いま日本経済で起きている本当のこと―円・ドル・ユーロ大波乱!

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828416199

感想・レビュー・書評

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  • デフレや円高でもいいとか、少子高齢化はメリットのほうが多いとか今まで聞いてきた論評と違う主張の本。ちょっと楽観的にも思えるが正しいのかなぁ。

  • この人経済学概論の講義を受けたことがあるのかとポール・クルーグマンも全くガキ扱い。いかなる高論卓説が開陳されるのかと興味津津で手に取ったが、なかなかなかなか。確かに言うだけのことはあった。巷間テレビを見ても新聞を読んでも不安を煽り日本の将来を悲観させるような報道ばかり。本書はまったく真逆を主張する。マスコミが教えてくれない強くて健全な日本を教えてくれる。ギリシャと日本を比較するなどナンセンス中のナンセンス。久しぶりに日本人としての自信を回復できた。

  • 昔から経済関係の本を読んでいたのですが、最近になって、加工されていない一次データを用いて、日本とその他の国(欧米や中国、韓国等)との違いを解説してくれる本を読んでいます。その一人が増田氏で、彼の著作において、日本の素晴らしさが、鉄道システムの構築、日本市場が高品質で大きなマーケットである、という考え方を示していて私はとても気に行っています。

    今までの彼の本は分厚いものが多かったのですが、今回は現在の日本において起きていることを分かりやすく、多くの人に向けて書かれたと思われる本で、私としても推薦したい本です。

    以下は気になったポイントです。

    ・米国において生活必需品はデフレ気味だが、急上昇の続いている分野として、1)医療保険をはじめとする健康・医療関連、2)大学の学費・教育費、がある(p18)

    ・アメリカ人の平均寿命は先進国のなかでは短い、医療制度が改善されて寿命が延びると、年金制度を変える必要がある(p22)

    ・金融、保険、不動産等、就業者数で10%の業界が、全米企業収益の30%に以上を稼ぎ、政治勢力では最も影響力がある(p36)

    ・アメリカの学生ローンには消費者保護法が適用されない、クリントン時代に改悪された(p37)

    ・2010年5月末、ドイツがわずか7700億円の国債調達(5年もの)ができなかった、この意味は「5年以内にドイツは破綻する」と市場が判断したこと(p44)

    ・1990年、イギリスはヨーロッパ諸国と交渉せずに、一方的にERM(ユーロ導入のための欧州為替相場メカニズム)に参加し、1ポンド=2.95マルクと宣言したその後、ソロスは15億ドルのカラ売りをしかけた(p49)

    ・レバレッジ経営は、営業利益が金利負担よりも大きい時は問題ないが、金利負担を下回ると、借金地獄となる(p53)

    ・日本の輸出は価格ベースで、輸出品目の70%以上が資本財と中間財、これは外国メーカが生産工程で必要なものであり、円高であろうが買わなければならないもの(p60)

    ・価格弾力性の大きい製品ばかり作っている中国などは、下請け扱いされて為替レートは死活問題、人民元は常に安くする必要がある(p65)

    ・円の為替相場が下落しない限り、日本国債は資産価値の保全に悩む機関投資家にとっては頼りあるもの、日本の経常収支が赤字になる可能性は所得収支の黒字を拡大を考えると少なく、円高は続く(p69)

    ・中国政府には、直接人民から税を取り立てる仕組みがない、いたるところにある税務署は地方政府管轄(p77)

    ・金持ち中国人が現在していることは、1)ドルか「金」に換えて外国金融機関へ送金、2)外国籍を取得、3)家族を外国へ分散移住、である(p81)

    ・中国が陸上兵力を160万人ももつ目的は、政府に不満を持つ農民たちを鎮圧するため(p114)

    ・中国ではまともに申告していない収入が、118兆円(GDPの30%)もある(p121)

    ・ミセスワタナベはプロの何倍、何十倍という時間軸に立って正攻法(下がったら買い、上がったら売り)の投資ができるので強い(p139)

    ・直近の日本円ベースでの金価格(3700円)は、年間平均最高値:4499円(1980年)の80%の程度、瞬間最高値(6495)の55%であ、金投資こそ円高メリットを享受できる金融商品(p174)

    ・長期で触れで生活水準が低下したのは1929年の1回のみ、1720年・1873年の大不況時には労働者の実質賃金は上昇(p177、187)

