砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない: A Lollypop or A Bullet (富士見ミステリー文庫 38-6)

著者 :
  • KADOKAWA(富士見書房)
3.74
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本棚登録 : 1554
感想 : 250
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829162767

感想・レビュー・書評

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  • ライトノベルに見せかけてのヘビーノベル。

  • 火車から連続して、“読後感が最悪な本”として紹介されていた作品を読んでみました。
    これもその1冊。
    地元の図書館に依頼を出してわざわざ県立図書館から取り寄せてもらいました。
    到着したと連絡があったので取りに行くと、ライトノベルで表紙は萌え系。
    借りるときちょっとだけ恥ずかしかった(笑)。
    しかし、その内容たるやかなりショッキング。
    児童虐待とウサギ惨殺事件とバラバラ殺人。
    読後、虚しさだけが残ります。

    最近、色々なジャンルと作家に手を出しているから、色々なタイプの面白い本に出会うなぁ。
    桜庭一樹、要チェック。

  • ラノベ風なイラストの本の割に内容は重く、非常に考えさせられるというか痛々しい気持ちになる作品。自分は大人側の視点でこの物語を読んだので、救われなかった少女に対する虚無感と日頃から少女に暴力をふるっていた父親に対するいら立ちが同時に沸き上がった。読後は非常に複雑な気分になった。そういう風に思わせる点ではよくできている作品だなと思う。でもミステリーではないなと同時に思った。感想はこんなところです。

  •  「急に書きたくなり、わりと一瞬で書き上げてしまった」とあとがきで作者が書いている。だからだろう、作品に良いリズムがあって、読み滞ることがなかった。

     中二。美少女転校生。虚言。障害。虐待。遺体切断。美男子。引きこもり。神。ある種の読者が好みそうな記号で溢れている。

     ファンタジー世界の住人が持ち込んだ現実に、標榜する現実主義が軽々と追い越され、取り残される。

     父親はどこまでも鬼畜。担任教師は最後、少し格好良い。

     こういう小説といえば挿絵が定番らしいが、個人的に本文から浮かぶイメージと少し異なり、戸惑った。

    「女流作家になりすまして交換日記を続けた中一の同級生、その後も高校、大学で、顔がすごくかわいくてものすごい嘘つきだけだけどぜったいにほっとけない、おかしな女の子と繰り返し出会った」というあとがきのエピソードは、作者が引き寄せていたのではなかろうかとも思えてより印象的だった。

  • かなーり前に読みました。中二病はいはいと思ってたら凄く面白かったのおぼえてます。機械があればまた読みたいな

  • ああなんて可哀想な少女。

  • 2004年に出版された桜庭一樹の作品です。表紙のイラストや砂糖菓子というタイトルなどスイートなイメージとは裏腹に内容は暗く重いです。この頃の少女を主人公にした桜庭作品は、たいがい不安定なんですが、本作が一番読んでて不安になるかもしれないです。田舎に住む山田なぎさと東京から転校してきた自分を人魚と言い張る海野藻屑の1ヶ月の交流を描いてます。少女から見た世界なので登場人物や出てくる場所は極端に少ないです。この閉塞的な感じが余計に息苦しさを増しているんだと思います。バッドエンドに至る過程を読むのはやはりツライ。

  • 文章はうまくないんだけど、剥き出しの肉塊にざらざらの砂糖塗したみたいな味が悪くないんだよねえ

  • そんなに長い話でもないということもあり、あっという間に読み終えました。感想が書きたいんだけど、どう書いていいかわからないなあ。何とも言えない気分になりました。
    別にハッピーエンドでもないし、結局恐れていた事態になってしまうし。冒頭から死体が見つかっているので、結末がわかった上で読んでいかなければいけないので、この娘がこの後殺されてしまうのかと思いながら読むのは複雑な気持ちでした。
    なかなか説明しづらいので、読んでいただくのが早いと思います。

    作者って女の人だったんですね!?
    後書き読んで初めて知りました。

  • 再読完了、75点。

    **
    中学2年生の山田なぎさは自分の将来に役に立たないこととは関わらないという実弾主義を標榜してから3か月経った2学期の始め、海野藻屑が同じクラスに転校してくる。
    自分を人魚だと言いながら、地元から上京して有名人となった父親を持つ藻屑のことを最初は砂糖菓子の弾丸を撃つ反りの合わない少女と思いつつもやがて行動を共にすることが多くなり、、、
    10代前半特有の悩みと友情、恋愛を桜庭一樹独特の文体とテンポの良さで描いたジュブナイル小説。
    **

    いちおうレーベルとしては富士見ミステリーとして出版されてはいるが、ミステリー小説として捉えるのは如何なものかという作品。
    が青春小説としては非常に良く出来ていると思います。ほのぼのとした”淡い恋愛”を描くような小説、また最終的にハッピーエンドに落ち着く作品も好きですが、こういう風にテーマ的に重たいものを選び逃げずに落とすべきところに落とした作品もまた良いもの。

    作品紹介で、桜庭独特の文体と述べましたが、クラスの中の主流派グループを社交界と言い回したり、花名島が藻屑に叩きのめされた場面で、ものすごくへんな道を通って大人だか変態だかとにかくあたしと違う生き物になってしまった、と表現するあたりが、まぁ私は好きである。

    キャラクターの中では貴族の兄が小説の中で良いスパイスとして働いているように感じました。花名島も良いキャラクターであると思うが、
    学校生活の中で花名島が出てくるシーンにはどうしてもなぎさと藻屑が登場し、この個性的な2人に食われている印象が強いのに対して
    兄は家でなぎさと1対1での会話が多く、またそういう傍観者の位置で終われば特筆すべきキャラではなかったけれど、
    最後に貴族から人間に戻るシーンがあることで物語が進んでいる印象も強く感じました。

    なぎさが藻屑の家庭環境を知り、今までの行動を振り返るシーンはなんか来るものがあります。

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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