3年後にトップを獲る医療機器メーカーの成長戦略―巨大医療機器市場の全貌を多角度から切り取る最新レポート! (New Medical Management)

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  • ぱる出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784827207224

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    自身が身を置く医療機器業界の勉強として一読。
    2012年発刊の書籍なのでやや古い内容も多いが、色んなメーカーの動向や特性などが中々事細かに掲載されており、非常に為になる1冊だった。
    (「vs外資系企業」というような描写も多く、そのため内容もやや国内企業よりなところは否めなかったが・・・)
    また、日経新聞などでも取り上げられることの少ないニッチな産業だけに、こういう一まとめになっている書籍は非常に勉強になります。
    例えば、個人的には「オリンパス事件」という粉飾決算の事すら知らなかったし、テルモとオリンパスの蜜月関係なども全く知らなかった・・・・
    コダックの倒産なども楡周平の経済小説「象の墓場」で知れましたし、今後の展望だけでなく業界の歴史も学ぶための読書は本当に良いですよね。為になります。

    また、本書では2番手のテーマであったが、外資系の医療機器企業にも触れていて、中でもGEやシーメンス、JJ、メドトロニックなど多数の会社の紹介は本当に参考になった。
    やっぱり大手企業はメディカルを1部門として持つコングロマリット系が多いのだなー。

    もう一つ気になったのが、どの企業も総合商社と業務提携したり、「トータルソリューション」を提案することで、より包括的な戦略を持ってビジネスを行なっているのだなと実感。
    中でも特に目を惹いたのは「GE」の戦略。単品販売中心から病院のハード面&ソフト面、システムからインフラまで全て包括的に提案できるとか凄すぎなんですけど・・・
    ウチの会社は治療用機器の消耗品分野なので中々そっくりそのまま模倣できないが、「トータルソリューション」や「包括提案」という戦略は、今後本当に必要になってくると思う。(うちの会社にもそんな部署あったなー)

    あまり金や出世に直結しないが、自身が属する業界の勉強は結構役に立つし単純に面白い。
    今後とも継続して行おうと思います。


    【内容まとめ】
    1.医療機器業界は小さな市場の集積。
    日本の医療機器業界は2兆5千億円もの巨大な市場であるが、市場としてのまとまりは乏しい。
    細分化された小さな市場が集積して巨大な市場となっている構造。

    2.医療機器は大きく分けて検査用機器と治療用機器がある。

    3.総合商社と医療機器
    全くの異分野のように思われるが、総合商社も医療機器分野へ積極的に取り組んでいる。
    医療機器単体の進化はメーカーによって今後も進んでいくが、それ以上に医療機器をどう組み合わせていくことで効率的な治療に繋げることができるのか、そうしたコーディネート力を持っているのが総合商社である。

    4.GEヘルスケア(検査、診断用機器のトップ企業)
    世界最大のコングリマット「GE」グループの医療機器分野。2009年の世界売上は170億ドルで、日本国内(GEヘルスケアジャパン)の売上は1363億円。
    これまで高機能機器の「単品販売」が中心だったが、トータルソリューション提供を重視する方針に転換している。
    画像診断装置は単なるパーツとして、これを結びつけるITによって、病院のハードからソフトに至る全ての機能を丸ごと受注しようという狙いだ。

    ハード機器からシステムなどのソフトウェア、統合するソフト、メンテナンスなどを一手に受注する事で、より効率的かつオーダーメイドのシステムを作る。
    それがGEの狙いである。

    5.ジョンソン&ジョンソン:世界最大の「トータルヘルスケアカンパニー」
    洗剤などの日用品やバンドエイドなど、一般消費者向けの医用製品大手でもあるが、それ以上に医療機器や医薬品分野でも世界的大手である。
    世界57カ国に250以上のグループ企業を有し、従業員11万4千人を誇る世界最大の「トータルヘルスケアカンパニー」なのだ。
    世界売上は5兆5543億円と巨額で、構成比は消費者向け26%、医療機器38%、医薬品36%とバランスも取れている。

    メディカル部門はGEなどの診断系機器とは異なり、治療用医療機器に特化。
    ・術用医療機器:手術用縫合糸、メッシュなど。
    ・創傷管理関連製品:局所止血剤、癒着防止、ドレナージカテーテルなど。
    ・開腹、開胸手術関連:電気メスなど



    【引用】
    3年後にトップを獲る医療機器メーカーの成長戦略


    数少ない成長分野と呼ばれる医療機器市場で、優勢な外資系に対して、技術力を武器に奮闘する日本企業。その内情を詳しくレポート。


    p3
    日本の医療機器業界は2兆5千億円もの巨大な市場であるが、市場としてのまとまりは乏しい。
    細分化された小さな市場が集積して巨大な市場となっている構造。


    p32
    ・2012年に発覚した粉飾決算「オリンパス事件」
    オリンパスは日本最大の医療機器メーカーである。
    2012年現在で、トータル売上は8471億円、内53.8%が医療・ライフサイエンス分野で、4561億円の売上。
    さらにこの分野における営業利益は802億円にのぼり、会社全体の営業利益は355億円となることから、医療分野で稼ぎ出した利益を他分野が食い潰しているのが現状である。

    主力は内視鏡で、世界の70%のシェアを持つ。
    (2位はHOYA、3位は富士フイルム、日本企業3社で95%の世界シェアを占めている)


    p38
    ・テルモとオリンパスの深い関係
    テルモは治療用機器の国内トップ企業。
    2012年の業績は売上3866億円、営業利益630億円、純利益242億円だった。
    テルモとオリンパスは2001年に医療機器分野の開発・製造・販売等に関し、包括的な業務提携契約を結んでいる。

