わたしは誰でもない: エミリ・ディキンソン詩集

  • 風媒社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833120661

感想・レビュー・書評

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  • 海外詩人で一番好きな詩人、ディキンソン。いくつか詩集は出版されているものの、ちょっと敷居が高めかなと感じていた。
    そんなときに出会ったこの詩集。小さな出版社、訳者もよく知らない人だけど、瑞々しく澄み切ったきれいな言葉が心に響いた。シンプルな詩だからこそ、訳のセンスが問われる。
    ちょっと残念というか個人的な好みだけど、ディキンソンのファンとなるきっかけになった詩の訳がう〜んだった故、星4つの評価。それでも、5つに限りなく近いほどお気に入りの一冊である。岩波文庫版を持っているので、引っ張り出して読み比べてみようかしら。訳者の個性比べで、それもまた面白いかも。
    そして、英語の原詩も載せてあるので、オリジナルを楽しむのもまたよし。韻を踏んでいたり…。ディキンソンの優しい囁きは、訳は勿論、英語で読んでも心に沁みる。
    いつも偶然にも人生の節目節目で出会う、妙に印象に残る詩だなと思うと、それがディキンソンなのだ。これからもまたそんな出会いを期待したい。

  • ◆2008年初版 編訳:川名 澄(きよ) ◆1789篇あるエミリ・ディキンソンの詩から、編者が現代にも通じる普遍性があり、長くても8行までという短い62篇を選んで訳した選詩集。右ページに原文、左ページに訳が収まり、見開きで完結する構成は、読んでいて実にストレスフリーで心地よい。アフォリズムのようなエピグラムのようなタメイキのような言葉の数々。◆白い装丁、空白の多い紙面は、白いドレスの清廉な詩人エミリーのイメージにふさわしい。手元に置きたい詩集。
    ◆心に留めおきたかった詩…水は乾きが教えてくれるF93 脱走F144 ことばF278 わたしは荒野を見たことがないF800 一時間待つのはF884 詩人たちはF930 ひとつの心がこわれるのをF982 神のおこないにはF1192 二月F1193 わたしの小舟がF1250 本F1286 夏のそらがみえるF1491 この世にいてF1609 花ざかりはF1614 夜明けF1647 草原をつくるのはF1779 蛇F1780□

  • 小鳥がいました
    自由を渇望している小鳥です
    永遠でありたい小鳥です

    しかし小鳥の体には無数の糸が絡まっていました
    小鳥は「今」から飛び立ちたい一心で
    嘴を使い糸を断ち切っていきます
    無数の糸は一本、
    また一本と小鳥の体から離れていきました

    ようやく糸が全て無くなった頃、小鳥はもうずたぼろでした
    体に食い込んだ糸の痕が
    断ち切るために無心で突いて抉られた嘴の痕が
    小鳥の羽を、体を血で真赤に染めるのでした

    もう自由を求める事が出来なくなっていたのです

    しかし小鳥は、ある種の永遠を手に入れることとなりました。
    それは幸せでもあり不幸せでもあると思います。

  • ”I'm nobody! who are you?"

    「静かなる情熱」
    http://dickinson-film.jp/
    を鑑賞して、改めてこの作品を読む。

    あの人が・・・と改めて絶句する躍動感あふれる詩
    短い言葉の選び方が凄い
    あのこだわりが彼女の命を縮めたのかも

    P97
    なんてすばやい なんて分別がないもの
    なんて間違いだらけ 恋はいつもそう
    楽しそうなちいさいな神に
    わたしたちは苦もなくしたがう

  • 脈絡無く、時ならぬマイブームのエミリ・ディキンソン。昔、分からないなりに英語で読んでいたのだけど、ふと最近気になり始めて、岩波の英語対訳の詩集をよく読む。

    で、"I'm nobody! who are you?"という表紙の言葉に魅かれてこちらも読んでみる。

    短めの詩、というかほとんど短歌、俳句並みに短い詩を集めてあって、すぐ読めてしまう。実に印象的な言葉が沢山はいっている。

    が、ちょっと訳のトーンが乙女チックな感じかなー。私のディキンソンのイメージは、もう少し硬質で、静謐な感じなので、ちょっとどうかなと思う。

  • 予感とは 影が 芝生に伸びて
    日没を示して

    おどろいている草に告げること
    暗闇が通りすぎるよと

    ?

    一時間待つのは 長い
    恋がすぐ向こう側にあるなら
    永遠に待つのは 短い
    恋が最後に報われるものなら

    ?

    心からっていうのは たまにある
    肝に銘じて めったにない
    全力をつくして いよいよまれである
    愛をこめて ほとんどない

    ?

    秘密を隠している沼地は楽しい
    蛇と出くわすまでは
    そんなときだ 家が恋しくなり
    わたしたちが立ち去るのは
    幼年時代だけが知っている
    あの夢みるような駈け足で
    蛇は夏の裏切り
    行き先には罠があるので

    ?

    名声は蜜蜂
     ぶんぶん歌うよ
    ぶすりと刺すよ
     ああ しかも飛びまわるよ

  •  『自分の在り処』と『世界の真理』を探求し続けた人。(注*わたしの印象としては、のハナシ)

  • 女性がまだ社会進出できなかった時代、
    女性であるがために埋もれてしまった偉大な詩人、
    注目すべき詩集です。

  • エミリ・ディキンソンの死ぬ1年前の詩が一番好きだった。

    【2008年6月13日読了】

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