成功は洗濯機の中に―P&Gトヨタより強い会社が日本の消費者に学んだこと

著者 :
  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833418850

作品紹介・あらすじ

アリエール、パンパース、ジレット、ファブリーズ、SK‐2…。100円台の商品群で、営業利益率はトヨタの2.2倍。7年で売上倍増、利益3倍、年平均EPS+12%。超優良企業の顧客戦略を徹底解明。

感想・レビュー・書評

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  • P&Gという巨大な世界企業をCEOのラフリー氏が
    改革していった軌道について書かれた本です。

    P&Gの規模ですが、
    ・売上 9.4兆円
    ・営業利益 1.9兆円
    ・時価総額 25兆円
    ・売上10億ドル以上のブランド数 23個
    ・160カ国で30億人の消費者が使用

    半端ねえっす。額もすごいですが、営業利益率20%!!

    本書は2000年頃にラフリーCEOがこのような巨大な企業を建て直した方法を
    詳細に調べた内容が記載されています。

    その中で特に興味をもったのは、
    「どこから改革を始めるのか」という点でした。

    本書によれば、やはり「トップのリーダシップ」が必要で、
    その意思が従業員に伝わることから始まるということが書かれています。
    (ラフリー氏のCEO就任と同時に「私の10か条」というものを配布したようです)

    その中で特に強調されていたのが、
    「消費者がボス」という認識を徹底することであり、
    P&Gのブランドの製品を「製品の購入」と「製品の使用」という
    2つの消費者が製品に接触するタイミングで勝利するということでした。

    また、ビジネスの根幹を「ブランド」単位にしているのも印象的でした。

    ブランド単位にすることにより、ベクトルをブランド価値の向上に集中することができたと思います。
    具体的には「GBU(グローバル・ビジネス・ユニット)」、
    「MDO(マーケット・ディベロップメント・オーガナイゼーション)」と大きく2つに分け、
    GBUはブランドの戦略を展開すること、より端的にはブランドに共通する消費者のニーズを理解して、新製品を開発・発売することがタスクです。
    MDOは従来の「営業部隊」に近いイメージですが、商品の消費者への価値伝達に関するミッションを負った組織といえると思います。(広告や企画なども含まれます)
    つまりGBUは「製品の使用」のタイミング、MDOは「製品の購入」のタイミングに対し責任を負うというイメージです。

    これを自社に当てはめると、
    大前提として「ブランド」の概念が成立していないといけないわけですから、やたらと新製品が次々でて、商品のラインナップが拡大し、
    開発費・販管費の増大&成功率の低下ということは仕組みとして生じにくくなると思います。
    従って、MKT原資がより集中して使われることで、広告宣伝費・物流費・開発費等々あらゆるコストが集約に向かうというサイクルが描けるように思います。

    次に、ラフリー氏の改革の面白いところは、技術分野についても社外リソースを積極的に使うことを奨励したことです。
    メーカーであれば自社の独自技術を差別化のポイントとするのが常道でありますが、テクノロジー・インの時代でなく、コンシューマー・インの時代になったことから、使える技術の組み合わせにより新しい価値を作り出すことにより、イニシャルコストを抑えたまったく新しい価値を持った製品を送り出すことが可能となっています。

    他、インド等への進出時のエピソードや成功要因などの整理がされておりますが、個人的に印象深かったのは上記の内容です。

    しかし、、やはりトップの覚悟と先見性は必須事項ですよね。ゴニョゴニョ。。。。。。。。

    1600円どころの価値じゃないですので、ぜひ読まれることをオススメします。

  • あとで書く

  • 成功は洗濯機の中に―P&Gトヨタより強い会社が日本の消費者に学んだこと ...... 力 ...... 力にある。 ...... ・ブランドマネジメント
    ブランド力(魅力)は機能性価値よりも感覚性価値の方が高い。差別化=技術的優位ではない。その責任者としてブランドマネージャーがいて、消費者のことを知り尽くしている。ブランド別会計は必須。
    ブランドマネジメントのためには、まず社内システムを変え、ブランドマネージャーを育成する必要がある。

