中世叡尊教団の全国的展開

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  • Amazon.co.jp ・本 (548ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784831860590

作品紹介・あらすじ

本書は、日本中世仏教における戒律の重要性に光を当て、もう一つの鎌倉仏教教団としての叡尊教団の繁栄ぶりから、「中世仏教とは何か」を見直す手がかりとなる。

●概要

3部構成で、奈良西大寺叡尊(1201~90)をいわば開祖とする中世叡尊教団の全国的な展開などを明らかにする。

【第1部】

叡尊・忍性(1217~1303)ら律僧の社会活動に注目して中世仏教を見直し、叡尊教団が、13~14世紀に日本全国で非人救済活動、寺社修造、港湾・河川・道路の維持管理などの社会活動を行っていたことを論じる。

第1部第2章では、日本において病気がいかに考えられてきたのかを、古代から近世まで通じて論じた。とりわけ、癩病と叡尊らとの関わりに注目する。


【第2部】

第1部で論じた活動に関して、史料に即して河内、紀伊、美濃、尾張、越前など本州に所在した末寺に注目する。

河内国は、叡尊教団の拠点である大和国に近く、末寺数が多いこともあり、2章に亘って論じる。とりわけ、真福寺末寺化を通じて鋳物師集団と叡尊教団との関係に光を当てる。

紀伊国における叡尊教団の展開を、従来ほとんど活用されてこなかった西大寺様式の巨大五輪塔などにも注目しつつ論じ、多くの末寺の現地比定を行う。

美濃国に関しては、ベルギー国の新ルーバン大学で著者が新たに見出した小松寺旧蔵大般若経の奥書などを使って美濃国における叡尊教団の展開を論じる。


【第3部】

九州各地に所在した末寺の展開と活動など具体的に明らかにしている。

九州地域の叡尊教団の展開において、宝治2年(1248)年春に忍性らが九州へやってきたのが第1の画期となったと推測される。

第2の画期は、蒙古襲来で、13世紀末に中興された律寺は蒙古襲来退散の祈祷のためと考える。

また、叡尊教団寺院の立地を見ると、港、河口、川の側に所在したものが多い。その地理的位置からも博多大乗寺、筑後浄土寺、日向宝満寺、薩摩泰平寺、豊前宝光明寺といった寺院は、港・川を管理していたと考えられる。ことに、豊前宝光明寺は駅館川の河口に位置し、殺生禁断権を梃子に、駅館川を支配していたことなどを史料的に裏付けている。

本書では、従来使用されてきた明徳2(1391)年の「西大寺末寺帳」のみならず、著者が新たに見いだした15世紀半の「西大寺末寺帳」などの末寺帳も使用した。

15世紀半の「西大寺末寺帳」や、現地調査などを通じて見いだした仏像の胎内銘、五輪塔などの石造遺物などの資料によって、15世紀半ばまで叡尊教団が全国的な展開をしていたことを明らかにする。

著者プロフィール

1954年、長崎県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程を経て、現在、山形大学人文学部教授。東京大学文学博士。専攻は、日本宗教史、日本中世史。主な著書に『鎌倉新仏教の成立』『勧進と破戒の中世史』『日本中世の禅と律』『中世律宗と死の文化』(以上、吉川弘文館)、『中世の都市と非人』『山をおりた親鸞 都をすてた道元』『中世叡尊教団の全国的展開』(以上、法藏館)、『中世都市鎌倉を歩く』(中公新書)、『忍性』(ミネルヴァ日本評伝選)、『破戒と男色の仏教史』『知られざる親鸞』(平凡社新書)、『親鸞再考』(NHK出版)、『仏教入門』(岩波ジュニア新書)など多数。

「2019年 『鎌倉新仏教論と叡尊教団』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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