知事は何ができるのか: 「日本病」の治療は地域から

著者 :
  • 風媒社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833110945

感想・レビュー・書評

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  • 褒め過ぎかもしれないけれど、滋賀に引っ越したい気にさせられる本です。
    事実、前から気になっていたアール・ブリュットを訪ねがてら、
    雪がなくなったら遊びに行く事にしました。

    個々の人々と自然界の生き様と人間社界を結ぶ
    生活環境学を唱える嘉田さんは近江商人の
    売り手よし買い手よし社会によしという三方良しを取り入れて
    ベーシック・インカム構想からなるのだろう無条件の
    子ども手当を打ち出し
    水と山とたんぼと親しむ教育問題にも視野を広げている

    もったいない精神による無駄を省き
    大自然と共生していくことを数多く実践してきている事実を
    ココに見ることができます

    国がやらなければならない卒ダムに卒原発
    更にCO2問題やきれいな水の確保など
    生活環境学に沿った政策を実現するために
    市民とともに積極的に関わり
    官僚と話をまとめ環境再生や維持に力を尽くしている姿を見ます

    又、「私が」という一人称の主語が嫌いな私にとって、
    少々読みにくい本ではありますが
    その点を除けばすべての政治家、
    取分け各市長と知事には是非とも読んでもらいたい本です。

    もう一つ私の嫌いな「権利と著作権」に付いても、
    嘉田さんと意見交換したいと思います。
    美や共生やシェアーについて語るならば、
    権利という問題を納得行くまで議論する必用があると思います。
    いたずらに文化を権利社会に引きずり込むことは、
    嘉田さんが認めるところの「この子らの光」を
    消してしまうことになると思うのです。

  • つい最近、嘉田知事が国政政党を立ち上げた。小沢新党との合流にて小沢氏の影響力を懸念する声や、未来の党の政権公約の不明瞭さを不安視する声も多い。そんな方には、この本を一読することをオススメする。嘉田知事が何故知事の身でありながら国政へと声を上げなければならなかったのか、そしてどのような国づくりをしたいのか、ここに書かれている。
     そもそも、一自治体の首長が単行本を在任期に書き上げる例はいったいいくつあるのだろうか?そのところは私自身不勉強にしてよく知らないが、一冊の本に表せるほど本気で行政を担ってきたことの証だと思う。きめ細かに、遥か先を見据えながら、着実に制度構造変成を伴いつつ、地道な努力を続けてきたお方だ。これから先長く、嘉田さんの応援を続けていきたいし、これからの将来を担う若い滋賀県民としては、嘉田さんの意思を受け継ぎ、誇れる滋賀をつくることに貢献していきたいと考えている。

  • 新幹線新駅設置問題や「もったいない」で有名になった嘉田由紀子滋賀県知事による知事選立候補から現在までの軌跡。関西の知事はみんな元気がいいが、嘉田知事が最も地元のことを理解し県政を行っているのが本書からわかる。在野の研究者として滋賀県を学生時代から研究フィールドにしていた氏は琵琶湖の歴史暮らしに精通し現地現場に適した施策を矢継ぎ早に打っていることが初めてわかった。
    「自治体経営○○、○○マネジメント」などといった大学教授の本を10冊読むより、本書を1冊丁寧に読んだ方が地方自治の現場がよくわかると思った。良書。

  • 資料ID:21202433
    請求記号:318.261||k
    学界から政治の舞台へ勇気をもって挑まれた滋賀県知事の熱意に心打たれます。

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著者プロフィール

参議院議員、元滋賀県知事、日本環境社会学会元会長、農学博士
1950年、埼玉県生まれ。1970年代初頭京都大学探検部員としてアフリカで水と環境の価値を発見。ウイスコンシン大学大学院・京都大学大学院修了。1970年代から琵琶湖周辺農村での水利用調査などを行い、1982年より琵琶湖研究所研究員として鳥越晧之たちと生活環境主義を提唱。1980年代中頃より琵琶湖博物館の企画・建設提案し1996年開館に結びつける。2000年より京都精華大学教授を経て、2006年公共事業の見直し・子育ての充実を訴え滋賀県知事に。「流域治水条例」を全国で初めて制定。2014年勇退後はびわ湖成蹊スポーツ大学学長。2019年より参議院議員。
編著書に『水と人の環境史』(1984年、鳥越晧之・嘉田編)、『生活世界の環境学』(1995年)、『水辺遊びの生態学』(遊磨正秀と共著、2000年)、『水辺ぐらしの環境学』(2001年)、『環境社会学』(2002年)、『生活環境主義でいこう!──琵琶湖に恋した知事』(古谷桂信と共著、2008年)、『知事は何ができるのか』(2012年)、『滋賀県発! 持続可能社会への挑戦』(内藤正明・嘉田編、2018年)、『命をつなぐ政治を求めて』(2019年)、『流域治水がひらく川と人の関係』(嘉田編、2021年)など多数。

「2022年 『水と生きる地域の力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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