完璧な病室 (福武文庫)

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  • 福武書店
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828832296

感想・レビュー・書評

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  • 一箱古本市

  • 完璧な病室:嫌悪感。美しい死。けれども悲しい死。その死を繭に包まれて悲しむ。残酷で美しく透明な物語。

    揚羽蝶が壊れる時:正常と異常のあいまいさ。それをしたり顔で説くものと正常であることを疑わないもの。

  • 『完璧な病室』
    主人公のたった一人の弟が21歳の若さで不治の病に犯される。
    弟は主人公が勤務する病院に入院し、余命を延ばすための治療を受けながらだんだん病み衰えていく。

    弟の病が発覚してから死に至るまでを、
    満足に食べられなくなり死へ近づいていく弟との日々と、弟の主治医との穏やかな関係に心を病んでしまった母の記憶を絡めながら描かれている。

    現実感が乏しいのに、リアルな感覚が残る小川洋子ワールド。
    この世界を構築するのに一文字たりとも無駄なものはない。
    ただこの世界が肌に合うか、理解できるかは好みがまっぷたつに分かれるところだろうと改めて感じた。
    この作品はとても好きだった。


    『揚羽蝶の壊れる時』
    デビュー作。
    もうひとりでは歩くことも食べることもできない祖母を介護していた主人公だが、
    施設に入れることを決意する。
    恋人との関係性や祖母を施設に入れることへの葛藤などがひたすら心を掘り下げる形で描かれている。
    ちょっと読むのがしんどい話だった。
    テーマ的にも気分は落ちる。

  • 一作目で食べ物の描写が気持ち悪く(いずれ腐るものを体に入れるとかケーキを蟻が食べるところとか)、二作目で比喩表現の難解さに耐えられず、読み進めていなかった。

    異常者と私の境界線はなんだろう。果たして私は正常なのか、と考えさせられる内容ではあった。

  • 著者の「博士の愛した数式」を以前読んで面白かったので、初期の作品から読んでみようと、「妊娠カレンダー」に続き、本作を読んだ。

    こういうのは純文学というのだろうか?

    ゆっくり、一つ一つの比喩表現を噛み砕くように読むと、確かにこんな感じがするかなあと思うことが多かった。

    でも、偶然風邪で具合が悪い時に読んで、もっと具合が悪くなった気がする。

  • 2010.12.30読了

  •  ――なんてあなたは優しいのだろう。そして、そんなに優しいのに、どうして無造作に何でもかんでも喉に押し込んで飲み込むことができるのだろう。――
     わたしは、優しいことと食べることが、正反対の動作であるかのように、矛盾に満ちた目で彼を見た。
    (P.53)

  • 2008/04/24:表題作「完璧な病室」と短編「揚羽蝶の壊れる時」の二作。鬱病の母親によって壊れた家庭から逃げるように結婚した主人公、取り残された弟。病によって再会した弟は完璧に整えられた病室の中で完璧に美しかった……まぁ、こういう話が好きなことは否定出来ませんが、欝なときに読むと本気で落ち込みますね! 姉弟っていうより、母娘関係の方に焦点があってたのかな。揚羽蝶は、寝たきりの祖母を介護施設に連れて行った孫娘が、自分の正気を疑っていく話。うん、見事に持ち上がんない。

  • 文庫版でなく単行本を読んだので、表題作とデビュー作となった「揚羽蝶が壊れる時」が収録されているバージョン。 「完璧な病室」はいろんな意味で完璧で怖いなあという印象。初期の吉本ばななっぽかった(まあ年代的に影響うけるだろうけれども)読み終えた後、清潔になった気分になれます。「揚羽蝶が壊れる時」は誰しも降りかかる「老い」を題材にした物語。純文学の毛色が強くなおかつ難解だった。とりあえず主人公は2人ともどこか歪んでいます

  • 2005/1/6〜2005/1/7

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著者プロフィール

小川 洋子(おがわ ようこ)
1962年、岡山県生まれ。高校時代に文芸を志し、早稲田大学第一文学部文芸専修入学。在学中から文芸賞に応募。卒業後一般企業に就職したが、1986年の結婚を機に退職、小説家の道に進む。
1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』読売文学賞、本屋大賞、2006年『ミーナの行進』谷崎潤一郎賞、2012年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、2013年早稲田大学坪内逍遙大賞をそれぞれ受賞。芥川賞、太宰治賞、読売文学賞、河合隼雄物語賞などの選考委員を務める。
『博士の愛した数式』は映画化され、大ヒットとなった。受賞作以外の代表作として、『薬指の標本』『人質の朗読会』『猫を抱いて象と泳ぐ』。

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