やまと言葉の人間学

  • ぺりかん社
4.50
  • (1)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 33
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831516626

作品紹介・あらすじ

表音文字「かな」と外来の表意文字「漢字」の複合体として発達した日本語。現代では明治期より量産されてきた翻訳語やカタカナ用語も氾濫している。だが医療の場において痛みを表す言葉が「しくしく」「ずきんずきん」であるように、主観を語る「やまと言葉」は具体的な感情表現として活きつづけている。「もてなし」「かなしみ」「ただしさ」「なぐさめ」など現代に活きる「やまと言葉」を取り上げ、古典文学から歌謡曲に至る豊富な用例を踏まえて考察する。長年に亘り「やまと言葉」をつぶさに眺め考えつづけてきた著者の遺作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • もてなし、やさしさ、たしなみ、つつしみ、なつかしさ、かなしみ、さようなら、などなど、やまと言葉の語源に遡り、古来からの使用例を辿って、その言葉に込められてきた日本人の魂のあり方が、平明で静かな筆致で語られる。
    とても味わい深い一冊だった。
    総括として、著者は九鬼周造を引用して次のように語る。

    九鬼周造は、日本の思想文化の大事な要素として「自然」「意気」「諦念」の三つを挙げている。「自然」という「おのずから」と、「意気」という「みずから」、そして「諦念」という「あきらめ」とが、われわれの発想の基本としてあるというのである。

    竹内哲学がここに見事に要約されている。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

竹内 整一(たけうち・せいいち):1946年長野県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻博士課程中退。東京大学名誉教授。専門は倫理学、日本思想史。日本人の精神の歴史を辿りなおしながら、それが現在に生きるわれわれに、どのように繋がっているのかを探求している。主な著書に、『魂と無常』(春秋社)、『花びらは散る 花は散らない』『日本思想の言葉』(角川選書)、『「やさしさ」と日本人』(ちくま学芸文庫)、『ありてなければ』(角川ソフィア文庫)など。

「2023年 『「おのずから」と「みずから」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹内整一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×