東大の先生が実践する「ロジカル」暗記術

著者 :
  • ぱる出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784827205053

作品紹介・あらすじ

いかに論理的に、能率を上げて問題を解決するか?「そもそも何のために覚えるのか」「覚えなければいけないことは一体何なのか」「覚えたことをどう活用するのか」というステップに注目し、最低限の量を効果的に暗記する方法と、すぐに実行できる「力技と裏技」を紹介します。

感想・レビュー・書評

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  • 第1章「何を覚えるのか」を振り分けよう

     東大生はノートをとらない
     何のためにそれを覚えるのか
     自分の記憶以外を頼りにしたほうがいいこと ほか

    第2章「覚えること」を圧縮しよう
     
     「覚えること」を「圧縮する」という威力
     「カタマリ」に分けて関連づけよう
     例外を認めることが応用可能性を向上させる ほか

    第3章 自分の「得意技」を作り出そう

     あなたにとって最高の暗記術とは
     自分の「得意技」を判断してみよう
     5つの記憶のタイプ(1)文字型 ほか 

    第4章「飽きるまで」は繰り返そう
     
     最後はやっぱり「繰り返し」
     まずは「楽」なプランを立てる
     何を「繰り返し」すればいいのか ほか

    第5章「覚えたこと」を教えて/使ってみよう

     美しい東大ノートの正体
     委員長キャラには追い風が吹く
     教える相手がいなくても「使って」みよう

    第6章 集中力を呼び覚ませ

     集中するなら「今」を楽しめ
     プロセス自体をゲームにしてしまおう
     集中のきっかけになる儀式を作ろう ほか

    第7章 ロジカル暗記術の実践

     戦略的な一連のプロセスを捉える
     [英語勉強法(1)]まずはゴールを明確化する
     [英語勉強法(2)]自分の現状を整理しよう ほか

    1.最低限覚えなければいけないことだけ覚える

    ◆著者の西内さんは、何か勉強しなければならなくなった際には、必ず「自分が期日までに勉強しなければいけないこと」をA41枚ぐらいの紙にまとめるのだそう。

    まずは「ざっくりとした内容」として整理し、その上で「覚えなければいけない必要性」の優先順位をつける、と。

    つまり、「覚えなければいけないことをどう覚えるか」以前に、「最低限何を覚えなければいけないのか」をまず考えるのが大切なのだとか。

    この辺の「最小限の努力で、最大限の効果」というのは、本田直之さんの基本思想に近いかも。

    「何が何でも全部丸暗記」していた私なんて、思わず、

    「(∩゚Д゚) アーアー キコエナーイ」

    状態になりましたがw


    ■2.「覚えること」は「圧縮する」

    ◆さて、その「最低限の記憶量」にするためにどうするか?

    方法論の1つとして提示されているのが「覚えることの圧縮」。

    具体的には、まずは『情報を「カタマリ」に分けて、「似ているもの」と「ルール」を関連づけて、圧縮する』。


    ◆例として挙げられているのが、こんな「家族構成を覚える」というお話です。
    「サラリーマンをしているお父さんと専業主婦のお母さん、すでに結婚している長女、未婚の長男と次女に、長女の夫と長女の息子」という2世帯同居の家族構成で暮らしている家庭がありました。

    この家族構成を暗記して、忘れないようにできるか否か?

    いったんはネタバレ自重しますが、一発で覚えられて、一生忘れない(「このケースは」ですが)があるんですよね・・・。


    ■3.例外を認めることが圧縮のコツ

    ◆語呂合わせでも何でも、「厳格なルール」を前提としてしまうと、元からあるものはまだしも、自分なりの暗記の対象が狭まってしまいます。

    「必ずしもすべてのカタマリが何かに関連づけられるわけではない」というのは、結構重要なポイントなわけで。

    ならばどうするかというと、「大きく捉える多少無理やりなルール+わずかな細かい例外」という構成で対処せよ、と。
    英語や古文の単語であろうが、数学や物理の法則だろうが、資格試験のための法律だろうが、いろんなことを覚えていくうち、実は少しずつ例外にしなくてもいい「似てること」や「ルール」が貯まっていくこともあります。

