砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない: A Lollypop or A Bullet (富士見ミステリー文庫 38-6)

著者 :
  • KADOKAWA(富士見書房)
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本棚登録 : 1554
感想 : 250
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829162767

感想・レビュー・書評

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  • 久々に本読んで衝撃を受ける。海辺の田舎町に美少女だけどちょっと変わりものの転校生やってくる…な設定とか、ラノベっぽい文体に舐めきって読み始めたのが、途中から完全に圧倒されて呑まれた感。ものすごいテンションで書き上げられたラストに泣いた。

  • 最初に、最悪な結末が示唆されてるにもかかわらず、最後まで読んだら泣きそうになった。
    読み進めていくうちに、なぎさと藻屑の二人がどうか救われますようにと祈りながら読んでいた。

  • 世の中の「側」に入ることのできない、これは少女版「タクシードライバー」なのかも。悲しいかな少女が撃ちまくるのは砂糖菓子の弾丸なのだが…。主人公や脇役たち人物の描き方が素晴らしく、こういう性格ならこういう思考や行動をとるだろう、というような点においてほとんど矛盾が感じられない=とてもリアル、な感じがする。文章は叙情に流れずむしろ理知的で、鋭く切り取られた彼女たちの心情、しっかりとした構成のストーリーに加え、主人公たちと同世代の読者層へむけられたメッセージも素晴らしく、作者の識見を感じられる。これはフィクションとして完璧でしょう。

  • 戦争というものの実感もなく生きている私たちの時代に生まれた、小さくて深い戦争の話なんじゃないかと思った。
    最後に海野藻屑は自分の死で読者を含む周りのことを撃ったような気がする。望まない死だ、でも藻屑本人だけはもしかしたら、ほんのちょっとだけ望んだのかもしれない。望まざるをえなかったと言いたい。
    砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない。クソッタレな父親も、生まれも、人生も現実も撃ち抜けなかった。
    花名島正太が海野藻屑に「汚ねぇな」と言うシーンが一番よかった。人を、夢から現実に引き下ろしたところ、まっすぐ見る場面だった。

  • こんなにも胸がくるしいのに頑張ろうと思えるのはなぜだろう。生き抜いた子供だけが生きて大人になるってことを僕らはいつも忘れてしまうね

  • 映像化だかで話題になる前から積んでいたこちらをようやくいまさらながら読みました。
    非常に面白いです。
    中学生の女の子二人と男の子一人が主体として展開していきます。
    青春模様全開ではあるんですが、どっかこっかズレがある。
    そのズレが大きくなって最後には…みたいな感じですか。
    非常に面白くて読みやすく、実際に薄いのでさくっと読めてしまいます。(概ね1時間半で読み終えました)
    読後感も妙にスッキリしていい感じです。

    ただ、1つ気になる点が。
    これはミステリーなのか。
    トリックらしいトリックは、藻屑が泡になるのと、兄がその解説ついでに手品する部分。
    実質事件には関係しないところ。
    犯人についてはあからさますぎる。
    頂上にあったメモがミステリー的要素なのかなと思う程度ですね。
    青春サイコホラーみたいな感じなのかなと思いました。
    最近ホラーばかり読んでいたので、ミステリーが読みたくて選択したわけですが、結局ホラー(とはまた違うかもしれないけど)みたいになっちゃって、そこがちょっと残念。
    期待したものと違うっていうだけで、話そのものは非常に面白かったです。

  • 絵がとても可愛いのに、内容に驚きました。
    少し悲しく、ちょっと考えさせられるお話です。

  • 桜庭さんの本の中で一番すき

  • もくずかわいいよもくずあああああ

  • 読んだ当時もその衝撃が凄かったが、大学受験の新幹線で漫画版を読んで、再度読み返してから改めて好きな作品になった。少女たちにはあまりにも残酷な、美しいのにそうとは決して言いきれない澱のような感覚が残る。/本年度ベスト3に入る作品。

著者プロフィール

1971年島根県生まれ。99年、ファミ通エンタテインメント大賞小説部門佳作を受賞しデビュー。2007年『赤朽葉家の伝説』で日本推理作家協会賞、08年『私の男』で直木賞を受賞。著書『少女を埋める』他多数

「2023年 『彼女が言わなかったすべてのこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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