- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828415260
感想・レビュー・書評
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昔から本のタイトルに”予言”とあると手に取ってしまう癖があります、目まぐるしく変わる現代なので5年も先の姿を予想するのは難しいとは思いますが、来年(2010年)の予想なら私も確認することができるので、読んでみようと興味が湧きました。松藤氏と増田氏の対談形式の本ですが、二人が書かれてきた本を今まで読んできて納得する部分が大きかったことも、この本を読んだきっかけでした。
以下は気になったポイントです。
・恐慌時には金と金鉱山株しか上昇しない、さらには実質金利の上昇が今回も見られるため、不動産等はデフレトレンドとなる(p3)
・アメリカではインディアンの会社は債務超過を売ることが出来る法律がある、カーライルはインディアンに赤字を出すことが目的の会社をつくらせて、黒字と相殺できる一流企業に売りつけて大きくなった(p18)
・TESCO(世界三位の流通企業)が日本で成功した理由は、中央管理ではなく各店舗が独自に仕入れ販売管理ができるようにしていることにある(p21)
・アジア型とスペイン型(HYN1型)のインフルエンザの菌はお互いに食い合う(アジア型がスペイン型を駆逐)から両立しないはずなのに、今回メキシコで発生した豚インフルエンザと同じものである(p24)
・1929年の大恐慌が10年も続くのは、1926年の移民制限法により経済成長に欠かせないエネルギーを停止したことにあると考えられる(p25)
・米国は欧州と比べると階級社会の流動性はあるが、市民に枠組みを与えるのは一握りのエリートであることは同じ(p30)
・日本のオタク文化の特徴は、消費者側がマーケットをつくることにある、年二回開かれるイベントでは3.5万のサークルが平均200部の同人誌を販売している、これが日本の中小印刷業を支えている(p40)
・1996年頃、日本の金融機関が危機的状態になったとき、欧米の政府要人や知識人は、「政府は金融機関への監視が甘すぎる」といったが、今回はルールを変えて(資産、負債の再評価)対応した(p43)
・国家としてデフォルトに陥るのが一番早いのは、対外債務がGDPの4倍もある英国(ドイツ:1.5、フランス:1.8、スイス:2.9倍)である(p51)
・オランダが没落した本当の理由は、経営者が工場を都会から農村へ移転させたから、技術革新と縁のない方法で儲けるようになるといずれ金融立国しか目指せなくなる(p60)
・中国はチベット建国(1949年)から軍事侵攻して120万人のチベット人を虐殺しているが、この数は2割にあたる(p73)
・円安になると製品競争力がついて輸出が伸びるのではない、円安になって輸入品が値上がりするので、貿易収支を黒字にしようと輸出するから増えるため(p76)
・人間がCO2を輩出して上昇した程度の温度は、本格的に地球が寒冷期に入ったら消し飛んでしまう(p79)
・中国は貿易収支の黒字を国民生活改善のため再投資せずに、一元管理したものを米国債と米ドルに集中的に投下してきた、日本は自然に貯まったという感じ(p83)
・2008年金融危機後に、米国はアメリカ人が預金口座をつくってはいけない国(34カ国)を指定した、香港・マン島・シンガポール・スイス等も対象(p98)
・中国での素材産業がきちんと回っていない証拠として、中国政府の発表とは異なり、中国国内の電力消費量が落ちている(p105)
・1オンス当たりの金価格をインフレ調整して2008年アメリカドルベースにすると、南北戦争後の1000ドル突破から金本位制離脱まで一貫して低迷、アフガン侵攻直後の1700ドルから2000年までは一貫して下落、その後は1000ドルまで回復して今に至る(p128)
・株価の中間反騰とは異なり、デフレ時代の金は永続的上昇が期待できる、スタートは2009年の後半で、2000ドル(2009年9月現在:1000ドル)に向かう(p144)
・民間企業部門の財務体質が最も健全なのは、日本経済(自己資本に対する有利子負債比率は0.88)、英国:1.4、米国:1.64、ドイツ:2.9より良い(p170)
・ブラジル等の大規模原油開発の長期資金はドルで供給されている、米国で何かが起きるとドルを返済することになり(バブル崩壊後の日本の銀行と同様)ドル高(短期的には126円)となる(p175)
・中国は日本に関して大きな決定を2つしている、1)次世代携帯電話を日本と提携、2)環境改善の手助け、である(p207)
・GEの行ってきた選択と集中戦略はものすごく”ハイリスク”である、既存モデルに有り金を全額賭けることになるので、いずれ先細りになる(p210)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
“2010/7/13:
良い本。ただ、日本が何故大丈夫なのかが、
2009/9月初版のため、2010/7月現在で、
どうなのよっていう感じはする” -
増田悦佐さんの、歴史分析に基づく日本の立ち位置に係る視点が面白かった。出版時期から1年が経ち、景気の2番底Xデーの懸念高まる現在、改めて彼の現状認識を聞いてみたいと思った。
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2010/4/1
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おすすめ度:85点
「危機と恐慌とそしてゴールド」の松藤氏と「バブル崩壊以降の日本経済楽観論」の増田氏の対論から学ぶことは大きい。
二人とも「世界に超弱気、日本に超強気」である。
知的エリートが大衆を引きずり回す欧米型社会は、すでに破綻している。
ブリックス諸国も、知的エリート独裁色濃厚な国々であるがために、絶対に欧米諸国の後始末をつけることはできないのだ。
次の3つの事実は特に印象に残った。
現場に来ることなく時価総額経営にはしるMBA。
欧米(特に欧)の階級社会。
製造業が日本は大都市圏で成立している。