- Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828410180
感想・レビュー・書評
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『「お前の言っていることは、薄っぺらい正義感だ」
正しいことはこういうことだと教えられ、いつもその通りに正しく生きろとしつけられてきて、その通りにしようとすると、世間では間違ったことになってしまう。
それならいっそ、正しいことをするなとなぜ教えてくれなかったのか。正直者はばかを見る、長いものにまかれよと、なぜ諭してくれなかったのか。
おかげで、社会に出てから初めて現実を知り、私たちは啞然とする。そしていつのまにか私たちは、子供のときに教えられた生き方の指針を改めて、正しい行いを封印する。
ところがそれでも、子どもが生まれて自分が大人になると、やっぱり自分の子供には、「正しく生きろ」と教えるのである。』
筆者は内部告発を勧めているわけではない。むしろ、可能な限り避けた方がいいと論じている。内部告発がいかに告発者に負担を強いるのかをとうとうと説明し、まずはその回避策を探ってくれている。
それでも、内部告発が不可避になった場合には、どういうアプローチがあるのか詳しく説明している。
内部告発は最後の手段であり、自己犠牲を強いるものなので相当の覚悟が必要だ。やるやらないではなく、ありとあらゆる組織に属する人は一度はこういうのを学ぶ必要があると思うなぁ〜。
事例も豊富で分かり易い。
根底にあるのは…人間にとっての正義とは何なのかを問い質す作品で面白い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内部告発マニュアルというタイトルであるが、「告発者には何もメリットはない。内部告発に至る前に出来ることがあるのではないか」という指摘があった。とても現実的な内容であったと思う。告発=「正義」と単純理解をしてはいけない。「正義」は人の数だけあるからである。
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筆者はジャーナリストだが,内部告発を進める内容ではなく,むしろそのリスクを強調して中途半端な内部告発は思いとどまった方が良いとまで述べている。
その上で告発の方法について,慎重かつ用心深く準備を行い,告発先をよく選んで告発すべきと述べる。
が,これも告発を奨励するのではなく,やむを得ず行う場合にいかにして失敗のリスクを軽減するかという点に重点が置かれている。
まさにこれから内部告発をしようという人にはあまり参考にならないかもしれないが,
本気で成功させるにはこれ位根性を決めて実行しないといけないということは,最低限知っておくべきである。