トレードオフ―上質をとるか、手軽をとるか

  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833419369

感想・レビュー・書評

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  • サブタイトルにあるように「上質」をとるか、「手軽」をとるかの指南書
    そのどちらでもない状況を「不毛地帯」と呼び
    そのどちらも手にしようとすれば「幻影」となる
    本書でしつこいくらいに説いているのがそのトレードオフ(二者択一)であり
    上質かどうか、手軽かどうかの基準は、テクノロジーの進歩によって絶えず引き上げられていく

    興味深いのは電子書籍も電気自動車も新しい産業の始まりは手軽とも上質とも呼べない不毛地帯からのスタートであったこと

    本から離れ現在の吉野家・すき家・松屋による牛丼値下げ戦争は手軽の戦いと言えます
    どこか一社でも上質への経営転換をしない限り牛丼業界は不毛地帯から脱出しないのではないか?

    検索エンジンで見ると
    Yahoo!はホームページから知りたい情報を網羅しています
    Googleは検索窓ひとつだけの極めてシンプルな構造でしかない
    そのどちらにも住み分けがキチンと出来ていて新しいイノベーションを見つけない限り他社の付け入る隙がないのである

  • 上質か手軽か。上質とは愛されることであり、手軽さとは必要とされることである、との言は蓋し至言と言える。ポーターの集中/差別化/低価格化の競争戦略が言及されることが多いが、直感的に異業種間競争を考える際にはこちらのフレームの方が実用的と感じる。

  • 上質さと手軽さ。
    目指すべか方向のヒントが沢山盛り込んであります。

  • 自社サービスに照らしながら考えると面白い。なぜこんな機能がないのか、上質さあるいは手軽さがないのか、これらがトレードオフにあり、両立を目指しても互いに打ち消しあう。対処としてはブランドを分けることが想定される。

  • 手軽か上質=「必要とされる」か「愛される」か
    非常に面白い。
    訳者がブルー・オーシャン戦略の訳者ということもあり何か通じるものを感じる。

  • 世のサービスは、上質か、手軽かの2つに区分され、どちらに振れるかでビジネスの成功と失敗のカギを握っている。事例とともにそれぞれが語られており、納得度が高い内容。

    ・消費者は絶えず上質か、手軽のどちらか一方を選びとっている。

    ・テクノロジーの進歩はこのどちらも押し上げていく。

    ・上質さも手軽さも秀逸ではないサービスは不毛地帯に追いやられる。

    ・上質さと手軽さ両面で卓越するのは不可能だ。

    ・上質の頂点→iPhone、
    手軽の頂点→ウォルマート。

    ・上質さと手軽さをめぐるほかの条件が同じ場合、社会的価値を加味することでサービスへの期待があがる
    (iTunesは自分一人で聞くから高いと思うが、着メロは人に聞かれるのでたかいとは思わない)

  • 上質と手軽さ。シンプルな判断基準は参考になる。自分自身に対しても。

  • ビジネスでは上質をとるか、手軽さをとるか、はっきりさせないと成功できない。上質か手軽さかどちらともいえない曖昧なものは不毛地帯から抜け出せなくなり、その両方を求めてしまうと中途半端におちいり、計画は頓挫してしまう。本書はそんな上質と手軽さのトレードオフのコンセプトを、著者の豊富なリサーチと分析をもとに上手く説明している。

  • 卓越した人びとは、慎重に考え抜いた上で難しい選択をする勇気を持ち合わせた上、” 何もかも出来る ” などという錯覚に陥ることなく、自分が抜きん出ている可能性のある分野に力を注ぐ、上質を取るか、手軽さを取るか、非常に学びの多い1冊です。

  • 自社の製品、サービスを上質と手軽に分けることで、ポジショニング戦略を明らかにした著書です。

  • 「中途半端」は、なにかにつけて
    あまりいい結果を得られないことが
    多いですね。


    本日ご紹介する本は、

    「上質」と「手軽」について、
    成功するためには、とちらか一方に
    狙いを定めて、懸命に努力する必要性を
    論じた1冊です。


    ポイントは
    「トレードオフ」

    トレードオフの意味は、
    一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ない
    ということ。

    本書では、「上質」と「手軽」は
    トレードオフの関係であると明言しています。

    上質とは、質はもちろん、経験全体を極めていること。
    手軽とは、望むものの手の入れやすさを言います。

    では、なぜ成功するためにどちらか一方に
    狙いをさだめないといけないのでしょうか。


    「不毛地帯」

    上質さと手軽さ、どちらも秀逸ではないものを不毛地帯といいます。
    人々は上質さと手軽さを引き比べてどちらか一方を選びます。
    そしてどちらかひとつの軸で一番になれば市場に君臨できる。

