売国奴

  • ビジネス社
3.88
  • (15)
  • (12)
  • (13)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 131
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828413877

作品紹介・あらすじ

内からではなく外から見た日本は、古代からすでにさまざまな見聞や研究で語られ、また論じられてきている。しかし戦後の日本については外からの誤解や曲解も多く、ことに「反日」論はむしろ言論界の主流のひとつといえないこともない。では日本とは、日本人とは、いったいどう見られているか。より多くの視点から探るために、黄文雄氏と呉善花氏、石平氏と三人での鼎談という形で語る。論題としては天下国家から民族、歴史、文化、そしてなぜ「反日」なのか、についても取り上げる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • そこらの日本人より日本人らしい、中国、韓国、台湾出身の3者による鼎談。「日本では、お前は悪いと言われてもあまりこたえないけれど、お前は汚いと言われたらこたえるんですね」と書いてあったが、よく分かってるなと感心。5章から読むと、著者たちが、どういう経緯で日本に辿り着いたかわかるので読みやすいと思う。

    日本は神道の国で、中国、韓国は儒教の国。後者は、天命思想によって、統治者が変わるたびに、歴史もかわっていった。日本は神道の国ということもあって、国や文化の連続性が保たれてきた。ここからくる価値観の違いはかなり大きいと思った。

    反日について、中韓両国とも仮想敵を必要とする政治上の理由があることは共通しているが、中国は、共産党維持のための政策。中国共産党は常に善で、悪は、政治的な必要に応じて変わる。中国の若者が、南京虐殺は知ってるのに、文化大革命や天安門事件についてよく知らないのがこれをよくあらわしている。

    韓国の反日は民族主義。朝鮮人の民族精神の核は、恨の精神(うまくいかないことを、境遇に求め、それを固めて、成功の方向に歩んでいくことでそれを溶かしていくこと)で、被害者意識を歴史的に抱えてきた国民性がある。歴史的、地政学的、文化的に彼らなりの必然性があってのことと思うが、こういう国が隣国にあるのは本当に迷惑だ。

    そして、日本の左翼知識人や一部メディアが反日の共犯者として両国に味方してきた。呉さんと石さんは、故国では親日派で売国奴と呼ばれているようだが、日本という言論の自由が保証された国で偽善的に平和を語る売国奴とはわけが違うということがよくわかった。

  • 読了。今もっともホットな話題の一つ。歴史とは社会科学でなければならず、その為には史実と価値観を混同してはいけない。日中韓の歴史認識の違いをとても分かり易く説明している一冊。「政治的なバイアスのかかった歴史しか教えませんからね」、これが全てだろう!!

  • まあ、生まれ育った土地柄というものもあって、東アジアの近代史はかなりナーバスな事柄だと思っている。ヘタに持ち出したくない話題でもあり、そうやって様子を窺っているせいもあってか、この事柄についての自分の考えなど持たない方向で、なんとなくここまできた。

    とはいえ、昔、学校の先生などから話を聞く中で、一点だけ疑問に思っていることがあり、それがこの本では明らかにできるかしら? と思って読んでみた。

    結果的に、非常にスッキリと明らかになった。つまり、韓国や中国では自国の歴史をどんなふうに教えているのか? ということだったのだけど――なるほどねぇ……。

    中国・韓国・日本は同じ儒教の国とか、漢字など中国文化に影響を受けているとか、見かけが似ているとか、何かと共通点を挙げて「だからわかりあえるはず」みたいな流れがあるけれど(今は昔ほどじゃないのかしら?)、いやいや全然違うんだと 考える方が、何かと物事はスムーズに運びそうだと、改めて思ったのだった。

    彼らがどんな風に物事を考えるのか、ということがわかりやすく説明されているのも興味深い。

  • 地理的に近いからといって、思想的に分かり合えないのが日本と特定アジア。中国は建て前と本音を使い分けるので、人としてはまだ仲良くなれるかも。韓国はどうにも分かり合えないので、心から信用するには日本人の十倍の時間をかけるべき。結果、信頼に足る人はこれまで見たことがないのだけど。日本人でも悪い人はいるとはいえ、自分の身を守るためだから。

  • 48u3

  • 韓国、台湾、中国それぞれの国の政治に基づいた今日の日本に対する態度は、実は根本的に思想の部分から異なることに気づく。美しくあることを追求をする日本文化を他国の現況からみて再認識することができる一冊。日本を好きになることは、たぶん今の日本には必要な気がする。

  • (推薦者コメント)
    「売国奴」とは。著者3人のことである。3人は、中国人または韓国人であり、日本において両国に関する執筆活動などを行っている論客であり、多くの著作を持ち、評価されている。そんな3人が何故「売国奴」なのか。彼らを「売国奴」と呼ぶのは、日本人ではなく、中国人や韓国人なのである。本書は、そんな「反日」感情の理由と、日本が海外からどう見られているかなどについてを、日本の隣国出身の3人が語り合うものである。

  • 中国、韓国、台湾といった日本の近隣諸国において、それぞれ自国で「売国奴」と言われる、客観的な国際視点を持つ論者たちによる対談本。
    編集がよくなされており、対談本に見られがちな内容のずれや冗長な表現などは見られず、終始論理的な構成となっているので、非常に読みやすい。

    論者たちは、決して自国を嫌って日本に媚びているのではなく、自国への愛があればこそ、客観的に見てバランスを欠いている自国の文化や言説について批判し、「民主国家ならこうあれ」といった提言を行っている。どの議論もそういった建設的な構成になっているので、受け入れやすい。

    それにしても、同じ反日といっても中国と韓国ではまったく質の違うものだということがはっきり示されていたことは興味深い。本書内でも述べられているが、民族の意識として刷り込まれている韓国の反日感情は容易に拭い去られることはない。対して、中国共産党による、党への不満のはけ口として設定される反日運動には、もともとの感情的な根っこがなく、風化するときは一気に風化する可能性がある。

    この点を考えても、まだ中国のほうが韓国より付き合いやすいような気がした。

  • 日本のことをよく知る中国人,台湾人,韓国人が母国と日本を客観的に評価している本.近隣の反日国との付き合い方を考えさせられる.

  • ここ最近の極東の情勢もあり民族・国家を意識して読みました。
    韓国・台湾・中国人が自らの国の事を分かりやすく語っています。
    特に面白かったのは、日本人は元々蛮族として思われていた事や、
    なぜ反日教育・民族・国家が在るのかを分かりやすく書かれていた事。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。1994年、巫永福文明評論賞、台湾ペンクラブ賞受賞。日本、中国、韓国など東アジア情勢を文明史の視点から分析し、高く評価されている。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』『世界から絶賛される日本人』『韓国人に教えたい日本と韓国の本当の歴史』『中国の正体知ってはいけない「歴史大国」最大のタブー』『新型肺炎感染爆発と中国の真実』(以上、徳間書店)、『もしもの近現代史』(扶桑社)など多数。

「2021年 『中国人も知らない歴史のタブー ジェノサイドの中国史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

黄文雄の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×