白河夜船

著者 :
  • 福武書店
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本棚登録 : 289
レビュー : 32
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828823065

作品紹介・あらすじ

ただひとつ、ずっとわかっていることは、この恋が淋しさに支えられているということだけだ。この光るように孤独な闇の中に2人でひっそりいることの、じんとしびれるような心地から立ち上がれずにいるのだ(「白河夜船」)。あの時、夜はうんと光っていた。永遠のように長く思えた。いつもいたずらな感じに目を光らせていた兄の向こうには、何か、はるかな景色が見えた(「夜と夜の旅人」)。また朝になってゼロになるまで、無限に映るこの夜景のにじむ感じがこんなにも美しいのを楽しんでいることができるなら、人の胸に必ずあるどうしようもない心のこりはその色どりにすぎなくても、全然構わない気がした(「ある体験」)。

感想・レビュー・書評

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  • 大学時代からの親友しおりを喪った不倫中の寺子。
    恋人でもあった従兄弟芳裕を喪った毬絵。
    かつて、一人の男を取り合ったライバル春の死を知った文。

    3つの短編小説に出てくる女性達は、皆、
    身近な人、大切な人を喪い、喪ったその日から
    時の流れが止まり、独り、果てしない夜の闇を彷徨っている。

    そんな夜の旅人になっている彼女達も、
    周囲の人達の優しさに触れたり、ある「不思議な体験」を通して、
    「再生」の方向に向かって歩いて行く。
    透明感のある、しかしどこか温かみを含んだ彼女の筆で描かれる、
    作品中の女性達が置かれている状況は
    どれも哀しくて息苦しくなるほど切ない。
    しかし、読み終わった後、どこまでも広がっていて
    全く先の見えなかった黒い闇の中に一筋差し込んだ、
    静かだが清らかな「救いの光」を見つけることが出来る。

  • SFみたいな短編集だった。 夢と現実の間を行き来して、最後に目が醒めるような話が三つ。
    もがいた末に蘇生、というよりは時間と運命の流れに身を任せて洗われたという印象だった。

  • これも最初から、眠りと夜と死と恋人。が出てくる。

  • 家の未読本在庫処分シリーズ。
    吉本ばななのハードカバー本最後の作品。

    吉本ばなな作品も

    「キッチン」⇒「TUGUMI(つぐみ)」 ⇒「うたかた/サンクチュアリ」⇒「哀しい予感」⇒「白河夜船」

    と読んできましたが、これで家にある本は最後の作品となりました。

    この「白河夜船」は「白河夜船」、「夜と夜の旅人」、「ある体験」の3つの作品が収められていました。


    『白河夜船』

    この作品は(しらかわよふね)と読むそうです。
    ずっと知りませんでした。
    そして、「白河夜船」とは、熟睡して前後を知らないことをいうのだそうです。

    そういう知識さえ知らない状態で読みましたから、ある意味プラスの知識は得られました。
    先の見えない不倫への不安と、親友の自殺の衝撃から立ち直れず、眠りに逃避するヒロインの心の再生を描かれています。
    昔から思うのですが、不倫というのは世の中多いんでしょうかね?
    特に男女比で考えると女性の方が年齢が若いうちにするものなんでしょう。
    男が若い人を好んで選ぶでしょうから。

    吉本ばななの作品を読むのは若いOL中心でしょうから、
    こういう作品を読んで、共感を得たりするんでしょうか?
    男の自分が読むと、単なる不倫してるけしからんねえちゃんというようにも取れます。

    不倫している男性の経済的支援により堕落した毎日を送り、眠っている時間が非常に長いというものすごくうらやましい状態が描かれています。
    自分からすると長時間通勤に残業等で睡眠不足気味の毎日を送り、経済的にも楽ではない生活。
    世の中、こういう女性もけっこういるんでしょう。

