- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784832933804
作品紹介・あらすじ
人の営みには<誤解>がつきものです。人は誰しも、あらぬ誤解を受けて悩んだり傷ついたりした経験があるのではないでしょうか。ああ、この憎らしい誤解なんてものをなくすことができたらどんなにすばらしいことか、私たちはともすればこのように考えがちです。
しかし、誤解があらゆる人の営みに関わってくるのだとすれば、それが私たちの生活の中で重要な役割を担っていることを示すものだとも言えそうです。改めて考えをめぐらせてみますと、<誤解>という言葉で表現されるものには、言葉による誤解、表情による誤解、イメージによる誤解、歴史認識の誤解、個人どうしの誤解、民族間の誤解、といった様々なものが含まれるようです。はたまた、うれしい誤解、幸せな誤解などといった、プラス面に働く誤解もあるではないでしょうか。さらには、誤解の全くない生活、どんな誤解も起こらない恋愛小説といったものなどは、機械的で味気ないもののようにさえ思えてきます。
さて、もうここまできますと、誤解は人の営みのなかでどのような役割を担っているのか、誤解と理解とはどのように違うのか、そもそも誤解とは何か、といったように<誤解>そのものが興味深い考察の対象となって浮かび上がってくるのではないでしょうか。本書の趣旨は、それぞれの講師が専門知識を踏まえながら、この多様な<誤解>の諸相をご紹介していくところにあります。
各講師の専門は、歴史学、文学、言語学、心理学、思想・哲学、といった様々な領域にわたります。これらの分野は、一見すると接点が少ないようですが、人の営みと関わっているという点では共通しています。それぞれの講師は、専門分野からみた<誤解>の諸相について、分かりやすい具体例を話題として提供します。近代における日本人の愛国心、未知の言葉との出会い、中国古典における誤解の分析と対策、思い違いと記憶の誤り、誤解は「誤解」されているか、ミステリにおける誤解と誤読、表情判断の誤解と文化差、日本語におけることばの行き違い、永遠に解けない誤解はあるのか、などについてお話しいたします。
本書を通じて、人の営みにおける<誤解>の諸相について、より深い理解――誤解?――が得られるようになれば、これに勝る喜びはありません。
感想・レビュー・書評
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章ごとに筆者の論文が掲載されているので、気になる章だけを読むことができる。
第8章「ことばの行き違いと誤解」では、誤解をめぐる日本語の状況とことばの危機管理について述べられている。
普段”正しい”と思っている日本語についても、考えさせられた。誤解は単純な間違いから起こるだけではないのだ。自分の不注意から相手を誤解する方向に導いてしまうという”ことばの危機管理”の概念を意識することが求められている。
これも気になります…
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北大出版会...
北大出版会
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