    上質か手軽どちらを取るか明確にして、
    懸命に努力することが重量です。


    「手軽」

    手軽さは、望む結果につながりやすいほど、
    また、便利であるほど高まります。
    価格こそ手軽さを実現する切り札です。

    手軽であるためのルールは「簡単に使えなくてはいけない」

    手軽さで勝負するには、お客が集まるまで長い期間を要するので
    骨を折る覚悟をしたほうがいい。


    「上質」

    上質を極めると貴重なニッチ市場を押さえられるが、
    長くとどまるのは難しい。

    上質の頂点に君臨し続けるには、
    長期的な視点での発想と継続的な投資や努力が欠かせません。

    一度上質を極めても、油断していると、
    すぐに競合が追いついてくるからです。


    ビジネスの方向性を考えるのに
    たいへん参考になる、お勧めの1冊です。

    ぜひ、読んでみてください。



    ◆本から得た気づき◆
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    不毛地帯=上質さと手軽さ、どちらも秀逸ではないもの
    上質の頂点と手軽の頂点=どちらかひとつの軸で一番になれば市場に君臨できる
    手軽度=望む結果につながりやすいほど、便利であるほど高まる。価格こそ手軽さを実現する切り札
    手軽をきわめた商品は、利幅は薄いが大量に売れる
    手軽さで勝負するには、長い期間、骨を折る覚悟をしたっほうがいい=すぐにはお客は集まらない
    不毛地帯から抜け出す方法=上質か手軽どちらを取るか明確にして、懸命に努力すること
    商品の成否は、競合と比べた優劣で決まる=上質さと手軽さ、どちらかでライバルを打ち負かせるかどうか
    上質か手軽のどちらか一方だけが重視され、その反対の位置がぽっかり空いている状況は、大きなチャンス
    偉大なる企業は、自社が世界一になれそうな分野に徹底的に注力する
    「中途半端はダメである」
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆目次◆
    第1部 上質と手軽の天秤
    1 上質か手軽か
    2 取拾選択
    3 不毛地帯と幻影
    4 カメラ付き携帯の衝撃)
    第2部 勝者と敗者
    5 上質の頂点
    6 手軽の頂点
    7 奈落
    8 最悪の選択
    第3部 二者択一の決断
    9 イノベーション
    10 破局
    11 光明
    12 戦略
    13 あなた自身の強み
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆マインドマップ◆
    http://image02.wiki.livedoor.jp/f/2/fujiit0202/476628ea3e29c1fb.png
     

  • 「上質」か「手軽」かで、かなりのことが説明できるシンプルさがスゴイです。加えてケーススタディが最近のものが多く、共感できるものが多く、好印象です。迷ったら、まずは「上質」なのか「手軽」なのかを自問して、間違っても両方を取りに行くような強欲さは通用しないと肝に銘じます。

  • 上質さと手軽さのトレードオフ、それだけ聞くとどこにでもある何かの比較を取り上げただけ、と思われるかもしれないが、読んでみると単純ではない、核心をついた比較であることがよくわかる。
    実例を取り上げながら、上質さを人に愛されるか、手軽さを人に必要とされるか、と具体的に言い換え、そのどちらかに秀でていなければ不毛地帯に陥り、誰からも愛されない、必要とされないものになっていく、と述べられている。
    実例がアメリカの企業ばかりであるので、馴染みがない企業も多く、ピンと来ないものもあったが、この命題を証明する十分な解説がされてある。
    読みながらこれは企業の戦略だけでなく、個人の戦略についても言えるのではないかと思っていたら、最後の章でそれが述べられており、自分自身の強みを活かせ、と書かれており、これは企業、個人だけではなく、国の戦略としても考えるべき視点であるとされている。
    この本の解説があの早稲田ビジネススクールの内田和成さんだということを知らず、最後まで読んで気づいて驚いたのであるが、この解説がやはり大変わかりやすく、また日本企業を例に挙げて述べられているので、短いながらもポイントを抑えた大変良い解説になっている。
    一つ残念なことは、実例であげられている事情に詳しくないからか、実例を読み終わって解説されるまで、その事例が成功例なのか失敗例なのか分からず、心構えが出来なかった、ということである。

