マルタ・サギーは探偵ですか? 5 (富士見ミステリー文庫 54-7)
- KADOKAWA(富士見書房) (2007年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784829163948
作品紹介・あらすじ
25歳の鷺井丸太は森川調査事務所で働いている。異世界・オスタスの名探偵マルタ・サギーが、生まれ故郷の蓑崎に強制送還され、ただの鷺井丸太に戻ってから-7年が経っていた。丸太は、もう一度オスタスへ行きたかった。だから手がかりを探して、調査事務所で働くことにしたのだ。でも、時間が経っても、何もつかめない。丸太は思う。オスタスに行く前より、蓑崎は嫌いじゃない。知り合いがいて、毎日の暮らしに困ることもなくて。だけど、僕の心は異世界に囚われたままだ。マリアンナさんがいる、あのオスタスに。そんな時、丸太の務める調査事務所に行方不明の妹・渚を捜して欲しいという依頼があった。渚-その名前を聞いて、丸太の心臓は強く脈打った。それは自分がカード戦争にエントリーした時、出会ったヤマンバコギャルと同じ名前だったから。この依頼は、オスタスへの手がかりの一端となりうるのか?鷺井丸太と世界の関係が再び変わり行く、ハイブリッド・ミステリー長編第5弾。
感想・レビュー・書評
-
マルタの成長。マルタ、かっこいいぞ!アウレカもでるぞ!
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
引っ越しして図書館で借りれなくなって
長い間とんでもない展開のまま気になってたw
(結局全巻購入)マルタ・・・ -
“色々あったが、丸太はバーチが好きだった。
あんな男になりたいと、あんまりにもかけ離れていたからそれは思うことはなかったが、それでも尊敬していた。
彼の正体がマリアンナだとわかったけれど、それでも別に問題はなかった。
たとえばマリアンナがどんな姿でも、丸太はもう、マリアンナを忘れられない。
いつの間にこんなに魂の中に彼女が入り込んでいたのかと思う。
デートに誘わなかった悔恨が、彼女への思いを強くさせているのかと考えたが、それならそれで、もう、いい。
バーチがマリアンナなら、バーチも愛する。
それはなんだか滑稽に感じたが、少しの笑いもこみ上げてこない。
蓑崎で七年経って、何にも自分は出来ていない。
丸太の心はオスタスに囚われたままで、マリアンナと共に死んだままで、たとえこのまま年老いて死んでも、誰かと出会って何かのきっかけで結ばれたとしても、マリアンナを愛している。
それは単純に丸太にとっての事実だったから、こうして炎天下の蓑崎で、ビーチサンダルで歩きながら考えていても、気持ちが揺れることはなかった。”
嬉しいんだか悲しいんだか。
手に取り戻したものと、その手から失ったもの。
丸太、強いなぁ。
彼はきっと、なくなってしまった七年間の蓑崎のことを絶対忘れないのだろう。
うー、泣きたいのに何故か泣けない。
涙腺が緩む前に胸が軋んだ。
苦くて切なくてどうしようもなくて、でもバーチ=マリアンナだと知ったこの後のマルタがどう動くのかすごく気になる。
“今を大事に生きるって、森川さん、僕もわかんないけど。
でも森川さんたちに恥ずかしくないように生きていくことが、もしもそういうことだとしたら、僕はそうしようと思います。
「なんでもします。ありがとうございます。忘れません」
さようなら。
シシャが横目でマルタを見て言う。
「よくわかんないけど、僕、頃合い見てまた来るからね。……逃げようだなんて思うなよ」
一瞬シシャは顔の半分ほどにも目を広げ、口を耳元まで裂いて笑った。そして姿を消す。
春の風が吹き渡る。
どっ、と、固まりになって身体に当たる、生暖かく湿度を持ったその風。
マルタの涙を奪って散らす。帽子を飛ばされたが気にしない。
排気ガスの匂いのしない空気。その代わりに石炭や木材の燃える香りがする。
風に煽られてどこからか街路の花が、花びらが舞い上がる。
舗装されていない道路もある。公園も庭も多い。そこから吹き上がる土埃。
オスタスの風。
野次馬たちの声が風に乗って上がってくる。
目の前のバーチが動き出す。
七年、ずっと、思い焦がれた瞬間だ。
バーチ。
マリアンナさん。
僕はあなたをなんて呼んだらいいんだろう。
でも、時間はまた動き出した。これからまた始まる。繋がっていく。” -
読了8/19朝方より手前。前回、強制的にカード戦争から排除されて、蓑崎に戻って7年語から戻るまでの話、マルタが普通に格好いいに分類される一般的なオトナの顔してるのがおかしい。。蓑崎の人々。うっかり雨の中マルタを拾った所長の森川さん。事務所事務でマルタを好きになった早紀ちゃん、事体が動くキーになった、そしてこっちでの初めてのお友達wの才谷。個人的には早紀ちゃんが。あんまりこういうタイプは好きでないんだけど。振られた後が健気で、そして格好いい。
-
マルタがマルタなんだけど成長してて凄い。♯ あらすじらしきもの
異世界オスタスで名探偵をしていたサギーが
日本に強制送還されてから7年がたっていた。
興信所で働きながら情報を集めていた彼は、
ある人探しにオスタスが関わっていることを知り…。
・・・・・・・・・・・・・・・・
サギーが私より歳上になっていて、背とか伸びてて眼鏡もかけていたりして、でもサギーはサギーのままで、変わっていなくて変わっていて、なんか凄くサギーな感じでした。
野梨原さんの筆運びは、言葉と言葉の狭間にあるものをひとつひとつなぞっていく感じで、こわくてきれいでやさしくてかなしくて愛しいです。
マルタ・サギーシリーズは特にそんな感じ。
サギーが弟と呼ぶ彼なら、ここで叱りつけるんだろうなぁ、と思う度に別の人に叱られてたりしてあぁそうかここは日本だっだと思って。
マリアンヌさんを真似た真っ直ぐさとかそこらへんの文章が素敵で。
でもきっと7年を分かることはできないだろうなぁ、まぁそら分かんないよな。
体動かそうと思いました。 -
眼鏡青年マルタ編。
もしくは青春残酷物語編です。 -
8/13 大人になった丸太が意外と好きでした。早紀がいいキャラだ。
-
再読して気がついた。
マルタ泣きまくり。
海で花火で男2人のところが大好き。
(09.07.28) -
野梨原先生は厳しいな…。 こういう展開を持っていく所も好きだけど。