    これは自分でも経験があって、やはり暗記量が増えてくると、実は「似ていること」や「ルール」が増えていくんですよね。

    ・・・ってチカラワザで丸暗記した私は、後から気が付いたんですが。


    ■4.万人にとって最高の暗記術は存在しない

    ◆本書に「マル秘暗記術」を期待された方には「エー!」となりそうなお話。

    要は、こういうことだそう。
    「万人にとって最高の暗記術なんてものは存在しない。なぜなら人によってタイプが違い、そのタイプによって、異なる最高の記憶術が存在するからだ」

    これはこのブログでも以前書いたお話ですが、例えば税理士試験の理論を暗記するのに、「書かないと覚えられない」という人がいる一方で、私は書いて覚えようとすると、「見て書き写す作業をやりながら別の事を考えてしまい覚えられない」という事態に陥ってしまったのでした。

    結果的に私は「見て覚える」タイプだったようで、その後、カラフルなマーキング等の工夫をこらすことになったのですが。


    ◆そこで、本書で提示されている「記憶のタイプ」は以下の5種類。

    ◎文字型 ◎音声型 ◎映像型
    ◎概念型 ◎動作型

    私は勉強する過程において自分で映像型だとわかりましたが、それに気づくまで、かなり無駄なことをやっていました。

    自分がどのタイプかピンと来ない方は、本書に簡単な判定方法と、タイプ別のアドバイスがありますので、ご参考まで。

    と言っても、「自分の好きなタイプになれるわけではない」ので、その点はご留意を。


    ■5.集中のきっかけになる儀式をつくる

    ◆これは、勉強に入る前に、「これをしたら自分が集中し始める」という儀式を作りましょう、というお話。

    有名なところでは、イチロー選手がバッターボックスに入ってからいつも行う動作がありますよね(スポーツの専門用語では「ルーチン」と呼ばれる)。

    著者の西内さんの場合は「耳かきをすること」なのだそう。

    タバコ吸ったり、コーヒーを飲む、なんてのは比較的よく聞く話です。


    ◆もしそういうものがなければ、新たに作ることになるのですが、その際の注意点について。
    これらの儀式はすべて「簡単にできて」「すぐ終わって」「特に面白いとか面白くないとかいうものでもなく」「しかし少しだけ心地よく」「作業にとりかかるためのきっかけになりやすい」ものであるということです。

    そう言われると、意外と思い浮かばないような・・・。

    そういう場合のアドバイス。
     まずどういうことをやれば自分の中で「少しだけ心地よい」のか考えてみれば、自ずと答えは出てくるのではないでしょうか。

    ◆ここまでが第6章で、次の第7章では、具体的なテーマに対しての「ロジカル暗記術」の実践が展開されています。

    出てくるテーマは「英語勉強法」「数学勉強法」「マーケティング勉強法」の3つ。

    それぞれについて、実際にどういうアプローチをしたか、が、かなり細かく掲載されていますので、興味のある方はご参考まで。

    3つとも同じ雛型にそって展開されており、その雛型は他の勉強にも応用可能なハズ。


    ◆また、その6章までも比較的に戦術論ではなく、戦略論的な話に趣きを置いているのが本書の特徴かと。

    初っ端の、やみくもに何でも覚えるのではなく、まず「対象の絞り込みが大切」、というお話は特にそうです。

    たまたま私は専門学校で税理士試験勉強をしたので、かなりしっかりとしたレールが敷かれており、その辺の絞り込みも専門学校頼りではありましたが、これが独学で、新しい分野の勉強をしようと思ったら、撃沈必至。

    そういう意味でも、第7章で西内さんが「マーケティングの勉強」を行った際の勉強方法は参考になりました。

    「広義の勉強本」(資格試験等を目的とするのではなく、自己啓発的な勉強本)でも、あまりお目にかかれなかったようなコンテンツではないか、と。


    ◆ちなみに、「美しい東大ノート」に関して、そもそも西内さんは、「ノート自体まともにとったことがない」のだそう。

    また、ポイントの4で挙げたように、記憶のタイプによって授業に対するアプローチが違うので、タイプごとにノートも異なるハズだと。
     すなわち自分が何かを覚えようとする限り、文字タイプならノートは無味乾燥な箇条書きチェックリストの羅列になり、音声タイプなら授業中の先生の話という音声に対する記憶だけで問題がないためノートすら取らず、概念タイプも自分なりの整理のためのよくわからない、丸で囲まれた単語のメモが線で連結されただけの図を2,3書いて終わりだったりもします。

    それでは「美しい東大ノート」の正体は?