    確かに女性には不倫してこういう状態。
    独身でこういう状態。
    結婚して家事もせずこういう状態。
    そんな女の人も多そうです。

    どうも男が読んでも共感できない作品に思えます。
    ただ、この間WOWOWで映画が放送されたので録画してあります。
    それを観たらまた感想を書きたいと思います。


    『夜と夜の旅人』

    兄を突然の事故で亡くした少女と兄の元彼女であったアメリカ人の留学生、
    そして兄と死の直前まで付き合っていた従姉の女性との不思議な絆を描いた作品です。

    また、死が絡んでいます。
    どうも吉本作品は家族や知人の死が絡んだ作品が多いです。

    兄の死後、来日したアメリカ人女性の連れていた子供が現在の旦那の子ではなく兄の子供と気づきます。
    現実の世の中でもありそうなことではありますね。

    それと、兄を好きだった親戚の子というのがまた現実にいそうな感じの娘でした。
    ただ、現実にも兄弟姉妹や友達同士で彼や彼女が別の人と付き合うようになるというのがありますが、
    自分からするとこれはできないです。
    友達の元カノを自分の彼女にするとか抵抗があるし、
    兄弟の元カノを自分の彼女にするとか抵抗があるし、
    とにかく自分の知っている男の元カノは自分の彼女にするのは
    女性がかわいくても抵抗があります。

    ある男女グループと知り合いになって、その後その中のかわいい女性が自分を好きだと告白してきても
    その子が以前はそのグループ内の男性を付き合ってたなんていうことを知っていても
    その子と付き合うのは抵抗あります。
    こだわりすぎでしょうか?


    『ある体験』

    異国で知らぬ間に逝ってしまった、かつての恋敵の女性に想いを馳せ、
    その死んでしまった女性の声を、ある人から催眠術のようなもので聞くという体験をつづった作品。

    オカルト的な作品ではあります。
    ちょっと現実離れしているようで、本当にあった怖い話のような作品です。
    ちょっと感情移入しずらい作品でした。


    これで家にあった吉本ばなな作品は読了しました。
    吉本ばなな作品は簡単に言うと、やはり連れ合いが言ってたように
    若いOLが読むような内容の本で、男性が読んでもつまらないのかもしれません。
    ただ、ページ数、文字数も少なく、内容も難しくないので読みにくいミステリーを読む合間には良かったかもしれません。
    これらの吉本ばなな作品はこの前読んだ『TVピープル/村上春樹』よりは面白かったです。

  • 思い出しただけで、しーんと落ち着いた気持ちになる。夜の気配。
    読んだのはたぶん中学生の頃。なんとなく憧れたけど、今は違う気持ちで読んでしまうんじゃないかと思う。
    とんかつ。

  • どのお話もとても良かったです
    白川夜船が一番、好きでした

  • 2015/06/02 読了

    悲しい、辛い、現実逃避したいころ、眠ってばかりの時期があった。不思議な体験は記憶にないけど夢ばかり見ていた。
    どれも引き込まれる。心の回復には眠、酒、そして泣くのが一番なのかな。

  • 249.2008.10.22

  • 実家にあり

  • 孤独な闇の夜。
    日常に疲れたとき。
    そんなのときは元気な本じゃなくていいの、
    こんな本がいいの。

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著者プロフィール

吉本ばなな(本名:吉本 真秀子 よしもと まほこ、旧筆名:よしもと ばなな)
1964年、東京都生まれの作家。日本大学芸術学部文芸学科卒業。卒業制作の「ムーンライト・シャドウ」が日大芸術学部長賞を受賞。また「キッチン」で第6回海燕新人文学賞を受賞、デビュー作となる。
1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。1996年イタリアのフェンディッシメ文学賞(35歳以下部門)、1999年イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門を受賞。2000年『不倫と南米』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。その他代表作に、映画化された『アルゼンチンババア』などがある。
海外での評価が高く、著作が多くの国で翻訳されてきた。

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