統計はこうしてウソをつく: だまされないための統計学入門

  • 白揚社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826901116

感想・レビュー・書評

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  • いかに統計が人を欺くかについて例を挙げながら説明しています。内容は全く難しくないです。常々、この統計ってあやしいなあ、と思うことも多い天邪鬼なところがあったので、内容には全く同意です。その分、驚きや新鮮さは少なくなっているのかもしれません。

    これを読むと、子供の学力や住みやすさやらの国別ランキングとか、ニートやホームレスの数とか周りには統計数値が溢れていますが、鵜呑みにしちゃいかんなと改めて思った次第です。

    続編が出ていますが、読むかどうか微妙なところです。

  • 統計リテラシーを高めるための入門書。統計についての数学的な説明はない。統計が意図して、あるいは意図せずに違った結論を論者に出させる。批判的に統計を見る目を養うことが大切だと感じた。

  • 数字マジック
    大抵の人は数字オンチなので、数字を出されると「正しいんだろう」と信じてしまう。
    メディアに出されたものは誰か権威のある人による検証をされているもの、という思い込みが助長する。
    この本に書かれている読み方を実践できなくても、どのように「誤った数値が一人歩きするか」を知っておいて、損はない。

    質問の仕方ひとつで、統計は操作出来る。
    使用者に都合のいいところだけ、使うことも出来る。
    統計がどのようにして計測されているのか。
    どうやって、誰が、作ったのか。
    引用されていて出典もとが別であるならば、出典もとは信用出来る数値を出しているのか。
    そういうことを、例示して、見るべきポイントをわかりやすく解説。


    ポイントを列記した箇処を抜き書きすると。

    数字の出所はどこか
    どうやってこの数字を出したのか
    この数字を出したのは誰で、どんな利害があるのか
    計測時のキーワードは、どのような定義か(広いのか、狭いのかなど)
    どのような計測方法があって、どれが選ばれたのか
    統計の母数はどれくらいか(何人への調査?)
    どのようなサンプルが集められたのか(人種、性別、年齢、職業等)
    適切なサンプルか
    競合する統計があるか(比較対象の有無)
    競合(ニアリーイコール)対立する統計があるなら、そちらを用いるひとたちはどのような利害があるか




    この本は「統計」の本なので書かれていないけれど、「平均値」も、トリックのひとつ。
    平均ではなく、頻出数値があればそちらも確認したいもの。
    「分布」という。

    たとえば、ある部屋に集められた人、10人の平均年齢が35歳だったとする。
    「30代~40代が多い」とは、決まっていない。

    10歳以前と、70歳代の人だけ10人集めても、平均年齢35歳に出来る。
    この場合、年齢分布を知らなければ、正しい状況がわからない。
    30代~40代が多くて35歳ならば、それは頻出だが、そうでないなら、「都合のいい数値」にして、見る人に提供している恐れがある。

  • 幅広い観点が記載されている。
    だまされなくても、必要となる様々なものの見方。
    本書の数値だけの観点以外にも、感触や匂いも判断には必要だと思う。
    後半の素朴な人、シニカルな人、批判的な人へのアプローチも数値以外が必要に思う。

  • ニュース、世論調査、政治家の演説…。世の中には、インチキな数字がはびこっている。そんなおかしい統計に騙されないために身につけるべき数字リテラシーを伝授する書籍。

    社会問題を論じる人は、自分の論点を裏づけたり、人々の関心をその問題に引きつけるために、統計を武器として使う。
    例えば、銃規制論者は銃で殺される人の数を、銃規制に反対する人は銃で攻撃から身を守った人の数を提示する。「数字は嘘をつかなくても、数字で嘘をつく者はいる」のである。

    統計を見る際は、次の3つの問いを立てるべきである。
    ①誰がこの統計をつくったのか。
    ②この統計はなぜつくられたのか。
    ③この統計はどのようにつくられたのか。

    おかしい統計は、次の4つの原因から生まれる。
    ①当て推量:
    新たな社会問題に関心を引こうとして、当てずっぽうで大きな数字を言う。
    ②定義:
    ある社会問題について語る時、広い定義を用いることで、その問題の規模を大きく見せようとする。
    ③計測:
    統計をとるための計測をする際、人々が望み通りの回答をするような言い回しで質問をする。
    ④標本抽出:
    選んだ標本が小さかったり、偏っていたりすると、母集団を正確に反映できない。

    数字の意味は、拡大されたり、ねじ曲げられたりすることがある。こうしてできたものを「突然変異統計」と呼ぶ。
    例えば、「米国のローマカトリックの司祭のうち、6%が、成人してから未成年者に性的関心を抱いたことがある」という推定がある。
    この推定値は、もともと、悩みを抱えた聖職者の治療にあたっていた元司祭の心理学者が、自分の観察から引き出したものだ。要するに、知識に基づく推量にすぎない。それでも、この主張はしばしば受け売りされ、その過程で少なくとも4つの重要な点で変形した。
    ①この数字を受け売りした人の中には、これが推定値であるのを忘れ、しっかり確認された事実であるかのように言う人がいた。
    ②推定値は心理学的治療を求めた司祭の標本に基づいていたのに、この心理学者は結論をすべての司祭に一般化してしまった。
    ③推定値は、実際に行動を起こした人の数ではなく性的魅力を感じたことのある人の数に関するものだったのに、この数字を受け売りした人はしばしば、すべての司祭の6%が未成年者と性交渉をもったかのように言った。
    ④未成年者が「子供」と言い直された。論者たちは、司祭の6%が小児性愛者だと論じた。
    かくして、「治療を受けた司祭の6%が未成年者に性的魅力を感じたことがある」という推定が、「すべての司祭の6%が子供とセックスをしたことがある」という事実に変形してしまった。

  • 良書。 - 統計にはましなのとおかしなのがある。おかしな統計は長生きする。統計に基づいて判断を下すときには、誰が、何のために、どうやってそれを作ったかを知るべし…と。

  • 堅苦しい文章がすんなり頭に入ることを拒むのが残念な本。
    という訳で、内容は素晴らしいが星四つ。

    社会問題は、つくられる。

    というのは、まさにその通りだと思う。

    良い統計とは
    あて推量以上のものに基づく
    はっきりとした妥当な定義に基づく
    はっきりとした妥当な計測方法に基づく
    よい標本に基づく。

    この四条件だという。

    おかしな統計を見破るため、
    しっかり身に着けたい考え方である様に思う。

著者プロフィール

1946年生まれ。デラウェア大学社会学・刑事司法学部教授。カリフォルニア大学バークレー校博士課程を修了。1971年にPh.D.(Sociology)を取得。著書に『統計はこうしてウソをつく――だまされないための統計学入門』(林大訳、白揚社)、『社会問題とは何か――なぜ、どのように生じ、なくなるのか』(赤川学監訳、筑摩書房)などがある。

「2021年 『Think critically クリティカル・ シンキングで真実を見極める』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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