デフレ時代の富国論

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  • ビジネス社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828416298

感想・レビュー・書評

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  • リチャード・クーの本がわからない人はこっちがいいかもね。

  • 中小企業診断士の資格も持ち、バランスシートの見方を解りやすく説明し、金融純資産、国家の富、日本国民の所得などについて、マスコミから流される増税派からのまちがった情報に如何に日本国民が騙されているかが理解できる。

    第4章藤井聡教授との対談がユーモアに富んでいて楽しく読める。

    民間企業の投資、国民の需要を喚起する官民一体となった堂々とした国の財政投資が待たれるところである。

  • メモ
    ・需要不足のデフレ下においては、政府が需要を創出しなければならない。単純な、公共投資ムダ論に陥らないこと。
    ・戸別補償はありか?生産性が低い農家が生き残り、大規模農家が育たない可能性がある。
    ・食糧自給率は生産額ベースで考える。カロリーベースは日本が独自で使用している。農水省の役人が予算増やすためか?
    ・武器輸出三原則について。安全保障のボトルネックになる可能性。軍事バランスが平和を維持しているともいえる。(vs中国を考える必要あり)

  • ト、2011.09.15-16

  • 日本の人口が減少傾向を示すようになってから数年が経過しますが、人口が減少すると日本経済が終わってしまうような説を展開する人もいる中で、今回の三橋氏のテーマは「人口減少しても未来のある日本」というものです。

    人口が日本よりも少ない欧州の国も成り立っているので、人口が2割減少しても1億人もいる日本はまだ成長できると思っていた私には元気が出る本です。

    また彼の著作の中で毎度のように解説している国債の件ですが、現時点では説明に使っているデータ(代表例として、p117の2000年から増加してきた国内銀行の預金超過額が180兆円)等から考えるとすぐには破綻しそうにはないと私は結論づけますが、これについては反対意見の本も読んで理解を深めていきたいと思っています。

    以下は気になったポイントです。

    ・ユーロという共通通貨システムは、貿易収支などの国際収支がバランスに向かうのを阻止し、赤字国は際限なく赤字、黒字国はその逆になることを可能にした(p8)

    ・国家の富には、蓄積としての「ストック面」である国富と、富の流れ(国民の所得)である「フロー面」の2つがある(p23)

    ・2009年の全国銀行の貸出残高は、前年度比で2.5%減少、これは資本主義としては異常事態、この理由として、1)民間企業に資金需要がない、2)銀行側がリスクを意識して貸したがらない、である(p37)

    ・民間資産が増えたから国債発行が可能なのでなく、「政府が国債を発行したから、その結果として、民間資産が増える」、巷では逆に言われている(p41)

    ・国富を増加させるには、「無から有を生み出す」ための環境整備が重要、具体的には、企業の設備投資の活性化、土地売買の活性化、株式投資の活性化である(p54)

    ・資産家が富を海外に持ち出すとき、日本円を外貨に両替する必要があるので、国家としてみれば互いに国の金融資産を手に入れるだけで、純資産や純負債には影響しない(p68)

    ・たとえ銀行ローンを返したとしても、銀行の資産、自分の負債が影響するのみで、負債の返済では国富は変化しない、購入価格よりも安い価格で販売すると国富である純資産は減少する(p92)

    ・日本がアメリカの恐慌時のようにストックとフローが崩壊しなかったのは、1)政府が負債を増やした、2)日本の供給能力が外需により吸収されたので(p99)

    ・1995年の武村大蔵大臣の「日本財政危機宣言」以来、日本の一般政府の負債総額は500兆円も増えているが、長期金利(新規+10年物金利)は、上昇していない、その理由は、日本の国内が過剰貯蓄状態で、かつ資金需要が少ないため銀行が国債を買うしか無いから(p112)

    ・政府の負債残高は、よほどのバブルにならない限り財政黒字にならない、それを経験したのは、1990年の日本、2000年のアメリカ、2004~2006年のアイスランド、アイルランド、スペインである(p113)

    ・現時点で日本の国富を増やす解答としては、「政府が国債を発行し、公共投資など非金融資産へ投資せよ」となる(p114)

    ・国土面積に占める可住地割合は、日本は27%で10万km2であり、イギリスやドイツの半分、フランスの4分の1であり、道路延長距離をこれをベースにするのはおかしい、保有自動車1万台辺りでみるべき、これによれば日本はイタリア、イギリスよりも低い(p139)

    ・2000年基準で、ロシアやドイツは人口が減少しているが、経済成長している(p145)

    ・世界基準である生産額ベース総合食料自給率では、日本の値は70%(カロリーベースでは40%),もし食料輸入が途絶えると国民に餓死者がでるだろうが、カロリーベース自給率は100%となる(p157)

    ・アイルランド国債は、2010年10月に破綻して長期金利が8%となったので、12月にムーディーズはアイルランド国債格付けをAa2から5段階下げて、Baa1とした(p215)

    ・東京圏には現在3670万人が住んでいるが、これが世界最高を誇っているのは、犯罪率の低さ、公共交通インフラの充実である(p227)

    ・電気自動車のみしか走れないというような、電波法改正(2011年7月で地上波アナログ放送停止)をやれば、6000万台の買い替え需要が生まれる(p238)

    ・筑波大学のチームでは2010年12月に、従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプの藻を沖縄で発見した、全国の0.05%を石油培養プラントにすれば日本の石油需要が満たされる(p239)

    ・海中ウランの規模は日本の近海だけで520万トン、これは現時点での日本の原子力発電所の全需要の570年分以上(p245)

    2011/2/12作成

  • デフレが続く日本で国富を増やすために何をすればいいかを論じている本です。
    250ページある内の約1/3がバランスシートを元にした「国富」の定義についての解説に当てられていますが、勉強にはなるもののいささか長すぎる気がします。
    前半を超えると後は非常に面白く、京大の藤井聡教授の対談では日本財政破綻論者の心理をストーカーになぞらえていたりして、不謹慎と思いつつも納得してしまいました。
    後半は日本が投資するべき公共事業の例としてリニア新幹線、ITSなどが紹介されています。この部分は未来を感じさせてワクワクさせられました。
    ボリューム的に前半部をもう少し短くし、後半を膨らませればもっと読みごたえが出てきたはずで、そこだけがやや残念に思います。

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著者プロフィール

東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業、NEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立、09年に株式会社三橋貴明事務所を設立した。
2007年、インターネット上の公表データから韓国経済の実態を分析し、内容をまとめた『本当はヤバい!韓国経済』(彩図社)がベストセラーとなる。その後も意欲的に新著を発表している。単行本執筆と同時に、雑誌への連載・寄稿、テレビ・ラジオ番組への出演、全国各地での講演などに活躍している。また、 当人のブログ「新世紀のビッグブラザーへ」の1日のアクセスユーザー数は7万人、推定ユーザー数は21万人に達している。2012年1月現在、人気ブログランキングの「政治部門」1位、総合ランキング2位(参加ブログ総数は約90万件)である。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/
主な著書に『国民の教養』(扶桑社)、『疑惑の報道』(飛鳥新社)、『2012年大恐慌に沈む世界 蘇る日本』(徳間書店)、『増税のウソ』(青春出版社)、
『三橋貴明の「日本経済」の真実がよく分かる本』(PHP研究所)などがある。

「2012年 『ユーロ崩壊!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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