- Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833417624
作品紹介・あらすじ
鈴木流経営学の強みは、アメリカからの借り物の手法ではなく、ビジネスの最も根本的な部分で、ものごとをどのように捉え、どのように考えるべきかという独自の発想法や思考法をつくりあげてきたことにある。ユニークではあるが、ベーシックな発想と思考に裏付けられた55の金言に、変化の激しい現在のビジネス社会を勝ち抜くための目の覚めるような知恵を見出していく。セブン‐イレブン総帥が語る55の金言にあり。
感想・レビュー・書評
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この本の著者、勝見さんの本は数冊読ませてもらっていますが、この人の分析力は人並み外れたレベルにあると思います。
どの本も、いくつかの事象からのメタ的な洞察力とそれを裏付けるデータ検証なんかをしっかりやっている。理屈が通っていて、みんなが知っている事実について他の人が書いていないオリジナルな観点を加えて書いているので、とても勉強になるなと思います。
一般的にも本が書けるくらいの人は知識のある人たちなのかなと思いますが、同じテーマで書いて他の人と比べられて、その中でも読み手から見て飛びぬけて見えるっていうのはなかなかすごいよなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
①心理学と統計学
②仮説と検証
③客観と直観
④メタ認知
⑤時間軸でトレンドを観察する。
⑥時間軸で輪切りにした断面を見よ。
⑦時間軸で現在から、未来を見、未来から現在を見よ。
⑧先手は、博打。先手より、変化対応力。
⑨金銭と琴線、どちらも重視。
10.先行情報を元に、仮説を建て、発注を実行し、結果を、POSで、確認する。
12.絶対価値と相対価値 -
データの背後にある理由を推定し、仮設を立て、実験してみることが大事だと書かれているように感じた。
統計心理学というよりは実験計画法みたいだなと感じた。
どんな仕事でも仮説と検証が大事なことは確かだと思うので、書いてあることは正しいと思うが、統計というからにはもっと分析の仕方の部分に触れて欲しいなとも感じた。 -
セブンイレブンの実質創業者とも言える鈴木敏文がどのような思考プロセスで今の経営スタイル、セブンイレブンのビジネスを創りあげてきたのかがよく分かる。著者が同じであり、前に読んだ「本当のような嘘を見抜く」と重複するエピソードがあるのは当然といえば当然で、おさらいの意味を込めて読み返すという点でも使える一冊。
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・常識を破らないと感動を伝えられる仕事はできない
制約条件解放型「できない理由」を列挙するのではなく、「できるようにするためにはどうすればいいか」を考える
・流行に乗って商売するとは「飽きられるもの」を売ること
・完売は「売り手の満足=買い手の不満」
・人間は自分が納得しやすい話を創りたがる
・「先行情報」をもとに「仮説」を立てPOSで「検証」する
・売り手から買い手へ、視点を変えると別のデータが見える
X,Y,Zをそれぞれ80, 50, 35個を仕入れ、1日目にZは35個完売、2日間でYは40個売れ、3日間でXは50個売れた
→結果ではXの売上が50個と最も高いが、時間軸を意識すると顧客からすると「Zが欲しいが1日目に無くなってしまったから、他のものを買った」ということになる
・同じデータ、情報でも「分母」を変えると意味が逆転する
同じ25℃でも、分母が夏なら「寒い」となりおでんが売れ、冬なら「暑い」となり半袖が売れる
・問題意識を持っていないデータは、データなどと呼ばせない
・自分の都合の良いように、数字のつじつま合わせをするな
自分にインプットされた「因果関係」を壊す
・経営とは過去の成功体験を壊し、新しいものを創ることである -
セブンイレブンの優位性の理由がよく分かる本。様々な工夫を仕掛けている。でも鈴木さんのヒューマンパワーによるところが多い。この人亡き後にセブンイレブンは他者との差を維持できるのだろうか?さらに、個人的には小売業は合わないなと思ったわー。小売りは絶対やらない。
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「仮説」と「検証」で顧客のこころをつかむ
過去の経験や実績に縛られていては、これからの小売やビジネス全般で生き残れない・・
鈴木敏文の経営哲学は統計学と心理学に裏づけられている。夏に売れるおでん。低価格路線の中の高級おにぎりヒットなど。
「店舗視察はするな」という過激な論もあるが、その真意は「マネごとではだめ」「今」の顧客が何を求めているのかを研究することを意味している。
(ほんとに行っちゃだめなのかも知れないが)
単品管理は海外のビジネススクールでも「タンピンカンリ」という単語があるくらいだ。死に筋撃退、ABC分析の落とし穴も面白い。「おいしいもの=飽きるもの」というパラダイムの転換。非主流の発言だが一方で心理=真理をついている。現代小売業経営者のなかでも尊敬できる経営者の一人だ。
