王女様と教育係: Erotic Lovers (ティアラ文庫)

著者 :
  • プランタン出版
4.10
  • (4)
  • (3)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 48
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784829666500

作品紹介・あらすじ

貪るように、啄むように、快楽を与えてくる舌。ああ、すべてを忘れて彼に溺れたい……でも駄目、二人には身分差が! 王女グウェンドリンが恋した人はセシル――知的なのに野性の色気が漂う医師。教育係の彼から秘密の個人授業を施され濃厚なキスや甘美な愛撫の虜に……。互いに快感を与え合う二人は師弟? それとも恋人同士?彼の気持ちが分からないまま、一線を越えてしまって!?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 恋愛小説は多々ありますが、この作品はその他諸々とはグレードが違うと思わせる素晴らしいストーリーテリングです。
    (帯のあおり文やあらすじは、あまり上手にストーリーを表しているとはいえないのでカバー買いするのが一番正解な気がします。でも歴史舞台は七王国時代のブリテンなのにカバーはそれっぽくないですが。)

    行動派な大柄の雰囲気美人で生命力あふれる激情家ヒロインと、影がありつつも男の魅力あふれるヒーロー(仮身分差)。

    前半はある程度予想できる展開ではありますが、そこに至る二人の距離が縮んだり遠のいたりする機微のシーン描写がとても細やかで読者を引き込みます。
    主人公達が剣の練習をしたり、竪琴と歌声の合奏シーンは、直接的なふれあいと同じかそれ以上に鮮やかに印象に残りました。
    時がとまり、相手しか目に映らなくなる「恋」の瞬間や、一歩を踏み出すシーンはラノベやハーレクイン系とひとくくりにしてしまうのがもったいないような筆致です。

    後半は少々辛口に言えばご都合主義な展開といえなくもありませんが、前半ではあくまでヒロインをリードする側の大人として描かれていたヒーローの苦渋や純愛、不器用な必死さが描き出され、大人の女性として花開いたヒロインとの再会からエンディングにかけては心温まる幸せな余韻を残します。

    一年に一度あるかないかというレベルの良作で、他の作品に埋もれるのが惜しいっ、と大絶賛できるほどなので、ぜひタイトルやあおり文に今ひとつピンとこない方もお試しあれ!

    【追記(ネタバレ注意)】
    群雄割拠の七王国時代のブリテンにあって、以下の点は非常に不自然と思われ、物語に奥行きを与えるリアリティがやや欠けているのが残念です。
    ・剣をとって戦える男子(継嗣)のいないヒロインの国(マーシア王国)の状況はありえない(王位継承権をもつ王弟がいたり、王女が幼少から婚約しているならともかく)。
    ・将来的には王国一国の統治権がついてくるという点で非常に利用価値が高い直系唯一の王女なのに結婚適齢期をすぎそうになっている(当時は王族で16なら子持ちでもおかしくない)。
    ・非嫡出子ならば子供がゴロゴロいそうな年のヒーローがウェセックスという大国の王という地位にもかかわらず王位継承者もいないような状況はありなのか?
    ・体躯に優れた隻眼王というのは外見的に特徴がありすぎて敵国潜入なんて不可能では?、等。

    また、
    ・落日の大国と勢力のある大国なら、婚姻による領土併合や人質として敵国王女を要求する方が王道では?、とか
    ・時代的に前妻と死別せずに再婚が宗教上許されるのか?
    という疑問もアリ。

    時代背景が実在なのでファンタジーと割り切って読めないという側面があり、ストーリー性重視とはいっても物語の展開にリアリティの検証が欲しいところです(とはいえ、思い入れが深いゆえの完成度の追求なので、良作には変わりありません)。

  • あらすじから想像したお話とはちょっと違ったかも。
    ハッピーエンドの気配が無く、先が気になり一気読みしました。

    強くて逞しいヒロインの繊細な部分がうまく書かれていて良いと思います。
    ティアラ文庫ならではのラブシーンも、それのための物語ではなく、物語のためにあるという感じがして素敵でした。
    深く作り込まれた物語にもとても魅力を感じました。

全2件中 1 - 2件を表示

花衣沙久羅の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×