- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784828416540
作品紹介・あらすじ
ドイツ国債、札割れ、この危機を救えるのは「世界の金主」日本人だ。金融&実需面で多角分析。
感想・レビュー・書評
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極論もありますが、参考になる点も多い1冊です。
昨年12月発売で、数ヶ月内に起こる事を予想している中で、 今振り返るとこれは違うという点もたくさんあります。
しかし考え方としては、違う角度から教えてもらえる点が 自分に取ってはい良い一冊でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
バブルとは信用で作られたマネーがはじけてなくなってしまうということ。減った部分については、実物のお金を刷って補うしかないが、巨大に膨れ上がったフェイクマネーを補うことはもはや不可能。日本がバブル崩壊から20年以上経過しても立ち直ることができない所以である。ユーロ圏などはもっと悪く、自由にお金を刷る権限さえない。このためギリシャ問題はにっちもさっちも立ち行かなくなっている。アメリカは貿易赤字も経常収支も赤字。本来ならばもっとモノをつくらなければならなかったにもかかわらず、ドルを刷るだけで外国の供給能力を利用することとした。自分でモノを作らなければ当然にドル安になる。昨今では、基軸通貨として体をなしていないくらいに価値を下げており、濫造はもはや限界となっている。頼みの軍事力も日本の資本財なくしては武器を作れないのが実態。核を除けば日本に負けてしまうくらいの状況に陥っている。中国は中国で、一人っ子政策のため、人口ボーナスといわれる低賃金労働者や若年労働者が多い層から人口オーナスといわれる社会負担の大きい人口構造に変わってきている。しかも日本のような社会保障やセーフティーネットがない。何が起きるかわからないといってよい状況である。まともなのは日本だけ。日本は国際的なサプライチェーンの中では最も大切なキーパーツを作っている。3.11では世界の生産が大きな影響を受けている。日本は数少ないワールドオーダーができる国家であり、世界最大の対外純資産国。世界を力強く引っ張っていく立場にあることを実感。TPPの議論にも触れられていたが正鵠を射ており大変勉強になった。
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なかなか面白い情報が詰まっていました。時事ネタとしても一読の価値ありです。GDPの成長戦略と穴の空いたバケツの対策を早急に政府には求めたい。
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● 社債を発行してお金を借りる方が格付け機関にお金を払って格付けしてもらっているという状況なんですよ。これは絶対におかしい話です。その上、国債だけは、国債を発行する国が望んでもいないのに勝手に格付けしている。
● そして、香港から中国というのは国内移動扱いになっているんですよ。日本企業が直接中国に輸出をすると、中国の輸入関税がかかります。それが、香港に入れると税金がかかりません。だから、いったん日本から香港に入れた後、中国に入る。そして出てゆくのは中国本土からになるんですね。だから、対香港で見たときに日本はものすごい貿易黒字になるんです。一方、対中国で見るとものすごい赤字です。
● 財政問題を片づけるには、いろいろな方法があります。国内通貨をつくれと言う人もいますが、一番早いのは1000円札を硬貨にしてしまうことですよ。1000円玉ですね。硬貨は補助貨幣なので、政府発行なんです。日本銀行に関係なく発行できるので、逆にいえば、政府だけでいくらでも発行できるんです。 -
三橋氏と渡邊氏による対談本で、日本も含めた世界経済の動向予測について纏めてあります。
昔は世界の経済動向を理解しようと、土日の午前中にやっている対談番組を見ていた時期がありますが、一人ひとりの発表時間がバラバラなこと、最後まで聞きたいのにテレビ側がCMに行いくなど、フラストレーションが溜まることが多くなり見なくなりました。
それに引き替え、この手の本は対談番組を見ているようで楽しく読むことができました。下手なテレビ番組を見るよりも役立つような気がしました。
格付けには表と裏があって、裏格付けでは日本もそれなりの評価を受けている(p51)という指摘は興味深かったです。
また、紙幣は日銀の負債だけれども、財政問題を解決する硬貨は純資産でいくらでも発行できる(p178)というのは驚きました。
以下は気になったポイントです。
・通常バブルが崩壊した国は長期金利が下がるが、PIIGS諸国は急騰している、理由は、バブルが外国の国で膨張したため、さらに悪影響は外国(ドイツ、フランス)にも及ぶ(p3)
