコロジ-

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  • 七つ森書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822811402

作品紹介・あらすじ

「私の知る限り、今の科学者たちはまず人間として涙を流し、オロオロするところから出発しようとしない。その前にすべてをデータとしてクールに受けとめてしまう。そこに今日の科学の原点にある問題があるのではないか」宮澤賢治をこよなく愛した市民科学者・高木仁三郎の原点。

感想・レビュー・書評

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  • 高木仁三郎の宮澤賢治をめぐる冒険を読みました。

    水や光や風のエコロジーという副題のついた、宮澤賢治の「われわれはどんな方法で、われわれに必要な科学を、われわれのものにできるか」という事がテーマの本でした。

    著者は大学で核開発に関する研究をしていたのですが、その開発方法に疑問を感じて、教職を辞めてしまい「原子力資料情報室」を開設したとのことでした。
    科学を真に自分たちの役に立つようにするためにはどうすれば良いのか、ということが宮澤賢治の主張を引き合いに出しながら解説されています。

    環境ということばがあるけど、これは西欧的な考え方で、人間が中心にいてそのまわり(環境)を開発・整備していく必要がある、という考えかたです。
    でも、自然がまず正しい状態になっていて、人間がそれにどれだけ合わせていけるか、エネルギーにしても化石燃料や原子力を使わずに、太陽エネルギーの範囲内でどれだけ人間が適応して生きていけるか、と言うことが重要だと主張されていて、私も同感でした。

    宮澤賢治の著作を再度よく読み直してみたいなあ、と思ったのでした。

  • 著者は原子力の研究などをなさっていた科学者ですが、科学者の立場で宮澤賢治の世界観、否、宇宙観を語ったエッセイ集です。今から約25年も前に「宮澤賢治と水の世界」というテーマで講演した内容が中心ですが、現在の原子力エネルギーの問題を予言したかのような文脈で正直驚きます。それはやはり賢治の類稀な自然に対する洞察があるからなのでしょう。この本のところどころに出てくる挿絵も賢治の童話をイメージしていて素敵です。

  • ここ数日、眠る前に読んでいる。
    復刻された高木仁三郎の本、少しずつ読んでいきたい。
    見返しが糊付けされていない製本は、わたし好み。

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著者プロフィール

理学博士。核科学専攻。原子力の研究所、東京大学原子核研究所助手、東京都立大学理学部助教授、マックス・プランク研究所研究員等を経て、1975年「原子力資料情報室」の設立に参加。1997年には、もうひとつのノーベル賞と呼ばれる「ライト・ライブリフッド賞」を受賞。原子力時代の末期症状による大事故の危険性と、放射性廃棄物がたれ流しになっていくことに対する危惧の念を最後のメッセージを記し、2000年10月8日に死去。

「2004年 『高木仁三郎著作集 全12巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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