山崎闇斎の世界

著者 :
  • ぺりかん社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831511362

作品紹介・あらすじ

朱子学への峻烈なコミットと、垂加神道の開祖としてナショナリストの気概-近世という時空において二つの問題を引き受けて一致させようとした日本思想史上の巨星の著作を丹念に読み解き、その思想がもつ強度と深度を描き出した本格的入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 韓国で企画された、中国、朝鮮、日本の儒教思想家たちの評伝シリーズの一冊として刊行された本の日本語版で、山崎闇斎の生涯と思想をバランスよく解説している入門書です。

    著者は本書に収められた「韓国語版への序文」で、「韓国における儒教の伝統に、私は深い敬意を抱いている」としながらも、「闇斎にしても、韓国儒教の受容・応用に過ぎない」という意見に反対し、「まず徳川日本に生きた闇斎に即して考えようとした」と本書に込められた意図を説明しています。とくに闇斎研究においては、阿部吉雄の『日本朱子学と朝鮮』(1965年、東京大学出版会)によって朝鮮儒学思想からの影響が明らかにされてきましたが、著者はそうした枠組みを離れて、闇斎に内在的な観点から彼の追求した「心の本源」とはなんであったのかを論じています。

    著者は、闇斎とその弟子であった佐藤直方および浅見絅斎の対立点に触れて、外的な「身」と内的な「心」の関係を「心」の主宰性によって論じるのではなく、「敬」にもとづいて確立された世界へと働きかけていくありかたに目を向けていたことを明らかにします。さらに、垂加神道における「心神」に注目し、とくにスサノヲ、オオナムジ、サルタヒコのエピソードを通して、心の奥にひそむ根源としての「心神」への探求をおこなっています。

    本書刊行の経緯から、東アジアの儒教思想の大きな枠組みのなかに闇斎を位置づけるような内容を予想していたのですが、良い意味で予想を裏切られました。

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著者プロフィール

1954年水戸市生まれ。東海大学教授。近世儒学、国学、神道などの日本思想史が専門。著書に、『山崎闇斎の世界』(成均館大学校出版部[ハングル版]・ぺりかん社、2006年)、『荻生徂徠』(叢書・日本の思想家 儒学編15 明徳出版社、2008年)、『江戸の思想史──人物・方法・連環』(中公新書、2011年)、共編著に『日本思想史講座』全5巻(ぺりかん社、2012-15年)などがある。

「2016年 『こころはどう捉えられてきたか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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