夏の黄昏 (福武文庫 マ 901)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828831701

感想・レビュー・書評

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  • 春樹訳の『結婚式のメンバー』があまりにもハルキムラカミだったので、加島訳で再読した。こちらの訳のほうが、しゃべり言葉が自然(六歳児が六歳児らしく話す)。登場人物の息遣いとか汗と涙の匂いがただよってくるようで、より近い距離で物語を体験できた。フランキーは調子外れだけどやっぱり普通の女の子だし、ジョン・ヘンリはときにうざったい年下のいとこだった。

    ベレニスの、最初の人の影を追い続ける人生の話、自分に閉じ込められてどこにも行けない話は、二回目もぐっとはいってくるものがあった。それと同時に、三人でくっついて心を落ち着けるところ、一緒になって泣くシーンはなにか救われる気持ちになる。最大限がんばっても自分にはそういうことしかできないだろうというあきらめもありつつ、それでだれかの心臓のどきどきが治まるんだったら、くっついていてあげたいものだと思う。それならできるから。

  • このタイトルなー
    訳者も気にして言い訳していましたが。
    ド翁の「永遠の夫」でも、訳者が「どっちかってーと”万年亭主”って感じなんだけど」と言っていたなあ。

    「心は孤独な狩人」の方が全然面白かったにゃー

    4回結婚した女性が出てきて、それなりにご年配かと思ったら、「もうすぐ40歳なんだから」って言われてて
     ^^;;
    そういう人生もありか・・・

    阿刀田高の短編で、おでんの屋台やってるおばあさんの不眠解消で、男性遍歴の思い出の詰まった宝石箱を寝床へ持ち込み、ひとつずつ愛でる話があったのを思い出しました。

  • 夏の黄昏の台所。シロップみたいな空気が漂うそこは、少女にとって「速すぎる世界」と異なる時間が流れる唯一の場所だったのだと思う。
    真っ暗な台所に響く泣き声が頭から離れなかった。きつく抱きしめられて温もりを感じても、〈あたし〉が〈あたしたち〉になることは永遠にない。その現実の残酷さに打ちのめされる。何もかも嫌になって全部捨てたくなっても、名前を変えたとしても、〈あたし〉が〈あたし〉であることからは一生逃れられない。絶えず世界と、誰かとの繋がりを探さなくてはいけない。
    人はどこまでも孤独でたまらなく淋しいから。
    《2014.12.11》

  • 若さの成分って、愚かさとか閉塞感とか万能感とか、、
    今は忘れているけれどふいにただよってきて、つかみとろうとしたりする。

    「オレンジ色のサテンの、大人みたいなイブニング・ドレス着てさ。それで肘にはかさぶただもの。その服とかさぶたは、はっきり言って合わないよ」

    あはは

  • アメリカ的な少女の成長、イニシエーション・ストーリー。沈んだトーンと象徴的事物の描写が良い。アメリカ南部の沈滞した雰囲気と、気だるい夏が実感できる。その中で生と死が淡々と進行し、少女はそれに逆らおうとする。

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著者プロフィール

カーソン・マッカラーズ[Carson McCullers 1917―67]:アメリカの女性作家。ジョージア州に生まれる。初めピアニストを志してニューヨークへ出るが、その直後に授業料を紛失し音楽家を断念、コロンビア、ニューヨーク両大学の創作クラスで学ぶ。主な創作活動期は1940年代で、最初の長編『心は孤独な猟人』(1940)は、村上春樹の手により新訳が刊行され話題となった(2020年8月)。

「2023年 『マッカラーズ短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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