- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833120661
感想・レビュー・書評
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海外詩人で一番好きな詩人、ディキンソン。いくつか詩集は出版されているものの、ちょっと敷居が高めかなと感じていた。
そんなときに出会ったこの詩集。小さな出版社、訳者もよく知らない人だけど、瑞々しく澄み切ったきれいな言葉が心に響いた。シンプルな詩だからこそ、訳のセンスが問われる。
ちょっと残念というか個人的な好みだけど、ディキンソンのファンとなるきっかけになった詩の訳がう〜んだった故、星4つの評価。それでも、5つに限りなく近いほどお気に入りの一冊である。岩波文庫版を持っているので、引っ張り出して読み比べてみようかしら。訳者の個性比べで、それもまた面白いかも。
そして、英語の原詩も載せてあるので、オリジナルを楽しむのもまたよし。韻を踏んでいたり…。ディキンソンの優しい囁きは、訳は勿論、英語で読んでも心に沁みる。
いつも偶然にも人生の節目節目で出会う、妙に印象に残る詩だなと思うと、それがディキンソンなのだ。これからもまたそんな出会いを期待したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小鳥がいました
自由を渇望している小鳥です
永遠でありたい小鳥です
しかし小鳥の体には無数の糸が絡まっていました
小鳥は「今」から飛び立ちたい一心で
嘴を使い糸を断ち切っていきます
無数の糸は一本、
また一本と小鳥の体から離れていきました
ようやく糸が全て無くなった頃、小鳥はもうずたぼろでした
体に食い込んだ糸の痕が
断ち切るために無心で突いて抉られた嘴の痕が
小鳥の羽を、体を血で真赤に染めるのでした
もう自由を求める事が出来なくなっていたのです
しかし小鳥は、ある種の永遠を手に入れることとなりました。
それは幸せでもあり不幸せでもあると思います。 -
脈絡無く、時ならぬマイブームのエミリ・ディキンソン。昔、分からないなりに英語で読んでいたのだけど、ふと最近気になり始めて、岩波の英語対訳の詩集をよく読む。
で、"I'm nobody! who are you?"という表紙の言葉に魅かれてこちらも読んでみる。
短めの詩、というかほとんど短歌、俳句並みに短い詩を集めてあって、すぐ読めてしまう。実に印象的な言葉が沢山はいっている。
が、ちょっと訳のトーンが乙女チックな感じかなー。私のディキンソンのイメージは、もう少し硬質で、静謐な感じなので、ちょっとどうかなと思う。 -
予感とは 影が 芝生に伸びて
日没を示して
おどろいている草に告げること
暗闇が通りすぎるよと
?
一時間待つのは 長い
恋がすぐ向こう側にあるなら
永遠に待つのは 短い
恋が最後に報われるものなら
?
心からっていうのは たまにある
肝に銘じて めったにない
全力をつくして いよいよまれである
愛をこめて ほとんどない
?
秘密を隠している沼地は楽しい
蛇と出くわすまでは
そんなときだ 家が恋しくなり
わたしたちが立ち去るのは
幼年時代だけが知っている
あの夢みるような駈け足で
蛇は夏の裏切り
行き先には罠があるので
?
名声は蜜蜂
ぶんぶん歌うよ
ぶすりと刺すよ
ああ しかも飛びまわるよ -
『自分の在り処』と『世界の真理』を探求し続けた人。(注*わたしの印象としては、のハナシ)
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女性がまだ社会進出できなかった時代、
女性であるがために埋もれてしまった偉大な詩人、
注目すべき詩集です。 -
エミリ・ディキンソンの死ぬ1年前の詩が一番好きだった。
【2008年6月13日読了】