    元東大生で、東大職員である西内さんの見解として、1つの仮説(?)が本書では提示されています(ネタバレ自重)。

    言われてみると、なるほどそうかも。

    いずれにせよ、ノートを取る、という行為も、あくまで「手段」であって、「目的」ではないですからネ。


    ◆そして最後に、上記ポイントの2で出されていた「家族構成」の問題。

    今、ここで「思い出して」と言われて、全部間違いなく思い出せましたでしょうか?


    ・・・お気づきの方もいると思いますが、これは漫画「サザエさん」の家族構成なんですね。

    仮に、この家族構成とはちょっとだけ違っていたとしても、それは「例外」として、覚えればよいだけのこと。

    長女夫婦に二人目の息子がいたとしたら、それは「タラちゃんに弟ができた」とするとかw

    やみくもに暗記するより、こういうちょっとした工夫で、「強固な記憶」が可能となるわけです。

  • 情報を圧縮する、に関してはすでにやっていることだった。文字記憶型、音声記憶型、映像記憶型の話が出てきたけど、改めて定義を考えてみると自分はずっと映像型だと思ってたけど文字型だったのでは…?と思った。
    あと新たに概念型と動作型という概念を覚えた!

    文字型に有効な覚え方は、箇条書きのわかりやすい文字情報にする。絵でもなんでも文字で表現する。それを何度も黙読。


    ゴールを定め、具体的に何が足りないか、足りてるものは何か考え、「簡単に改善」できて「効果が大きくて」「すでに足りてるものを活かせる」ものを選ぶ。
    それを短期的ゴールとした時に何をすればそのゴールを達成できるのか、題材を探す。

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  • NLPを記憶術に応用している感じですね。
    自分のしっくりくる型を見つけてそれに基づき繰り返し記憶する。
    それを活用できるレベルまで高めればやるのが「めんどくさい」ようになるというものです。
    法律試験にも十分応用できる内容でした。
    もう一度やるときはこの方法を活用しようと思います。

  • 巷に溢れる暗記術の類に漏れず、特に目新しい内容は無い気がします。「目的を持って読む!」これ位ですね。

  • いかに論理的に,能率を上げて問題を解決するか?
    なぜノートをとるのか?→なんとなく→なぜ自分がそれをやるのかを考えろ
    期日までに勉強しなければならないことをA4一枚にまとめる→勉強,覚えることを整理
    どこに書いてあるのかを覚えること→自分用の資料
    antidisestablishmentarianism
    山下清 直観像記憶

    繰り返しを習慣化
    elppa apple
    他人に教える→自分の言葉
    集中するための儀式→コーヒー
    どうでもいいストレスを取り除く。

    自分の現状を整理する→
    ①どんなことがしたい。どんな人になりたい②何が足りないのか。すでに足りているものは何か。③改善できるものは。④短期的なゴールをネットで探す。⑤アウトプットを意識しながら繰り返し⑥資料をまとめて,明確化,具体化⑦成果をためす。⑧次の課題を整理

    数学→抽象化→紙とペンで状況を整理する。

  • 二章以降は別段珍しくない内容ですね。
    ただ大切なこと!
    それは
    「最低限覚えること」を決めることだとおもう。
    コレを決める段階で実は一通り覚えるべき内容に目を通す必要がある…という。
    まぁ学校のお勉強とか資格のお勉強なら必出のとこを見たら良いんだろうけどね^^;
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  • 自分なりの暗記方法を習得する為には読むべき本。
    自己分析にも使える。
    保管場所:タタミ1

  • 暗記術ということで具体的なテクニックの部分について触れてあります。
    世間一般の記憶術に似た感じも少しありますが、関連付けと例外を認める方法の組み合わせで使えるものが増えるというのは斬新でした。

  • 楽しめた本です。効率のよい暗記方法を説いています。なるほどーと頷く点も多いですが、結果的に得たのは、暗記することよりも理解することが大切であるということです。うまく理解する術を身につければ、結果、暗記につながるのです。

  • 09/10/03読了

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著者プロフィール

1981年、兵庫県生まれ。統計家。東京大学大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長、ダナファーバー/ハーバードがん研究センター客員研究員を経て、2014年11月に株式会社データビークル創業。自身のノウハウを活かしたデータ分析支援ツール「Data Diver」などの開発・販売と、官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)、『1億人のための統計解析』(日経BP社)など。

「2017年 『ベストセラーコード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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