利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定するー

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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828414669

作品紹介・あらすじ

アメリカ発の金融恐慌でも、資本主義が滅びることはない!一切の偽善を排して、真に自由のために戦い抜いたアメリカの民衆の保守思想家アイン・ランド女史。本物の自由主義(リバータリアニズム)思想の創業者にして戦闘的実践者の闘う言論、日本初上陸。

感想・レビュー・書評

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  • 利己主義という気概ーエゴイズムを積極的に肯定する。アイン・ランド先生の著書。利己的に生きることができない人間は未熟者。利己的に生きることができない人間は何もできない。利己的に生きることを通じて自分も他人も幸せになれる。利己主義を貫くこと。利己主義を貫く他人に嫉妬しないこと。利己主義を貫く他人を非難しないこと。

  • 「自分自身のために生きるとは、自分自身の幸福の達成こそが人間の最高の道徳的目的であるということを意味します。」

    世に蔓延る利他主義を自傷的痛みの道徳と切り捨て、
    合理(利)的な利己の追求こそが生の目標だと説いた。

    ホッブスは利己の追求をそのまま良しとするが、
    アインランドは目的にかなった理性(reason)に基づいた利己追求でなければならないと言う。
    つまり、性欲の赴くままに行動することは、長期的に考えると自身の破滅であるので、それは理性的な人間の行うものではなく、動物のそれだと非難する。
    ランドの言う利己主義は極めて利己的であり、一般人の考える「利己」とはその厳密さ、達成の困難さが違う。
    一般人ではホッブスの利己追求の基準程度であろう。

    これを人生の柱として生活するには非常に大変である。
    現に、ランド自身の不倫や仲たがい等の私生活を考えると、提唱者である彼女もそれを貫いて生きることができなかった。一種の理想主義である。

    最後の、訳者解説の項にあるランドの客観主義を訳者がまとめたところがこの本の主旨であると言ってもよい。
    正直、ランドの記述した客観主義はうまくまとまっておらず、理解しにくい。

  • 難しすぎて、断念。

  •  一般的には否定的な意味合いを持つ利己主義を価値や道徳の論考を通して積極的に肯定していこうという主旨。

     利己主義→悪、利他主義→善という評価はそもそも価値に対する杜撰な認識が産み出す。道徳的に善である価値を積極的に肯定することは悪でははなく、合理的な人間の当然の態度であり、むしろそうして正当に獲得された価値を無条件に他者に貢献することを期待し、強制することはむしろ悪である。

     利己主義が悪に転じるのは、それが道徳的で無い価値を追求する結果であり、利己主義ではそれは価値の錯誤から来る小さな過誤に過ぎないが、利他主義はその誤った価値を堂々と追求する点において大きな悪である。

     労働意欲があり、勤労機会を意志的に獲得しようとするが、それが実現しない場合に生活保護は社会のお情けとして受ける資格を持つが、意欲も行動も起こさずに生活保護を求める人は社会にとってのゴミでしか無い。

     利他主義が他人の正当な収穫物を、正当な理由無く強奪するための道徳を偽装した論理であることを考えれば、このことは明白である。

  • 筆者はロシアからアメリカに亡命したユダヤ人である。その背景が彼女の思想に色濃く出てゐる。
    Selfish、Egoismを積極的に肯定すると言ふ刺激的主題である。
    筆者曰く、「利他主義は自尊心を持つ人間や独立自営の人間という概念を許さない、ということである。自分自身の努力によって自らの生を支え、自分のために他人を犠牲にしない気概ある人間という概念を利他主義は許さない」
    「独立の気力なき者は国を思ふこと深切ならず。」に通じる論点である。
    決して筆者は国家を否定してゐない。国家の役割は、「報復のために物理的強制力を使用することは道徳的義務である。」を実現する事である。
    「資本主義は合理性に報い、人種差別を含むすべての形態の非合理性を懲罰するという方法で機能する唯一の制度である。」と、現実の不完全性を認めながらも資本主義を評価する。
    但し、「アメリカ合衆国は史上初の道徳的社会なのである。」は礼賛し過ぎである。
    筆者は本書が発刊された1964年にやっと公民権法(Civil Rights Act)が制定された事を知らないのだらうか ?

  • ライフストラテジーと通じるものがある。訳者解説が凄くまとまっている。

  • きっぱり言い切れるアインランドはかっこいい

  • アイン・ランドの本は初めて読んだ。というか、「肩をすくめるアトラス」と「水源」は、厚すぎで高すぎ。

    「エゴイズムを肯定」などとは鬼面人を驚かすキャッチフレーズだな、と思いながら読み始めた。利他主義とか自己犠牲がいかに生の本質・あるべき姿に反するものか、という論理を受け入れれば、それなりに筋の通った主張であるのは確かだ。その点で、「利己主義という気概」というわけのわからないタイトル、「エゴイズムを積極的に肯定する」という食欲のわかない副題はなんとかならなかったものかと思う。

    ともあれ、文体の持つ力とも併せ、彼女がリバタリアニズムを代表する論者であることは間違いない。願わくは、社会のみんなとは言わないにしても、3割4割の人がこうした考えを持つようになってほしい。政治や経済の議論で、自由主義が存在感を発揮するためにも。今の日本は、自由主義の立場からすれば「逆噴射」としか言いようのない状態にあるから。

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著者プロフィール

アメリカの作家、思想家。サンクト・ペテルブルク生まれ。1926年アメリカに単身亡命。『われら生きるもの』(1936年)で小説家デビュー。個人主義と全体主義の対立を描く長編ロマンス『水源』(1943年)がベストセラーになり、名声を確立。資本主義の道徳性を示す長編SFミステリー『肩をすくめるアトラス』(1957年)は現在までに23カ国語に翻訳され、累計販売部数は880万に達する。オブジェクティビズム(客観主義)哲学を創出し、小説やエッセイを通じて表現して自らそれを実践し続けた。その独自の思想はアメリカを中心にして世界中に広まり、リバタリアニズムと呼ばれる自由至上主義運動にも多大な影響を及ぼしている(ただしアイン・ランド自身はリバタリアニズムを完全否定し、自らの思想と同一視されることを拒絶した)。

「2021年 『SELFISHNESS(セルフィッシュネス) ―― 自分の価値を実現する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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