非婚ですが、それが何か! ? 結婚リスク時代を生きる

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828418407

作品紹介・あらすじ

負け犬諸君、結婚、家族がリスクになる時代の君たちの老後は、どうなる?非婚、少子化ニッポンのおひとりさまの「いま」と「未来」。

感想・レビュー・書評

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  • 上野千鶴子先生による著書。未婚率が高まり、非婚時代に突入しているのに、古臭い日本の社会制度は未だに国民全員が結婚することを前提としたものばかりで、独身者や未婚者への配慮がない。上野千鶴子先生は難しいことを簡潔に気持ちよく説明してくれる。あっという間に読んでしまいました。

  • 上野さんが一周り下というか、親子の差のある非婚のエッセイスト、社会学者とおもいっきり語り合った今時の女の問題。非婚限定じゃないので、タイトルは多少ずれている感じがなくもないかな。

  • 「ひとは愛からでなくても結婚し、
    愛からでなくてもセックスし、妊娠し、
    出産することができる。
    習俗と規範の強制力がなくなれば、
    そういう結婚と出産が減少し、
    その結果子どもが減るだろう。
    愛のない結婚に耐える男女が減少し、
    愛のない両親のもとで育つ子どもが
    少なくなれば、そのほうがましだ。
    また結婚圧力のもとで非婚や子無しへの差別や、
    セクシュアル・マイノリティへの抑圧が
    なくなれば、もっとよい。」(P5)

    さすが上野千鶴子、鋭い(細かいともいう)
    と思ったのはp45、情報化社会で若い子が
    耳年増になって、結婚しなきゃと思いこんで
    いるという水無田の言葉に
    「耳年増だとしたらいろいろ多様な情報が
    入っていくはずなのに、いまのはなしだと
    むしろ、標準的な規格への同一化が進んで、
    その規格からはずれるのを恐れているように
    しか聞こえませんが」
    言葉の揚げ足というか、十代の女の子のような
    確信犯的突っかかる発言。
    平静を装い対応する水無田もすごい。

    「何一つなしとげていないのに、
    その気になれば自分にはできるんだという
    幼児的な万能感」(上野 P49)

    「家族にこれだけ負担を負わされていると、
    家族が高リスクになるために、
    保守的な家族規範をもっている人たちほど
    家族を忌避する傾向がある」(上野 p689

    「本当に保守的で、なおかつ家族の物語を
    守ろうという人たちが、
    家族を内側から滅ぼしていく」(水無田 P69)

    「良妻賢母志向が強くて保守的な家族観をもっている
    先進諸国ほど、少子化は進む」(水無田 P69)

    見出しに目からウロコの名言が多い。
    「高所得層の男にとって家族はリスク」
    「全員結婚社会こそ異常な時代」
    「日本の社会保障はシングルに対応していない」※
    「保守的な家族観をもっている先進国ほど
    少子化は進む」※
    「会社というカップリングの『釣り堀』」
    「男女の学歴格差は能力差ではなく、
    親の投資の反映」
    「子どもの成長に立ち会えない親たち」
    「非婚、少子化で困るのは財界だけ」
    「非婚ではなく、婚前離婚」※
    「男から降りれば楽になる」※
    「フェミニズムは不都合な真実を炙りだしてきた」
    「日本は結婚と出産が分離していない社会」

    「慣習で結婚し、慣習で産むのに任せていては、
    慣習が社会構造に対して時代遅れになったとき、
    対応できなくなってしまう」(P247 水)

    「男性・女性といった性差より個性を重んじる
    社会になる必要がある」(P249 水)

    「個性や多様性を重視すべしとのかけ声は
    大きいが、その実極めて均質性の高い
    国民生活しか容認しない。恐るべき
    想像力の貧困が、根幹に横たわっている」
    (P253 水)

    「すでに死んだ、あるいは死にかけている
    規範に、次世代の子どもたちが
    絡め取られていくのを見過ごすわけには
    いかない」(P254 水)

  • みんなが結婚するのが当たり前なんて、明治時代以降のことらしい。

    タイトルの「非婚」も、出版された 2015年はインパクトあったかもしれないけど、2023年の今では、そんな人もいるよねって感じがする。 

    それでも、夫婦別姓じゃないし、少子化対策も、まずは結婚しよう!って相変わらずだし、書かれているように法律が追いついてくるには時間がかかりそう。

    そんな中、上野先生の言葉が刺さった。

    乳幼児期の子育て中に泣きついてくる教え子に

    「あんた、いまここで夫とちゃんと向き合わなかったら、この先一生、関係をギブアップした男と過ごすんだよ。それでいいの?」

    ほんと、よくなかった! 

    でも

    夫も残業ばっかりだし、ちゃんと働いてるのに何を言われてるのか、ちんぷんかんぷんだったんだろうな。

    最近は男性の育休も出てきた。ゆっくりだけど変化してる。

    娘の時代はどうなってるかな?

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00221387

  • 上野千鶴子と水無田気流の対談。
    お二人とも社会学者で非婚かと思いきや、水無田さんは結婚して子供もいる。
    内容は概ねうなずけるし、学ぶことが多かった。
    言葉が難しく、調べながら読んだ。
    また本がたくさん紹介されており、これから読んでみようと思った。
    社会学とはこの対談のように、社会で起きていること、過去に起きたことを、新聞記事や本、文化人や芸能人の発言、論争などから分析していく学問なのだろうと理解した。

  • フェミニストの欠点は男性を敵視しすぎるところじゃないかなとか思ったりした。いや、気持ちは分からんでは無いのだ。男性優位の構造が固定化されているわけだから。
    ただ、ウーマンリブが全方位に喧嘩を売っているから、連合を組めずに結果として少数派の位置に留まっている気がする・・・

    んで、本書の内容は概ね妥当で、日本型伝統家族主義を守ろうとすればするほど、日本の婚姻数・出生数減少に歯止めがかからず日本大好き保守さまが守りたい日本そのものが滅びかねないという、極めて逆説的な状態になるということ。
    上野さんとかは下部構造が変われば上部構造が変わるという発想なので、少子化が続けてば日本社会は変わらざるをえない・・
    (移民を受け入れればある程度解消されるのだろうが、それこそ保守の望ましい社会とは異なる・・・)

  • 対話形式で
    けっこうおもしろい

  • 非婚を勧めているのではなくて、非婚、少子化が進む状況の分析と原因について。
    この流れを変えなくてはならないのか?それはなぜか?そのためには何ができるかを、最終的に論じるのだけど、非婚は全体の10%程度らしいので、それくらいほっておけ、という気がする。
    賢い女子は一般職を選ぶ、とあるところは、そうなんだろうなあと思わされる。

  • 上野千鶴子先生が相変わらず元気で、バシバシ切っておもしろかった。人は、損得勘定で動いていると言い切る。水無田気流先生はは中庸の人なので、上野千鶴子先生には太刀打ちできないだろうな。その2人が褒める酒井順子先生の切り口はやはり素晴らしいと私も思う。

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上野千鶴子の作品

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