経験バイアス ときに経験は思考決定の敵となる

  • 白揚社 (2024年8月19日発売)
3.73
  • (3)
  • (6)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 171
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784826902625

作品紹介・あらすじ

日常生活や仕事の経験から、私たちは、いとも簡単に、間違った教訓を学んでしまう。
――トーマス・ギロビッチ(コーネル大学教授)

経験はどんなときも素晴らしい教師である、というのは幻想にすぎない。

実は、経験を積むことによって、物事がはっきり見えてくるどころか、バイアスに足を取られ事態をややこしくしてしまっているケースが多い。
では、どうすればいいのか? 

買い物から、仕事、教育、選挙、人生まで、過去から正しく学び、よりよい意思決定を下す方法を行動科学者と認知科学者が解説する。

■ ■ ■

【目次】
序章 経験はすばらしい教師だ――が、そうではないこともある
第1章 人をあざむくストーリー――経験が単純すぎる物語になるとき
第2章 ひらめきの喪失――経験が創造力を削いでしまうとき
第3章 リスクに気づかない――経験が危険を隠してしまうとき
第4章 見せかけの自由――経験が選択の幅を狭めるとき
第5章 心地よければやってよし――経験が節操を失わせるとき
第6章 百発百中の魔弾――経験が成功の秘訣の幻想をもたらすとき
第7章 幸せの妨げ――経験が満足を損なうとき
結び 経験コーチの知恵

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 経験は、信頼できる教師となる。だが、そうならない場合もある。現代では、個人的経験が頼りにならない領域が広がっている。
    経験が目をくらますとき、「必要な情報が抜け落ちている」ときと、「無視するべき意味のない情報が入り込んでいる」場合がある。だがそれに気づくのは容易ではない。
    本書では、経験によるバイアスにはどんなものがあるか、またそれを避ける方法について詳細に説明する。
    ・危機や災害への対応
    ・創造性を発揮するには
    ・意思決定をコントロールさせないためには
    ・倫理的に問題のある行動を避けるには
    ・成功の確率を高めるには
    ・経験が幸福感を妨げないようにするには
    などなど、具体的な状況に即しているので、自分に当てはまる部分を参考にできる。

  • 原題のほうが内容をよく表している。「バイアス」というと行動経済的な印象があるが、狭い内容ではなく、「経験」がいかに意思決定を間違わせるかとそれに対してどう修正するかを幅広く考察した本。

    THE MYTH OF EXPERIENCE
    Why We Learn the Wrong Lessons, and Ways to Correct Them

    【目次】
    序章 経験はすばらしい教師だ――が、そうではないこともある
    経験―それは頼れる教師
    学習になじまない環境―見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?
    経験からの教訓―いったん学んでしまうと、忘れるのは難しい
    経験幻想を捨てる

    第1章 人をあざむくストーリー――経験が単純すぎる物語になるとき
    ランダムネスを無視したストーリー
    時間をすっ飛ばしたストーリー
    過度に一般化されたストーリー
    自己成就するストーリー
    真実に近いストーリーを作る―ストーリー懐疑論者とストーリー・サイエンティスト
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第2章 ひらめきの喪失――経験が創造力を削いでしまうとき
    アイデアを見極めるときの先見性の欠如
    アイデアを見極めるときのプロセスの軽視
    アイデアを生み出すときの独創性についての誤解
    アイデアを生み出すときの視野狭窄の罠
    ひらめきを取り戻す―自律性を育む時間と空間
    ホビー・ハック―一見無駄に見える実り多き時間
    熱中できるものへのエスケープ―生徒の創造性を解き放つ
    管理職会議―ビジネスリーダーの問題解決フォーラム
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第3章 リスクに気づかない――経験が危険を隠してしまうとき
    あらかじめ経験しようのない大惨事
    先を見通せない―専門家の知見と過去の経験のギャップ
    経験から学ぶ災害の教訓
    事後対応と未然防止―大惨事が回避されたとき
    間一髪―危うく難をまぬがれたとき
    現実のリスクを把握する―統計リテラシーを高めるメリット
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第4章 見せかけの自由――経験が選択の幅を狭めるとき
    熱くなっている?―情動体験をデザインする
    どちらが好き?―選択体験をデザインする
    ゲーム感覚でいかが?―インタラクティブ体験をデザインする
    あなたは誰なのか?―社会体験をデザインする
    経験を取り戻す―意思決定に対するコントロール能力を高める
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第5章 心地よければやってよし――経験が節操を失わせるとき
    ジョーの経験―自分に都合の良い外部性
    ジョーの経験に合致する心地よい麻痺状態
    成果だけにとらわれず、隠されたプロセスを明らかにする
    情報に基づく配慮で共感を超える
    見落としているのは何か? 勘違いをもたらすのは何か?