    医療機器は大きく分けて検査用機器と治療用機器がある。


    p58
    世界にはGE、フィリップス、シーメンスの御三家をはじめとして1兆円規模の医療機器メーカーがゴロゴロしている。
    日本企業は規模面で大きく立ち遅れており、巨大外資を追いかける一番手としてのテルモの拡大戦略に注目していきたいところだ。


    p63
    写真フィルムからデジタルへの転換期、富士フイルムはその流れに完全にのった。売上の20%を占めていた写真フィルムは現在ではわずか3%にすぎない。
    2012年1月にイーストマンコダックは破産法を申請したが、それとは対照的であった。
    コダックは写真フィルム全盛期を支えた世界の巨人で富士フイルムが目標とする巨大企業だったが、写真フィルムにこだわって構造転換が遅れた。


    p152★
    ・総合商社と医療機器
    全くの異分野のように思われるが、総合商社も医療機器分野へ積極的に取り組んでいる。
    医療機器単体の進化はメーカーによって今後も進んでいくが、それ以上に医療機器をどう組み合わせていくことで効率的な治療に繋げることができるのか、そうしたコーディネート力を持っているのが総合商社である。


    p182★
    ・GEヘルスケア
    →トータルソリューション
    →検査、診断用機器のトップ企業
    世界最大のコングリマット「GE」グループの医療機器分野。
    2009年の世界売上は170億ドルで、日本国内(GEヘルスケアジャパン)の売上は1363億円。
    主な製品群はCT、MRI、超音波診断装置、X線撮影装置、医療用画像ネットワーク、液体クロマトグラフィー装置などなど、主に検査店診断用機器が主体。
    CTやMRIら世界シェアNo. 1で、次ぐフィリップスやシーメンスと合わせて3社で世界シェアの80%を占める。

    また、これまで高機能機器の「単品販売」が中心だったが、トータルソリューション提供を重視する方針に転換している。
    画像診断装置は単なるパーツとして、これを結びつけるITによって、病院のハードからソフトに至る全ての機能を丸ごと受注しようという狙いだ。

    ハード機器からシステムなどのソフトウェア、統合するソフト、メンテナンスなどを一手に受注する事で、より効率的かつオーダーメイドのシステムを作る。
    それがGEの狙いである。


    p185
    ・シーメンス
    ドイツ出自の世界的コングロマニット(複業企業)。
    家電エレクトロニクスを中心に発展していたが、現在ではヘルスケア事業のほか通信や電気・電子機器、発電・送配電などインフラビジネスに集約化を進めている。
    日本法人はインダストリー、エナジー、ヘルスケアの3セクターで、売上は1600億円にのぼる。

    ヘルスケア部門の手がける事業は、血管撮影装置、X線CT装置、MRI、分子イメージング機械、体外式衝撃波結石破砕装置、放射線治療システムなど、診断系機器が中心。


    p188
    ・フィリップス
    オランダ発祥の世界的家電メーカーで、現在はライフスタイル製品や照明部門、ヘルスケアの3分野を中心に世界60カ国で12万人の社員を有する巨大企業。
    ヘルスケア部門で、2010年の世界売上は86億ユーロ(約1丁円)。

    フィリップスの特長はMRIやCTなど診断系に強いだけでなく、在宅ヘルスケア事業で世界最大であること。中でもAEDでは世界一のシェアを誇る。


    p190★
    ・ジョンソン&ジョンソン
    洗剤などの日用品やバンドエイドなど、一般消費者向けの医用製品大手でもあるが、それ以上に医療機器や医薬品分野でも世界的大手である。
    世界57カ国に250以上のグループ企業を有し、従業員11万4千人を誇る世界最大の「トータルヘルスケアカンパニー」なのだ。
    世界売上は5兆5543億円と巨額で、構成比は消費者向け26%、医療機器38%、医薬品36%とバランスも取れている。

    メディカル部門はGEなどの診断系機器とは異なり、治療用医療機器に特化。
    ・術用医療機器:手術用縫合糸、メッシュなど。
    ・創傷管理関連製品:局所止血剤、癒着防止、ドレナージカテーテルなど。
    ・開腹、開胸手術関連:電気メスなど

    ラインナップが充実し、各々がトップクラスのシェアのため、合併の必要もない。


    p195
    ・ボストンサイエンティフィック
    「インターベンション」と呼ばれる低侵襲治療法用機器を扱う世界最大のメーカー。

  • 国内の主要な医療機器メーカーであるオリンパス、テルモは章を1つずつさき、MRI・CTの国内大手である東芝メディカルシステムズ(現在はキャノンへ売却)、日立メディコについては数ページを割いて説明がある。

    さらに、国内の中堅メーカー(売上規模が数百億)について15社、人工透析関連のメーカーについて7社、商社・IT企業の異種競合メーカーについて9社、大手外資メーカーについて8社が、1企業につき最低2頁をさいて説明がある。

    各企業の特徴、強い製品などが説明されているため、企業単位での医療機器業界の概要をある程度詳しいところまで知れる。

  • 3年前に出た、このタイトルの本を今更読むのもどうかという感じですが、用は十二分に足りました。

  • オリンパスの事件が分かりやすかった。「オリンパス事件」という言葉は聞いたことはあったが実際の中身の話はよく分かっていなかった。これを読んで粉飾の精妙さに驚いた。そして実際に、例えばだけど、自分が転職したり出世したとして、内部で不正を見つけたらどうするだろう?と思った。ウッドフォード社長のように告発しなければならないが、そのような事態には陥りたくないものだ。一応、医療業界の具体的な企業名が多数挙げられていて、その特徴が分かることから就職活動には役立つと思う。医療機器業界を志望する人には必見。

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