ドラゴンランス英雄伝 1 (富士見ドラゴンノベルズ 1-13)

著者 :
制作 : マーガレット ワイス  トレイシー ヒックマン 
  • KADOKAWA(富士見書房)
3.67
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本棚登録 : 57
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829141496

感想・レビュー・書評

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  •  「レイストリン戦記2」の『大審問』の内容と比較したくて読んでみたのだが、それ以上に、他の作品の面白さにも引き込まれてしまい、ああ、なんでこれは再販しないんだろうなと思う次第です。

     『ドラゴンランス英雄伝』シリーズは、「ドラゴンランス戦記」の後に発売されたため、その続編にあたる「ドラゴンランス伝説」との関わりはほぼ無いものの、戦記で語られなかった、ランスの冒険者の知られざるエピソードだけに限らず、そのファンタジー世界クリンの設定さえ守れば、あとはご自由に書いて下さいと言わんばかりに、いつもの「マーガレット・ワイス」と「トレイシー・ヒックマン」の筆致とはまた異なる雰囲気を感じさせる、他の作家たちの新鮮さが面白く、たとえ、知っているキャラクターが全く登場しない話に於いても、そのストーリーの妙味を堪能させてくれることで、クリンの世界やランスの冒険者たちの新たな素顔も見せてくれる、そのワクワク感はまさに原題の如く、「お伽話」の面白さでいっぱいのアンソロジーです。


     ここからは、それぞれの短編の内容を少し書いていきます。

    「鮮血海の怪物」
     かつて家族を何人も殺され、自分だけがこの世に残された老人が、その仇であるが誰も目撃したことのない、伝説の「鮮血海の怪物」を釣りに、嵐の後の夜の海に繰り出すといった、『老人と海』を彷彿とさせる中に於いて、異色なのは、国を追われたダークエルフがそれに同行することになったことであり、それも踏まえた天秤にかけられたような終わり方も印象的な中で、鮮血海に浮かぶペレチョン号の銘板が、さり気なく登場する粋な計らいにも注目したい。

    「投げられた石」
     魔道士の要塞で、捕らわれたタッスルホッフが、魔道士から尋問を受けるシーンから始まる、如何にもな始まり方に苦笑しながらも、どうやら自ら潜入したわけではなく、他で手に入れた魔法の指輪の能力でたまたまやって来ただけとの事で、所謂、もらい事故なわけだが、タッスルホッフは決して道化役ではなく、仲間がいなくとも独りで生き抜いてきた理由がよく分かる、そんな強かさに納得出来る中、最後に登場する、あの二人は嬉しかった。

    「闇の夢、光の夢」
     戦記では、レイスト達がマジックショーをしたことでもお馴染みの、「豚と口笛亭」の主人、「ウィリアム・スイートウォーター」が、仲間たちを解放するために男気を見せる話で、それに同行するドワーフとミノタウロスも印象的だが、タイトルの真の意味を実感させられるような、すっぱりと断ち切った終わり方に、こうしたテイストは戦記には無かったなあといった、その斬新な読後感が良かった。

    「道をそれた子どもたち」
     新海のすぐ北の森林地を巡回していたドラコニアンの部隊が(敵役のドラゴン軍)ふと見つけた村は、年老いたエルフだけが住んでおり、一見何の危険も無いところに見えながら、どこか怪しい雰囲気を醸し出しているが、その原因が分からないまま、ついに村を襲うことを決意する・・・彼等にもそうした血筋があったことを思い出させる、哀しみの物語。

    「双子の〈大審問〉」
     「レイストリン戦記2」のそれが真実ということになったので、先に書かれた、こちらは文字通りのお伽話となってしまったが、作者は同じマーガレット・ワイスで、本編を読んでも、そこからそのまま引用したと思しき、全く同じ文章が掲載されている箇所もあったのは、彼女がこれをベースにした上で、更にブラッシュアップしたのが分かったので、あくまで、こちらは下書きのような印象に見えてしまうのもやむを得ないところで、これを読むためだけに、わざわざ購入する必要は無いと思います。

