卓上版 牧野日本植物圖鑑

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  • 北隆館
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  • Amazon.co.jp ・本 (1228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784832607415

感想・レビュー・書評

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  • 今期の朝ドラ「らんまん」。 富太郎のお守り役が成長して志尊淳が出て来て俄然きちんと見だした。関連本を読もうと図書館に行ったら、この本があった。クリーム色でなんだか現代的な表紙。

    初版は昭和15年10月でこれはその令和元年・2017年に重版された廉価縮刷版だった。ぱらぱらめくると全ページ見開きで6つの図と説明。説明文は詳しいのは小さな字で、文字数の少ないのは大きな字で、みな同じスペースで配置され、これはとてもいい。とにかく図が詳細。これを全部牧野氏が描いたのかと思ったら、氏の序文に、自分が描いたものもあるが、大部分は画工・水島南平、山田尋雄、木本幸之介君が描いた、とあった。う~ん、しかしすごい分量。これ全部分かって区別しているわけですよね・・

    図には通し番号がついていて全部で3206図。昭和25年の第9版の追加も載っており3235図になっている。それには西洋タンポポが載っている。

    牧野氏の専門は植物分類学ということで、門、目、科と並んでいる。知っている花はなにかないかとめくってみると「さつまいも(甘薯)」がひるがお科で出てきた。同じページには「あさがほ」があった。野菜、草花と分けがちだが植物分類学的には同じページになるのか、などと感心してしまった。考えてみるときちんとした植物図鑑を見るのは生まれて初めてかも。見たことがある小学生向けの図鑑は春夏秋冬と季節ごとに絵が描いてあった。

    メモ
    起稿:昭和6年1月29日
    脱稿:昭和15年3月31日
    校了:昭和15年6月20日

    牧野氏序文
    漢字とカタカナの漢文調。この本のできるまでが感慨深く書かれている。

    嗚呼、皇紀二千六百年・・この非常の秋にこの本を公刊できるのは幸い中の幸いである。余は、明治21年に「日本植物志図篇」、次いで「新撰日本植物図説」並びに「大日本植物志」と発行したが中途で途絶えた。大正14年に「日本植物図鑑」を著したが満足の出来ではなかった。この間に諸学問の著しい発達もあり、小生の信じる分類体系による図鑑を著そうと思い、爾来春風秋雨十数年、漸く本書第一次の完成をみたのは、習々たる春風は桜花をして将に発かしめんとする頃であった。・・・しかし本書は自分の理想には遠いものであることを白状する義務を自分は負っている。

    本書完成には、理学博士三宅驥一、東京帝国大学農学部講師向坂道治君の斡旋盡力によることが大きい、とありその他世話になった学者の名前が12人書かれている。

    (あとで「牧野植物図鑑の謎」俵浩三著平凡社新書1999)を読んだら、木村陽二郎氏の「植物と自然 1981臨時増刊」が紹介され、”皇紀2600年を期して出版されることが決まっていたが、なかなか進まないので、三宅、向坂教授が心配し、私(木村)の指導教官の中井猛之進先生が中心となって植物教室分類学研究室の人たちが、下書きを手伝うようになった。われわれはこれを中井先生の命令と受け取り、大学院生の私も筆をとり時には学名までも検討した。もちろんあとで牧野氏が朱入れした。序文に私たちの名を列記して感謝の念を示された”とあった。・・なるほど理学士木村陽二郎と最後に記してあった。)


    北隆館の卓上版刊行の言
    「牧野日本植物圖鑑」は2020年、北隆館創業130年の年に初版発行80年を迎える。
    北隆館と牧野氏の関係は、
    1908年に北隆館が初めて「植物圖鑑」を刊行したことに始まり、
    1940年「牧野日本植物圖鑑」が完成以後、牧野図鑑は
    「同 改訂版」(1949)、
    「同 増補版」(1956)、没後も
    「牧野新日本植物圖鑑」(1961)、
    「改訂増補 牧野新日本植物圖鑑」(1989)、
    「新訂 牧野新日本植物圖鑑」(2000)、
    「新 牧野新日本植物圖鑑」(2008)、
    最新の「新分類 牧野新日本植物圖鑑」(2017)と実に7回にわたり大幅改訂され、今日まで出版され続けている。

    表紙の植物画はすべて牧野富太郎作画。
    左上:むじなも(1513) 右上:やまとぐさ(1813)
    左中:けし(1582)   右中:やっこさう(1900)
    左下:くゎりん(1394) 右下:かんあふひ(1903) 

    1940.10.2発行(定価15円) 2019.6.10重版 図書館

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著者プロフィール

1862年(文久2年)土佐国佐川村(現、高知県高岡郡佐川町)の裕福な商家と酒造業を営む家に生まれる。三歳で父を、五歳で母を失い、祖母に育てられる。幼少時から植物に強い関心を示し、小学校を2年で中退、好きな植物採取に熱中する。19歳の時、初めて上京し博覧会を見る一方、書籍や顕微鏡を購入する。22歳の時(明治17年)に再び上京し、帝国大学理科大学(現、東京大学理学部)植物学教室に出入りし、文献・資料等の使用を許可される。自ら創刊に関わった「植物学雑誌」に新種ヤマトグサを発表し、日本人として初めて新種に学名をつける。94年間の生涯で収集した標本は40万枚に及び、新種を初め1500種以上の植物に命名し、「日本植物分類学の父」と呼ばれる。

「2023年 『オリジナル普及版 牧野日本植物圖説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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