    第6章 百発百中の魔弾――経験が成功の秘訣の幻想をもたらすとき
    他者の成功から導かれた教訓は当てにならない
    自分の成功から導かれた教訓は当てにならない
    他者の失敗から導かれた教訓は当てにならない
    自分の失敗から導かれた教訓は当てにならない
    魔法の治療法―代替療法の危険な教訓
    成功例と失敗例の両方を検討する
    成功と失敗―何がその違いを生み出すのか?
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第7章 幸せの妨げ――経験が満足を損なうとき
    時間経過に伴う体験の変化―順応と習慣化
    記憶された経験―二種類の自己の衝突
    相対化された経験―他者との比較
    変化に富んだ経験―喜びにつながる経験への投資
    経験せずにすんでいること―望んでおらず、なおかつ持っていないもの
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    結び 経験コーチの知恵
    利用可能性バイアス―よく見聞きする事柄の重視
    不適切な拠り所
    誤った確信

  • 事例が豊富で読み物として面白い。
    経験バイアスへの簡単な特効薬はないが。。

  • TOPPOINTで読了。
    一部気になる点あり。

  • 【本学OPACへのリンク☟】

    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/722734

  • 【生き方】経験バイアス -ときに経験は意思決定の敵となる / 20250201 / エムレ・ソイヤー、ロビン・M・ホガース / <9/1099>/<355/171324>
    ◆きっかけ
    日経書評
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD241EJ0U4A920C2000000/

    ◆感想
    ・経験豊富のというのは、経験値の蓄積に裏付けされた最上級の誉め言葉だと思っているが、その一方でそこに依拠しすぎている考え方は危険ではないかと薄々感じていたところに、見事答えを用意してくれている本。
    ・ただ、その主張の割には少々分厚いのが難。。。。
    ・著者の主張はシンプル、「経験を無視すべきだと言ってるわけではない。しかし自分の経験をひとまず疑ってかかる健全な猜疑心を養えば、経験をあてにして良い場合とそうでない場合をきちんと区別できるようになる。」に尽きるだろう。そのためにも、以下2つの問いは心掛けたい。
    ー自分の経験から抜け落ちている重要な情報で、今起きていることを完全に理解するために明らかにすべき事はないか?
    ー自分の経験に入り込んでいる意味のない瑣末な情報で、今起きている事から注意がそれるのを避けるために無視すべき事は何か?

    ◆引用
    ★経験に頼りすぎると、経験が授けてくれる知識のせいで、本当は思慮不足なのに知恵者になったような気になってしまうことがある。経験が正しい答えを与えずに、むしろ誤った答えを補強してしまう恐れもある。
    ・経験から何か学んだとしても、その教訓が物事の実態を正しく映し出していると言う保証は無い。
    ★学習になじまない環境に置かれているときに、ぜひとも問うべきは次の2点
    ー自分の経験から抜け落ちている重要な情報で、今起きていることを完全に理解するために明らかにすべき事はないか?
    ー自分の経験に入り込んでいる意味のない瑣末な情報で、今起きている事から注意がそれるのを避けるために無視すべき事は何か?
    ★経験を無視すべきだと言ってるわけではない。しかし自分の経験をひとまず疑ってかかる健全な猜疑心を養えば、経験をあてにして良い場合とそうでない場合をきちんと区別できるようになる。
    ・経験はたちまちストーリー化される。人間は大抵出来事の順序から原因と結果の関係を読み取る。人間は読み取ったストーリーを土台にして、すぐさま次に何が起こるかを予想する。
    ・経験が想像力をそいでしまうこともある
    ・見落としているのは何か?無視すべきなのは何か?
    ー無意味な過去の経験、創造的プロセスの見落とし、他者の経験の見落とし、不適切な注意の向け方、フロー体験の欠如、自律性の欠如。
    ー外部性を見落とす。ごまかし行為を見落とす、勘違いを生む快適さ、配慮の欠如、透明性の欠如。
    ー正確性、因果関係、時間経過、複雑さ、トレードオフ、選択バイアス。
    ・幸福を維持し、順応や習慣化によって幸福度が低下するのを避ける。1つの方法は経験を重ねても、すぐには効果が薄れない事柄(=経験)に時間とエネルギーを投じること。NG:高級車購入
    ・利用可能性バイアス:物事の結果ばかりを経験してるのではないか?限定された結果ばかりを経験しているのではないか?個人的に経験したことばかりに頼っていないか?
    ・不適切な拠り所、経験から単純な因果ストーリーを読み取り、それらをもとに意思決定を下そうとしていないか?心惹かれる、快適さ、情動体験、選択肢、ゲーム的要素にのめり込んでいないか?問題の一部ばかり注意を向けていないか?
    ・誤った革新、学習環境についての問い、経験内容にフィルターがかけられたり、経験内容が歪められたりしていないか?どれくらい複雑で変わりやすい環境か?これからの世界はこれまで経験してきた世界と同じか?きちんとした知識獲得法に比べて、経験がどれぐらい学びや直感をもたらしているか?見えていること、見落としていることを、無視すべき事は何か?
    ・意思決定を行う者についての問い:ある教訓の正しさをどれぐらい確信しているか?その革新はどれぐらい個人的経験に基づいているか?その革新はどの程度事故政治的か?統計リテラシーのレベルはどうか?経験に基づく革新の大切さを検証した事はあるか?

