なぜ、20代女子社員は超ヒット商品を生み出せたか ― 「キリンフリー」大成功に学ぶ仕事術

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  • プレジデント社
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784833419925

感想・レビュー・書評

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  • 大ヒット商品「キリンフリー」の開発の舞台裏を描いた本。

    実は、主人公の開発者である梶原さんの講演を2度聴いたことがあり、正直、本にはあまり期待していなかった。既知の情報ばかりであろうと。

    よい意味で裏切られました。本書は、タイトルにある通り「20代女子社員」がヒット商品を生み出す為に必要な資質(本人)、組織体制、開発プロセス等をきっちと棚卸し(形式知化)することで、単なる美しい成功物語ではなく、再現性のあるケーススタディとして価値ある1冊となっています。

    当然、梶原さん自身の能力や努力があってこそであることは大前提として、そのポテンシャルを見抜き、プロジェクトの成功以上に本人の成長を意識して、場を与え、バックアップ体制を固めると共にリスクを取ったマネジメント(恐らく佐藤章氏)の勝利であると改めて思いました。

    本書で「波がキター」と表現されていること、これは自分自身の実感ともオーバーラップします。つまり、成功する商品は適切なタイミングで適切な人のサポートが得られ、運も味方し、良い方に、良い方に転がっていく。あらゆる職能&レイヤーのメンバーそれぞれが、欠かすことのできない貢献を行い、「関わった感」を強く持つことで自分事化できている。

    開発の現場は、常に時間に追われていて、ともすると型にはまった「こなし仕事」になってしまうリスクと常に隣り合わせ。同社のマネジメントは、そこを良く理解していて、ルーティーン業務を持っていない若手を主担当にして、開発初期の目標設定時に「何の為にやるのか?」を徹底的に議論し(本書で言う「壁打ち」)、「想い」が自然にこもるような仕掛けを作った。

    そして、「成功したい」という意欲が強く、素直でフットワークが良い梶原さんの「巻き込み力」を見抜き、主担当として中心に据えることで、「幸せな化学反応」が起こる舞台装置を整えた。そして、主担当をサポートするミドルマネジメントを局面ごとにキャスティングし、難局を打開していった。

    本書から学ぶべきは、まさに、このマネジメント。この構造を転用できれば、若手を活用しつつ、育成するというポジティブ・ループを回していける。

    佐藤章氏の著書「ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦」を併せて読むと理解が深まるのでお奨めです。

  • もう20代じゃないが、商品開発のことは初心者だったので

    商品が開発されていく流れや
    商品を企画していくときに必要な心構えなど
    現実的なエピソードが多くとても勉強になった

    商品を世に知らしめていこうとするときは
    信念が大事なんだな

  • とても読みやすかった。1つのプロジェクトがどんなプレイヤーの、どんな思考で進んでいったのか?が分かるのはとても貴重。また、同世代の女性の活躍に刺激をうけた。

  • キリンフリーという商品の開発秘話がまとめられている本。今までなかったニッチな分野に入っていくということ、またそれをヒットさせるということについてがまとめられている。

  • 入社から発売までの時間軸に沿って、インタビュー形式で当時の状況が語られている。

    商品を開発するとき、いちばん大事なのは「想い」である。

  • 【要約】
    『旅立ち』梶原さんは上司と「想い」を共有し、「お酒と人の関係を変える」というコンセプトと「クルマと生きる人類へ」といったヴィジョンを導きだす。
    『試練』トップとボトムでは視野が違い、その両方を包み込めるコンセプトなり、コピーなりが見つからなかった。
    『帰還』「ゼロが3つで“だんご3兄弟”みたいでいい」とひとつ飛んだ次元で「世界初 アルコール0.00%」というコピーが生まれた。トップもミドルもボトムもこれを共有し、それぞれが連結し合ってキリンフリーは市場にデビューし、爆発的なヒットを記録した。
    【考えたこと】
    多くの人に受入れられるようなモノを生み出すことは並大抵のことではないと思う。特にモノが溢れかえっている今の時代において。自分はもともと新商品とか流行とかにどちらかといえば興味がない人間だったから、尚更難しく感じる。しかし、そんなことは言ってられないし、何とかカタチにしていかなければならない。発想やひらめきといったモノは努力というよりもセンスなんじゃないか、と思っていたが、いい案はやはり考え抜かれた先にあると思う。もちろんただ闇雲に時間をかければいいというわけではないが、質は量から生まれるのだと思う。スポーツの世界でいう量質転化。何千回何万回と基本の型を繰り返すことによって量質転化をおこし、一生使えるワザとなる。そのワザは一度自転車に乗れると一生乗れるようになるのと同じ原理で、身体がその動きを覚える。だからこそ、上手に基本を設定する必要がある。そして、それを慎重に鍛えていき、一生使えるような資産としていきたい。じゃあ自分は毎日どんな習慣を続ければいいのだろう、と日々考える。自分が将来どんな風になりたいかをちゃんと考えておくということが大事で、そのために今どんなことをすればいいのかをしっかりと考えていかなければならない。毎日毎日遅くまで働いて大学時代に比べてゆっくり考える時間がめっきり減った。このままよく考えもせず、眼の前の仕事をこなすだけだったら、誰の人生を生きているのかわからなくなってしまうと思う。野球で学んだのは「ごたくはいいからどうやれば自分がレベルアップするのかということを日々考え続けること。」であるから、冷静に自分を振り返って、どうなりたいのかを慎重に考えつつ、日々頭をクリアにしながら精進していきたい。「こんなことを言ったら笑われる、能力がないと思われるといった及び腰の姿勢は自分が本来持っている力を逆に弱くしてしまいます。自分を素直にぶつける。」

  • 最も参考になったのは、「商品を情報化させる」、「顧客は商品を情報で買う」というフレーズでした。

    今自分が進めているプロジェクトについて、いくつかヒントも得られました。

    インタビュー形式で読みやすいですし、何より若手社員が本書を読むと勇気づけられるんじゃないかと思います。

  • キリンフリー誕生秘話。
    この手の本にありがちな苦労話ではなく、その時その時がどのような心理状態だったのか、よくわかる。

    12/02/29-27

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著者プロフィール

ジャーナリスト
1952年生まれ。東京大学教養学部教養学科中退後、フリージャーナリストとして経済・経営分野を中心に執筆。企業組織経営・人材マネジメントに詳しい。

「2020年 『共感経営 「物語り戦略」で輝く現場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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