    ・デフレが起きるのは、インフレという貨幣価値が毀損されて、勤労者の実質所得が低下し続ける段階があり、その反応として起きる(p182)

    ・なぜ日本だけがデフレの心配をしているかは、オイルショック時に比較して円が3倍の価値になっているから円建て原油価格は高くならない(p191)

    ・円安になると輸入品に支払う代金は円ベースで高くなるから、その分、輸出を増やす必要があるので輸出が増える(p192)

    ・政府が国民からとるカネは「税金」という形をとれば国財政の「黒字」、国民に対して借金をする=国債という形をとれば「赤字」となるが、税金と国債で調達したカネには何の違いもない(p198)

    ・創業者利益を大切にするという考え方もあるが、「新しいアイディアを思いついたときは独占利潤を得る」ということ(p213)

    ・日本の特許黒字は1.7兆円@2007であり、製品貿易収支の輸出超過:11兆円の2割を占める(p221)

    ・ガソリン車の部品点数(3万点)のうち、2万点はエンジン関係、EV特有部品が5000点として、部品点数は半分になる(p223)

    2010/12/12作成

  • 新聞やコメンテーターの話と全く異なることが書いてある。
    どちらが本当なのか?検証してみたい。
    ・円高でもOK。所得収支>貿易収支、
     日本の製品は付加価値が高いので、必ず使用される。
     中国の製品は付加価値が低いので、為替の影響を受ける。
     ⇒ゆえに、為替固定にこだわる。
     元高で怖いのは中国による企業買収リスクが高まること。

  • マスメディアで報道されている報道、主に円高に関するものについて、反論するもの。きちんとデータを示して反論しているし、データのとりようによってはそういう風にも考えられなくはないかな、と思いました。なによりも、日常の報道に対して、本当にそうか、裏付けとなるデータはあるのか、と疑う視点を持つべきという至極まっとうな主張は確かにそのとおりだと思います。

  • 金とミセスワタナベが最強っつーことですな。てか日本って最強ですね。

  • 2011年、円高とデフレをテコに、日本は空前の富を手をにする! 無敵ミセス・ワタナベは金へ向かう/世界的な通貨安競争。 すべては日本の時代へのパワーとなる!! 財務省、エコノミスト、新聞記者らによる、情報操作と洗脳、あるいは日本人愚民化策に惑わされるな。

  • TVや新聞と真逆の意見。欧米中の脆弱な経済て日本の盤石な経済について書かれています。偏りがないか私には判断が難しいですが新聞より偏りはないと断言したいです。日本の未来は明るい。

  • 文明論に関して抜群の冴えを見える著者によるマクロ経済批評。『クルマ社会7つの大罪』などの対策に比べるとやや肩の力を抜いて読める軽い本になっています。
    多様な観点から論じており、その全てが主要エコノミストや知識人とは逆の発想から述べるという離れ業を演じています。ただ、文明論であれだけ目から鱗が落ちる主張をするのに比較するとやや無理があると感じる意見も多く、いつもの冴えがありません。
    中盤、金の投資について長々と論じているのは元証券アナリストらしい箇所ではありますが、全体からすると蛇足に感じました。

    本著で最も気に入ったのは次の一文。ここは心より同意です。
    「絶対に間違えてはいけないのは、国民が国に依存しているのではなくて、国が国民に依存している、という点だ」

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著者プロフィール

1949年東京都生まれ。一橋大学大学院経済学研究科修了後、ジョンズ・ホプキンス大学大学院で歴史学・経済学の修士号取得、博士課程単位修得退学。ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授を経て帰国。HSBC証券、JPモルガン等の外資系証券会社で建設・住宅・不動産担当アナリストなどを務めたのち、著述業に専念。経済アナリスト・文明評論家。主著に『クルマ社会・七つの大罪』、『奇跡の日本史――花づな列島の恵みを言祝ぐ』、(ともにPHP研究所)、『デフレ救国論――本当は恐ろしいアベノミクスの正体』、『戦争とインフレが終わり激変する世界経済と日本』(ともに徳間書店)、『投資はするな! なぜ2027年まで大不況は続くのか』、『日本経済2020 恐怖の三重底から日本は異次元急上昇』、『新型コロナウイルスは世界をどう変えたか』(3冊ともビジネス社)、『米中貿易戦争 アメリカの真の狙いは日本』(コスミック出版)などがある。

「2021年 『日本人が知らないトランプ後の世界を本当に動かす人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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