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  • 消費者の理解を中心に据えて、イノベーション、メガブランド構築、企業規模、市場展開という4つの強みを構築
    消費者を理解しようと考えず、相手をありのまま受け入れるところから入る
    消費者ニーズを考える際に、消費者とは誰かを改めて考え、消費者が買っているものはモノではなく、その製品から派生する便益であることを忘れないようにする

  • 1回目2009年4月
    2回目2009年8月

  • 著書の元勤務先の自画自賛が文章にでていて、出だしが非常に読みずらかった。中盤以降P&Gの組織、P&GがM&Aでどう大きくなってきたのかの説明は分かりやすく、就職の会社研究には役立つのではないかと思う。

  • P&Gのマーケティングに留まらず、会社の仕組み・ポリシーなどを紹介したもの。目新しさはないものの、違いを再確認できた。

  • "Consumer is Boss" ...I have heard it recently.

  • マーケティング世界一と呼ばれるP&Gについて

    年間売上10億ドルを超えるメガブランドを多数抱えるP&G
    さらに利益率も他社と比較にならないほどの高さ

    なぜP&Gはこんなにも他社を凌駕しているのかをP&Gのブランド戦略に着目して分析しています。(著者は元P&Gのブランドマネジャー)

    ユニークな点
    ブランドごとに一つの会社のようなユニットを作っている
    グローバルな商品戦略担当と現地での販売戦略担当の分離
    『消費者がボス』という考えの徹底

    ブランドが消費者に認識される2つの瞬間
    1 店頭で商品を買ってもらう瞬間 (感性)
    2 家庭で商品を実際に使ってもらう瞬間 (機能)
    これらの瞬間で消費者に大きな満足を与えることでロイヤルカスタマーを獲得していく。

    ここまではP&Gのセミナーでも聞ける。

    さらに掘り下げて
    自社で技術を開発してその特性を活かした製品を作ることから他社技術を利用して製品を作ることを始めた。 社内8000人の技術者だけでなく社外15万人の技術者の力を利用する。(connect and development)
    (前者のような花王とは対照的だ。他社技術だからこそ、開発期間を短く、またコストをかけずに商品を投入することができる。)

    技術力(つまり機能性)に頼るのではなくアイデアイノベーションを目指す(レノアの導入)
    デザインの重要性を認識(Chief Design Officerの導入)
    消費財購入の8割が女性であることを意識して考える
    発展途上国への商品展開(高機能、高価格ではなく、現地に合わせた形での販売。あえて古い技術を入れてコストを下げつつ利益を確保する。)

    機能以上に感性に働きかける宣伝広告、パッケージング



    消費者の視点で考えるのがマーケティングというのは誰もが知っている。しかし、これを実際に狙って実現できるのがP&Gの強さなのだろう
    (メガブランドの構築力がP&Gのコア コンピタンス)
    最近はプライベートブランドの台頭で多くのメーカーが売上減少に苦しんでいるが、そんな流れだからこそ、ブランド力のある商品の開発が必要なのだろう。
    機能性を全面に押し出す日本のやり方では到底受け入れられない。(家電や携帯電話を見ればよく分かる。)
    P&Gの盗めるところを盗んでいきたいものだ。

  • 石鹸はキレイキレイ(ライオン)
    シャンプーはエッセンシャル(花王)
    ひげそりはShick(Shick)
    洗剤はアタック(花王)
    消臭剤はリセッシュ(花王)
    を使う俺がP&Gに詳しくなった!

    -my bookdarts-
    消費者が「購入決定をする瞬間」と「使用経験から判断する瞬間」の,「二つの決着の瞬間」で必ず勝つこと.

    特に女性は,どんな商品カテゴリーであっても,一応,香りを嗅いで確かめてから買う習性が見られる.

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