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- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784831516626
作品紹介・あらすじ
表音文字「かな」と外来の表意文字「漢字」の複合体として発達した日本語。現代では明治期より量産されてきた翻訳語やカタカナ用語も氾濫している。だが医療の場において痛みを表す言葉が「しくしく」「ずきんずきん」であるように、主観を語る「やまと言葉」は具体的な感情表現として活きつづけている。「もてなし」「かなしみ」「ただしさ」「なぐさめ」など現代に活きる「やまと言葉」を取り上げ、古典文学から歌謡曲に至る豊富な用例を踏まえて考察する。長年に亘り「やまと言葉」をつぶさに眺め考えつづけてきた著者の遺作。
感想・レビュー・書評
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もてなし、やさしさ、たしなみ、つつしみ、なつかしさ、かなしみ、さようなら、などなど、やまと言葉の語源に遡り、古来からの使用例を辿って、その言葉に込められてきた日本人の魂のあり方が、平明で静かな筆致で語られる。
とても味わい深い一冊だった。
総括として、著者は九鬼周造を引用して次のように語る。
九鬼周造は、日本の思想文化の大事な要素として「自然」「意気」「諦念」の三つを挙げている。「自然」という「おのずから」と、「意気」という「みずから」、そして「諦念」という「あきらめ」とが、われわれの発想の基本としてあるというのである。
竹内哲学がここに見事に要約されている。
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