水戦争 水資源争奪の最終戦争が始まった 角川SSC新書 (角川SSC新書 19)
- KADOKAWA(角川マガジンズ) (2007年12月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784827550191
作品紹介・あらすじ
世界は今、危機的な水不足に瀕している。人口増と地球温暖化が加速する中、欧州、アフリカ、アジアでは水不足による紛争が勃発。さらに、水を利権ビジネスと考える巨大企業が、地球の水を支配しようと動き出している。資源、穀物に続いて、最終戦争とも言える水の奪い合いが、世界中で巻き起こっているのだ。水の超大量消費国である日本にも、危機が迫っている。日本人がまもなく直面する水不足の現状と対応策を、総合商社の最前線で活動する「資源」の第一人者が語る。
感想・レビュー・書評
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水の惑星、地球。しかし、世界人口は増えているにもかかわらず、水資源のうち淡水は2.5%でその大半も地下水や極地の氷という形で、我々の生活で利用できる地表水はわずか0.3%にすぎない。また、日本の食物自給率はカロリーベースで4割、残りの60%を輸入に頼っており、結果としてヴァーチャルウオーター(例えば、輸入牛肉1㎏生産に使われる水の量は16,000ℓ、大豆1㎏は2,300ℓなど)の輸入大国となっている。世界的な水不足が問題となっている状況で、比較的水資源に余裕のある日本の仮想水の輸入実態は問題なしとはいえない。とはいえ、食物自給率を上げれば水資源の問題に直面するわけで、むつかしい判断が必要となっている。
また水不足解消のためにダムを増やすという選択肢も、環境やコスト(耐用年数は20年!)面からも疑問視されている。
さらに温暖化によって、生育期間中の気温が1℃上がるとコメや穀物の収穫量が10%減少するというデータもあり、人口が増える一方で収穫が減れば取引価格は上昇し、食料不足も起こる。
人口の多い中国では、1997年には黄河の断流距離が700㎞(169日間)という状態で水不足は深刻な問題となっている。
2007年出版の衝撃な問題提起の本となっています。
以下は、本書のPR文です。
世界は今、危機的な水不足に瀕している。人口増と地球温暖化が加速する中、欧州、アフリカ、アジアでは水不足による紛争が勃発。さらに、水を利権ビジネスと考える巨大企業が、地球の水を支配しようと動き出している。資源、穀物に続いて、最終戦争とも言える水の奪い合いが、世界中で巻き起こっているのだ。水の超大量消費国である日本にも、危機が迫っている。日本人がまもなく直面する水不足の現状と対応策を、総合商社の最前線で活動する「資源」の第一人者が語る。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
分類=環境問題・自然・水問題。07年12月。水資源問題は食料資源問題とも結び付く。
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前半を特に重点的に読む。後半はちょっと読み飛ばしちゃった。現状の整理と、経済活動と深く関わる部分の解説が多い。
以下メモ
バイオ燃料と穀物(つまり食料)の問題は地続き。
地球の水のうち淡水は2.5%。さらにその大半が地下水や氷。地表水はわずか0.3%で、分布に偏りがある。世界の総人口で割るとひとり当たり200トン。
都市化にともない水が汚染される。
水は食料問題。食料を輸入に頼る国は、自国の水が潤沢であっても深刻な問題を抱えていることになる。
食料不安から増産となり、それが新たな水問題を生む。砂漠化も進行する。(砂漠化の要因……過放牧、過耕作、灌漑農地での不適切な水管理、森林伐採、様々な人間活動)
砂漠化は一度始まると塩害が発生して拍車がかかる。
淡水利用の7~8割は農業。
灌漑農業が増えたことで食料は増産された。灌漑のための水の大半は地下水。
灌漑は塩害をもたらす「もろばの剣」(乾燥地帯では、水が土壌上層から蒸発し、作物の根の地層に塩類が残る)
貧困国では薪炭材採取のための森林伐採、焼き畑農業の問題がある。
国際河川での開発や取水、汚染は戦争の原因にもなる。ダム(上流に作ると、その下では流量が激減する)や石の建設運用も。
水の汚染は産廃、化学物質、屎尿などによる。
タールサンド(砂油)固形化した石油?というものがあるらしい -
21世紀の石油と言われる水及びそことつながる食糧生産について。日本は経済成長が見込めないので、これからどんどんこのようなインフラに対する重要性が高まってくると思う。
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ロフト行き
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水戦争ではなく食料問題にも言及されていたのでグタグタな内容になってしまったなぁ。これから人口が増えて、世界中で水不足になるかもね。
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都市と水の関わり方について学んでいきたい
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イレギュラーな仕事などがバンバン入って,ペースが乱れに乱れた読書ですが,読み途中になっていたものを読み終えました.水資源の争奪に関するもので,専門分野からして何となく知っている話が多かったですが,「何となくしか知らなかった」ので,勉強になりました.環境問題を学ぼうとする人間には,必読の1冊と言えるでしょう.