本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784827340570
感想・レビュー・書評
-
サブタイトルになっている「俊成より芭蕉への展開」ということばが示しているように、「さび」という観念の歴史を解説している本です。
俊成や正徹らの歌学における「さび」の概念からはじまって、近世初頭の禅僧である素隠によって書かれた仏典の注釈書(抄物)における「さび」の理解、あるいは利休を中心とする茶道における「さび」などについて説明し、芭蕉とその弟子たち、さらに蕪村や涼袋といった芭蕉以後の俳人たちにまで説きおよんでいます。
著者は、前著『芭蕉における「さび」の構造』(1973年、塙書房)においても、著者自身の「さび」という価値観に対する理解をあらかじめ前提することなく、あくまでテクストにもとづいてその意味を解明することに努めていましたが、本書でもそうした抑制的なスタンスがつらぬかれています。あくまで「さび」の観念史であり、精神史ではないという点に、本書の意義があり、またその限界もあるように感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
728夜
全2件中 1 - 2件を表示