    「収穫」
     タニスとフリントが登場する、おそらく戦記以前と思われる物語は、兄とカレルを何者かに攫われたリアナの手助けをする形で展開され、ここでの彼等らしい、それぞれの性格が垣間見える喜びもありながら、それ以上に印象的だったのは、そこにあるとは思わなかった、まさかの親と子の関係性の気高さであった。

    「信頼を求めて」
     本書で最も読みたかった、戦記の3巻で見事にオールカットされた、ローラナ一行が氷壁城に行き、ドラゴン卿「フェアル=サス」を倒して、ドラゴンオーブを手に入れる壮大な物語は、まさに戦記ファンなら嬉しさに興奮すること間違いなしの面白さで、ローラナに惚れるまさかの○○や、デレクをイライラさせるタッスルホッフの存在感に、エリスタンに嫉妬心を抱く、「氷原の民」の僧侶ラガートの、物語を追う毎に上がっていく好感度も良いし、スタームの活躍も見逃せない中で、ドラゴン卿とのあまりにもレベルの差があり過ぎる中で、如何に倒すのかを苦労している作者の展開の仕方に、ちょっとなぁとは思ったが、それでも、頼りになるタッスルホッフと、ローラナの直向きさがとても印象的だった、タイトルの意味にもグッと来る、戦記ファンなら必読の内容です。

    • ひまわりめろんさん
      わーわーわー
      いーないーな英雄伝いいな!

      もう、どこにも置いてないよ〜
      持ってたんですよ
      全部持ってたんだけど捨てられちゃったのよね〜

      ...
      わーわーわー
      いーないーな英雄伝いいな!

      もう、どこにも置いてないよ〜
      持ってたんですよ
      全部持ってたんだけど捨てられちゃったのよね〜

      読み返したいけど難しいので英雄伝はなかったことにしてたのに〜w
      2023/08/22
    • たださん
      ひまわりめろんさん
      こんばんは!

      コメントありがとうございます(^^)

      へへっ、いいでしょ(笑)
      ということは、図書館にも無いんですね。...
      ひまわりめろんさん
      こんばんは!

      コメントありがとうございます(^^)

      へへっ、いいでしょ(笑)
      ということは、図書館にも無いんですね。せっかく、氷壁城の話で盛り上がりたかったのに、残念です(^_^;)

      ちなみに本書は、大分前にAmazonで購入した中古本なのですが、割とリーズナブルな価格だったので、状態の悪さ関係なく購入しまして、その時は、まさかレイストリン戦記が発売するとは思わなかったので、今となっては買って良かったなと思っておりますが、他の巻は持っていないので、今のところ、英雄伝はこれで終わりの予定です。

      それにしても、全巻捨てられてしまったのは泣けますね(T_T)
      今となっては貴重な作品集となってしまいましたよね。
      2023/08/22
  • まあ、このシリーズは「戦記」と「伝説」を楽しんだ人なら、という感じ。
    ただ、ワイス/ヒックマンの作品は、必読です。

  • ドラゴンランスの外伝。ネットで作者がM・ワイスとT・ヒックマンとあったから買ったのだが、彼らが「編集」をした短編集だった。ドラゴンランスは大好きだが、この2人以外の作品は面白くない。それと、ドラゴンランスってこんなに暗い世界観だったっけ?とちょっとがっかり。英雄伝にはわくわく感が全くない。

  • 『鮮血海の怪物』

    『投げられた石』

    『闇の夢、光の夢』

    『道をそれた子どもたち』

    『双子の〈大審問〉』

    『収穫』

    『信頼を求めて』

     2009年5月7日再読

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著者プロフィール

1950年生。翻訳家、ゲームデザイナー、小説家、アンソロジスト。株式会社グループSNE代表。訳書にスミス「魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》」「魔術師の帝国《2 ハイパーボリア篇》」、ウィルヘルム「翼のジェニー」(共訳、アトリエサード)、フィルポッツ「ラベンダー・ドラゴン」、マーティン「サンドキングス」(早川書房)、プリースト「逆転世界」(東京創元社)、ワイス&ヒックマン〈ドラゴンランス〉シリーズ(KADOKAWA)等多数。

「2020年 『魔術師の帝国《3 アヴェロワーニュ篇》』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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