    ◆今後
    ・経験をひとまず疑ってかかる猜疑心。
    ・経験から抜け落ちている重要な情報はないか?経験から敢えて無視すべき事は何か?

  • 2024/11/17読了

  • 序章 経験はすばらしい教師だ――が、そうではないこともある
    経験―それは頼れる教師
    学習になじまない環境―見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?
    経験からの教訓―いったん学んでしまうと、忘れるのは難しい
    経験幻想を捨てる

    第1章 人をあざむくストーリー――経験が単純すぎる物語になるとき
    ランダムネスを無視したストーリー
    時間をすっ飛ばしたストーリー
    過度に一般化されたストーリー
    自己成就するストーリー
    真実に近いストーリーを作る―ストーリー懐疑論者とストーリー・サイエンティスト
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第2章 ひらめきの喪失――経験が創造力を削いでしまうとき
    アイデアを見極めるときの先見性の欠如
    アイデアを見極めるときのプロセスの軽視
    アイデアを生み出すときの独創性についての誤解
    アイデアを生み出すときの視野狭窄の罠
    ひらめきを取り戻す―自律性を育む時間と空間
    ホビー・ハック―一見無駄に見える実り多き時間
    熱中できるものへのエスケープ―生徒の創造性を解き放つ
    管理職会議―ビジネスリーダーの問題解決フォーラム
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第3章 リスクに気づかない――経験が危険を隠してしまうとき
    あらかじめ経験しようのない大惨事
    先を見通せない―専門家の知見と過去の経験のギャップ
    経験から学ぶ災害の教訓
    事後対応と未然防止―大惨事が回避されたとき
    間一髪―危うく難をまぬがれたとき
    現実のリスクを把握する―統計リテラシーを高めるメリット
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第4章 見せかけの自由――経験が選択の幅を狭めるとき
    熱くなっている?―情動体験をデザインする
    どちらが好き?―選択体験をデザインする
    ゲーム感覚でいかが?―インタラクティブ体験をデザインする
    あなたは誰なのか?―社会体験をデザインする
    経験を取り戻す―意思決定に対するコントロール能力を高める
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第5章 心地よければやってよし――経験が節操を失わせるとき
    ジョーの経験―自分に都合の良い外部性
    ジョーの経験に合致する心地よい麻痺状態
    成果だけにとらわれず、隠されたプロセスを明らかにする
    情報に基づく配慮で共感を超える
    見落としているのは何か? 勘違いをもたらすのは何か?

    第6章 百発百中の魔弾――経験が成功の秘訣の幻想をもたらすとき
    他者の成功から導かれた教訓は当てにならない
    自分の成功から導かれた教訓は当てにならない
    他者の失敗から導かれた教訓は当てにならない
    自分の失敗から導かれた教訓は当てにならない
    魔法の治療法―代替療法の危険な教訓
    成功例と失敗例の両方を検討する
    成功と失敗―何がその違いを生み出すのか?
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    第7章 幸せの妨げ――経験が満足を損なうとき
    時間経過に伴う体験の変化―順応と習慣化
    記憶された経験―二種類の自己の衝突
    相対化された経験―他者との比較
    変化に富んだ経験―喜びにつながる経験への投資
    経験せずにすんでいること―望んでおらず、なおかつ持っていないもの
    見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

    結び 経験コーチの知恵
    利用可能性バイアス―よく見聞きする事柄の重視
    不適切な拠り所
    誤った確信

全12件中 1 - 10件を表示

エムレ・ソイヤーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×