エドウィン・マルハウス: あるアメリカ作家の生と死(1943-1954) ジェフリー・カートライト著

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784828840116

作品紹介・あらすじ

11歳で夭折した天才作家、エドウィン・マルハウス。友人のジェフリー・カートライトは、彼の伝記を執筆するのだが…。現代アメリカ文学の旗手による二重三重に仕掛けがほどこされた異色のパロディ小説。

感想・レビュー・書評

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  • 評判が良かったので手に取った本。相変わらず私は小説の感想というと、ネタバレを避ける事を意識し過ぎて上手く伝えられないため、訳者の言葉を借りながら、書き留める。

    ー 誰もが忘れてしまった子供の世界。本書の最大の魅力は、何と言っても子供の世界の描写の圧倒的なリアリティー。子供が未知の世界に接した時の新鮮な驚きや興奮が、この小説には満ちあふれている。学校の裏にある薄暗い駄菓子屋の秘密めいた雰囲気、溶けながら輝くつららの美しさ、熱を出して寝込んだ時の不思議な浮遊感、見知らぬ通りに足を踏み入れる時のわくわくするような感じ、一晩で世界を白一色に変えてしまう雪の驚異、親に隠れて夜更しするスリル・・・・・。

    というのも、ある天才少年が、親友の少年の伝記を書いた、という物語である。
    「何かに執着できる能力を天才と呼ばずして、一体何を天才と呼ぶのだろう」

    ー 僕はこの機会にエドウィンに彼が今どこにいるのであれ、こう問いたい。伝記作家の果たす役割は、芸術家のそれとほとんど同じくらい、あるいは全く同じくらい、ことによると比べ物にならないくらい大きいのではないだろうか?なぜなら、芸術家は芸術を生み出すが、伝記作家は、言ってみれば、芸術家そのものを生み出すのだから。つまり、こういうことだ。僕がいなければ、エドウィン、君は果たして存在していただろうか?

    こうして並べるとワクワクしそうだが、幼少期のリアリティーが私とは違う感覚であることや、訳者の「よやすみなさい」とか「アンナ、カレー煮な」みたいな翻訳にニヤニヤしちゃって、読み方がおかしくなってしまった。

  • 「子どもが書いた、夭折した子どもの偉人伝」って発想がもう…すげえな……。

  • なにかで書評を読んで読みたいと思ったのだと思う。手にした時にはそれが何だったのか全く思い出せなかったのだけれど。
    夭折した作家の伝記を彼の幼馴染が書いた、これを出版しました、というていの作品。この仕掛けがよくできている。
    「誰もが一度は通り抜けてきた、そして誰もが忘れてしまっている“子供の世界“が実に魅力的に描かれている」と裏表紙にある。

  • 2008/9/23購入

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著者プロフィール

1943年、ニューヨーク生まれ。アメリカの作家。1972年『エドウィン・マルハウス』でデビュー。『マーティン・ドレスラーの夢』で1996年ピュリツァー賞を受賞。『私たち異者は』で2012年、優れた短篇集に与えられるThe Story Prizeを受賞。邦訳に『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『三つの小さな王国』『ナイフ投げ師』(1998年、表題作でO・ヘンリー賞を受賞)(以上、白水Uブックス)、『ある夢想者の肖像』『魔法の夜』『木に登る王』『十三の物語』『私たち異者は』『ホーム・ラン』(以上、白水社)、『エドウィン・マルハウス』(河出文庫)がある。ほかにFrom the Realm of Morpheusがある。

「2021年 『夜の声』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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