  • 「上質」と「気軽さ」の対立する2つの基準をもとに、さまざまな事業を取り上げて説明している。

  • 1、上質さを構成する要素
     =経験/オーラ/個性。個性は他の人に自分らしさを伝えたい!というもの。つまり周りから輝いていると見られるのに役立つ=我々は上質と見なす
    2、手軽さで勝負するなら、長期間の骨折りを覚悟する。手軽さ受けするにはマスマーケットから受け入れられる必要があり、そのためには大量販売が必要。
    3、上質な商品がいくつもある場合、そのうちで最も手軽なものが選ばれる。逆に手軽の軸上で複数商品が並ぶと、その中で上質さが一つ抜けているものが顧客の心をつかむ。ここに差別化やイノベーションの本質がある。「ほんの少し」質を高めると勝てる。
    4、①テクノロジーの進歩を見落とさない
    ②商品の成否は目新しさ/トレンドではなく、上質と手軽のさじ加減で決まる。③上質と手軽をどれだけ重視するかは顧客層によって異なる(老人と若者の手軽は違う)
    ④商品を小さく生むと小回りが利くのでテクノロジー、他社動向に対応しやすい。

  • 「トレードオフ」というタイトルから、どちらか一方だけを目指すのは1.5流であり、超一流を目指すのであれば二律背反(トレードオフ)の克服をしなければならない、といった主旨の本かと勝手に推測していましたが、真逆でした。
    上質と手軽の二兎を追うのはあくまで幻影であり、それを成し遂げることはできない、よって、どちらか一方に秀でない限り勝ち残ってはいけないというのが本書の主旨。沢山の身近な事例からそれが納得させられる。
    「上質」とは「愛されること」、「手軽さ」とは「必要とされること」と分かりやすく違う表現でイメージを想起されているところも良い。
    自分の企業が今お客様からはどう見られていて、何を買って頂いているのか?それをきちんと見極めたうえで、また、テクノロジーの進化によって軸の難易度が変わってくるため、常に外部環境変化にも意識するのことの重要性を認識させられた。
    改めて、自組織内で読書会をやって意見交換をしたい内容であった。

  • 物事を「上質」と「手軽」という断面から考察すると色々なことが見えてくる。本当に見えてきた。ジム・コリンズのビジョナリーカンパニーとあわせて読みたい。こんなシンプルなことなんだが・・・難しい。

  • 読み始めるまでは、ブランディング戦略の一部を体系的に纏めただけと思ってたが、実際はブランディングとは別のマーケティングの概念を纏めた本だ。

  • 読んでて知恵熱が出そう。
    あくまでも相対論として上質・手軽が問われてる。
    例えば、マクドは商品の価格を上げず商品の品質を上げることはさらなる手軽につながる。これは上質を目指しているようで相対的には値下げにつながっているからだ。その事で上質のオーラと手軽さの両方をまとったipodのような奇跡を見せるなどと自問自答してしまう。知恵熱でそうだけどおもちろい。

  • 以前から気になっていたので読んでみたのだが、なかなか面白かった。
    上質×手軽という非常にシンプルなコンセプトであるが、
    これは結構ほとんどの業界にあてはまりそうな話である。
    もちろんこの2軸以外にもいろいろな視点はあるだろうが、
    まずこの2軸でどちらを目指していくのか、
    そう考え始めることは有意義な気がした。

    この本のエッセンスとしては、
    解説のところで内田和成早稲田大学教授が述べているとおり、
    上質か手軽かどちらかを選択するべきで、中途半端ではいけない、
    ということになるだろう。
    得てして、両方を求めたがるものであるが、
    そう簡単にいくものではない。

    そう簡単ではない事例として、
    スターバックスやCOACHの例などが語られており、
    それらの事例は確かになと納得できるものだった。

    シンプルで使い勝手のいいフレームな感じで、
    いろいろなヒントは詰まっていると思う。
    ただ、ではどうしたらいいかという答えは特に書かれていない。
    低価格戦略に対して、上質路線で対抗するのか、
    より低い価格での価格戦略で対抗するのか、など
    ピープルエクスプレスの事例などが挙げられているが、
    では、どうすればよいのかという点は自分で考えるしかない。
    (まあ、当たり前か)
    ちなみにピープル・エクスプレスは
    グロービスのクリティカル・シンキングのネタにもなっており、
    この企業名が出てきたときには、
    グロービスに通っていた頃を少し思い出した。

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