・現在の世界経済は、日本が経験した「失われた10年」が世界中で起きている状態(p25)
・スペインにあるサンタンデール銀行とBBVAというかつての植民地銀行は、いまだに南米では金融支配を続けている、スペインは国が小さいわりに金融が大きい(大量の対外資産)ので、国有化などにより救うことができない(p37)
・破綻する順序は、ギリシア・ポルトガル・アイルランドで確定、これら3国は影響は限定的、イタリアとスペインに波及してしまうと大変(p39)
・ドイツは経常収支黒字国で国内に貯蓄が余っているにもかかわらず、国債発行の7割が外国、国際金融市場が政府を監視する思想のため(p45)
・ムーディーズはウォーレン・バフェットが一番の大株主(p45)
・格付けには、国債金利とCDSという破綻確率から導き出す「裏」格付けがある、表ではAAAのイギリスは裏では「A」、日本より高い評価の殆どの国は裏格付けでは低い(p51)
・リーマンショックのあった2008年8月に欧州が主導する国際会計基準が時価評価を捨てた、9月のドイツ銀行の決算から適用、銀行が投機ではないと判断したものを満期目的債権に切り替えて自己評価しないで良いことになった(p61)
・ユーロの出口は、ギリシアを切り離し、それによる評価損をECBが買い取る、ギリシアはデフォルト、通貨暴落するが輸出競争力アップで復活する(p64)
・原子力が否定されると、電力に注力しているバフェット(オバマの金主)の戦略はすべて破綻する(p81)
・米韓FTAにより、アメリカ・韓国で関税がゼロになるので、かつて韓国でつくっていたものがアメリカでつくられることになる(p101)
・香港から中国へは国内移動扱い、日本企業が中国へ輸出すると関税がかかるが、香港にいれるとかからない、なので対香港では日本は貿易黒字は大きいが、対中国では赤字、2つを足すと日本の黒字(p116)
・中国のGDPが8-9%成長にならないと、海外からの投資資金(利回り8-9%で調達)に対して逆ザヤになり、経済構造が成立しなくなる(p118)
・日本は世界でも特異性をもった資源調達、ほぼすべてが長期契約と開発型投資案件、スポット価格調達は少なく、開発資金をだして数年間は一定価格で買うという契約(p144)
・韓国は電力会社の赤字を国が補てんしているので電気料金が安い(p146)
・順調に発展できそうな国は、外需依存度が低いブラジルのみ、インドは貿易赤字国(p150)
・インドではパワーエリートをカーストと関係なく選別する、政府やマハラジャがお金を出して海外で勉学・勤労をする、彼らは命令によりインドに帰る(p151)
・今回の震災の津波で、かなり喫水が深くなった、大津波が砂利や砂を持って行ったので、これは良質な港ができたことを意味する(p186)
・世界の債券の60%はドル建て、ドルで借りたものはドルで返すため、円よりもドル需要が高まるので、ユーロ暴落するため、1ドル=80円=1ユーロ程度になる(p194)
・民主党になって今までやっていたFTA,EPAの交渉がすべて止まったので、あわててTPPに飛びついた(p209)
2012年3月4日作成 -
実はオバマ大統領の政策は正しかった。成長しているはずの中国の実態。ユーロ崩壊の原因。こういったことが対談形式でわかりやすく読むことができた。特に米国と欧州についての対談は読み応えがあった。普段は数字ベースで緻密な論を展開する二人だが、今回は対談ということであまり数字もでてこないので、数字が苦手な人も安心して読むことができるはず。
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ともにネットで活躍する経済評論家のユーロ、中国、アメリカ、そして日本経済の現状とこれからの展望についての対談本。
三橋氏は韓国の経済危機を、渡邉氏はユーロの経済危機をそれぞれ予言していた方であり、著書はデビュー作から殆ど読ませてもらっている。
現在のグローバルな経済危機を俯瞰することが出来ると同時に、世界で一番早くにこの危機を脱する可能性を持つ国は日本である、ということを他国との対比、それに向けてのソリューションを含めわかりやすく説明している。 -
ともにネット出身と言う異色の経済評論家、三橋貴明と渡邊哲也の対談本です。この二人の対談なら面白くないはずはないと思い手に取ったのですが、正解でした。
気心の知れた仲間と思いつくままに語り合っているという楽しそうな雰囲気が行間から伝わって来ます。
ヨーロッパ、アメリカ、中国と来て最後に日本の底力について述べる4部構成になっていて、ほぼ今の主要国の動静を網羅しています。
内容は渡邊氏の好みを反映してか金融寄りになっていて、特に渡邊氏の博識ぶりが際立っています。
日本にインドカレー屋が増えている理由とか、1000円「玉」構想とか、非常に面白かったです。
わずか200ページの本なので1日で読めますが、1.5倍くらいあればもっと楽しめるのにと若干の物足りなさも残りました。