10年ほど前までは、2000坪規模の店舗が一番効率よかった。それが今は2倍の4000坪クラスが最も利益を上げている。4000坪の店舗は比較購買できるほど品数を揃えることができるが、2000坪のほうは中途半端で魅力に乏しくなったからだ。(p51)
資本主義社会では何によって成り立っているかと考えると、根源的には人間の欲望(心理)です。(p75)
日本は「多様化の時代」であると考えるのは「本当のようなウソ」で、実態は「画一化の時代」である。(p92)
商品サイクルが、“富士山型”から“茶筒型”へ変わってきた。
現場主義(ミクロ目線)はデータ主義(マクロ目線)よりも正確な戦略を描けない。(p118)←ex)店舗では50歳の客が多いが、実際の商圏は30〜40歳が中心。
セブンイレブンは「相対価値」でなく「絶対価値」を追求する。(p145)
毎週火曜日は全国のOFCを東京に集めフェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションをとる。この経費は絶対に削らない。 -
【内容】
セブンイレブン会長兼イトーヨーカ堂社長の鈴木敏文氏の経営を分析。なぜセブンイレブンは一店舗当たりの平均日販が66万円と他大手コンビニ平均を20万円近くも引き離せるのか。鈴木氏の経営学の大きな特徴は、経営を「経営学」ではなく「統計学」と「心理学」で捉えるところにある。55の金言を収録。
<<目次>>
1.鈴木敏文はどのように意思決定しているのか
2.商売は「経済学」ではなく「心理学」で考えろ
3.半歩先を読む鈴木流「統計術」の極意を学ぶ
4.鈴木流「場のつくり方」を学ぶ
5.現場の社員たちはどのように鈴木流経営学を実践しているか
【ポイント】
・最大の競争相手は同業他社ではなく、目まぐるしく変化する顧客ニーズである。売り手市場(モノ不足の時代)だった頃は、柳の下にドジョウが2匹も3匹もいたからある人がそこでドジョウを取ったら自分もそこで取るということが通用していたが、今は柳の下にドジョウが1匹いるかどうかの時代なので、ドジョウがどこにいるのか自分で探さなければならない。今は物まねの時代ではない。自己差別化が重要である。競合他社と比較し「相対価値」の追求をするのではなく、自分たちが作りたいものを作り、売りたいものを売る「絶対価値」を追求することが重要。
・買い手市場の時代には、すべてが顧客の心理抜きには考えられなくなっている。
・ものごとは常に「客観的」に見なくてはいけない。自分の頭の中に「もう一人の自分」がいて、今の自分の思考を、もう一段上から客観的に見て判断する(=メタ認知)こと、つまり一歩下がって見る事が重要である。
・今は「多様化の時代」ではなく「画一化の時代」である。商品のライフサイクルがどんどん短くなり、次から次へと新しい商品や流行が出ては消えるから、一定のスパンで見ると多様化のように見えるだけであって、ある時点を捉えると画一化している。例)女子高生のルーズソックスや、みんなが同じブランドを持つ
・過去の経験に縛られてはいけない。“昨日の客”ではなく“明日の客”をいかに満足させるかが重要である。
・商品の売れ方について、かつては徐々に売れ始め、ピークに達してからまた徐々に売れ行きが落ちていくという“富士山型”だったが、現在は、一気に売れ始めすぐにピタッと売れなくなる“茶筒型”に変わってきている。売れ筋、死に筋をすばやく見極めることで、チャンスロス、廃棄ロスをなくす必要がある。
・データを見るときは問題意識を持たないと何の意味もない。
・「サプライサイド」ではなく「ディマンドサイド」からものごとを見ることが重要である。売り手側の都合ではなく、消費者がどうしたら一番満足するかを考えるべきだ。
・アフォーダンス(あるモノをどうやって取り扱えばいいのかメッセージを使い手に発すること)がはっきり打ち出せる商品は強い。 -
・仮説があり、それを実施してこと統計結果の意味がいきていく。
・マクロを見てミクロに落とし込む。現場も大切だがもっと広いマーケットを見ることはもっと大切。
・データ分析をする際は、時間軸と売れるまでの時間も読み取ること。
・データの分母を変えると意味が変わってくる。
・経済拡大期の時は売上をおっていけばよいがデフレの時は利益を追っていかなければならない。何か失敗した時の余力を残すことが大切。
・不景気だから物を買わないのではなく、有効的に利用したい。
・物事を陰陽両面からとらえる。(販売サイド=顧客サイド)
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仮説と検証を繰り返す事が、顧客のニーズの深いところを知るための最良の術だという事を認識させられた。顧客のニーズだけじゃなくても、何においても、データを元に、間違ってもよいので自分なりの仮説を立て、それを検証する。失敗したら、何故失敗したかを考えてまたトライする。所謂精神論だけではない、鈴木敏文の考え方に納得。