ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- プレジデント社 (2012年7月28日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
- / ISBN・EAN: 9784833420167
作品紹介・あらすじ
「食えるだけの仕事」から「意味を感じる仕事」へ
「忙しいだけの仕事」から「価値ある経験としての仕事」へ
「勝つための仕事」から「ともに生きるための仕事」へ
感想・レビュー・書評
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リンダ・グラットンが長寿化社会、日本へ語る。一人ひとりが「社会の開拓者」になるために | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/41088/1/1/1
働き方はどう変わる? リンダ・グラットン著「ワーク・シフト」書評|@人事ONLINE
https://at-jinji.jp/blog/10486/
『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と未来を迎えるべきではないのか」(上) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://www.google.co.jp/amp/s/president.jp/articles/amp/7240%3fpage=1
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多くの人に勧めたい良著。非常に面白かった。
グローバル化、技術革新、環境問題、高齢化、等々の急速な変化により、仕事・働き方がどのように変わるのか、分析した本。
これら変化のメリット、デメリットが色濃く反映された、具体的な未来のシナリオ(仮想)がいくつか描かれている。そして、これから変化に対応するため、変化をチャンスに変えるため、どう行動すべきか、述べられている。
未来のシナリオは、ある意味、かなり恐ろしいけど、避けては通れない。「それなら、精一杯、楽しもう。変化をアドバンテージにしよう。」という著者のメッセージ。
考えさせられる。自分としっかり向き合ってみようと思える。 -
大量消費・給料のモノサシから、情熱を傾けられる経験へシフトする。非常に共感。
選択的認知か、似た論調をみんな最近の著書で見かける。本田直之、酒井穣、小倉広、西村佳哲、、など。
13年後、遠いようで近いのか、今からは想像もできないようなことは書かれていない。それだけにリアル。 -
これからのキャリアを考えるにあたって、どのような潮流があるかを知ろうと思い拝読。本書では大きく3つの”シフト”をしていかなければならないと述べられている。
1.ゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきである。
2.職業生活とキャリアを成功させる土台が個人主義と競争原理であるという常識を問い直すべきである。
3.どういう職業人生が幸せかという常識を問い直すべきである。
なぜ、このような”シフト”が求められるかは、未来を形づくる以下の要因によるものである。
1.テクノロジーの進化(主にインターネット・デジタルの進化)
2.グローバル化の進展(人口バランス、貧富格差の問題)
3.人口構成の変化と長寿化(労働人口構成の変化)
4.社会の変化(ワークライブバランス意識の向上)
5.エネルギー・環境問題の深刻化(エネルギーの枯渇と持続可能性)
本書では、こういった変化に伴う世界の未来がストーリー仕立てで描かれている。
2部・3部ではそれぞれ最悪の未来と望ましい未来の予測が述べられた後で、4部にて働き方のシフトが述べられている。
特に考えさせられたのが、この4部の内容である。
仕事の世界で求められる3つの資本がある。知的資本(=知識と知的思考力)・人間関係資本(=人的ネットワークの強さと幅広さ)・情緒的資本(=自分自身について理解し、自分の子なう選択について深く考える能力・勇気ある行動をとるために欠かせない強靭な精神をはぐくむ能力)である。これらの資本に関連して、冒頭で書いた3つのシフトが対応する。
<知的資本>
グローバル化が起こると、相当熟達した人材を適時に登用することも不可能ではなくなるため、たとえ幅広いものであったとしてもある程度の知識・経験では、歯が立たない時代がやってくる。そうなったとき、いくつかの専門技能を連続的に習得していく能力が求められてくる。合わせて、この能力を外部に押し出していくためにセルフマーケティングの能力も求められるである。
また、漫然と専門性を身に着けようとするのではなく、未来においてどういったスキルのニーズが高まるかも想像したうえで、その技能型の技能より高い価値を持つというのはどういう場合かを考えることが大切である。要は、①その技能が価値を生み出すことが広く理解されているか、②その技能の持ち主が少なく技能に対する需要が供給を上回っているか、③その技能が他の人に模倣されにくく機械によっても代用されにくいかを考えることが重要である。なお、そのうえで自分の好きなこと(仕事と遊びの境界線をあいまいにしても苦でないこと)を選ぶことも欠かせない(得意×好き=本当にやりたいこと、というのは『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』を参照)。
このシフトで特に気になったポイントは、「カリヨンツリー型のキャリア」というものである。これは、仕事に打ち込む期間と余暇や専門性向上のための期間を明確に区切りながら、キャリアを形成していく方法である。上記のように際立った専門性が求められる時代においては、まとまった時間が必要であるため、このような働き方が主流になってくれると自分としてもうれしい。
<人間関係資本>
日本でいえば、高度経済成長期のように孤独に競争しあうことで自然にパイが拡大していったような時代もあったが、今後はこのような状況を前提にするとうまくいかないことが増えてくると予想される。では、今後はどのようにすればいいかというと、ほかの人たちとつながりあってイノベーションを成し遂げることを目指す姿勢にしていくべきということになる。このことはある意味で、『人口減少社会のデザイン』で述べられていたことと通底するところがある。
そのために必要なコミュニティとして、①ポッセ(=声をかければすぐ力になってくれる面々の集まりで、比較的少人数のグループ)、②ビッグアイデア・クラウド(=自分の人的ネットワークの外延部にいる人たちで構成されており、比較的大規模なグループ)、③自己再生のコミュニティ(=現実の世界で頻繁に会い、プライベートでくつろげる時間を過ごせるメンバーで構成されているグループ)があげられる。
<情緒的資本>
エネルギー問題が深刻化してくる今後においては、モノの消費から精神的豊かさを追い求める時代に変化していく(していかざるを得ない)。そうなると、際限ない消費に終始する生活を脱却し、情熱をもって何かを生み出す生活に転換していく必要がある。
漫然と生きていくだけでは、冒頭に記載したテクノロジーの進歩により、いつでもどこでも無理矢理に社会と繋げられ、気の休まらない時代が到来する。
自分の価値観をきちんと理解し、何を優先すべきかを明確にし、それに沿った人生設計をすることが重要である。このプロセスでは選択が求められるため、ジレンマが生じることも往々にしてあるが、それを乗り越えて納得のいく選択を行うことが必要となる。
なお、これは人生全般レベルに限らず、仕事においても同様であり、自分の価値観を確立(もしくは明確に認識)し、情熱を注げる仕事に打ち込むことが人生を充実させるうえで不可欠である。 -
Life Shiftに続き、同書も読了。
時間に追われない未来を作るため、3つのシフトを提言。
(1)専門技能、(2)人間関係、(3)所得・消費を中心とした生活とは違う、自分なりの価値観をもち豊かな人生をもつ、
というもの。
自分があと数年後に今の会社のもっと上の方に行ったとした時に、どういうマネジメントが求められるのだろうか、と考えて読んでいたら、最後の最後に「経営者への手紙」があり、心構えが説かれていた。
テクノロジーやグローバル化の影響を冷静に受け止め、そこから起こる変化を柔軟に受け入れる度量が必要だと思われる。 -
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仕事の仕方 -
ロンドンビジネススクールの教授を務め、英タイムズ紙が選ぶ「世界のトップビジネス思想家15人」のひとりに選ばれた著者が、2025年の世界の様相を予測し、そこに向けた働き方の転換を提案した一冊。
未来予測本は最近のトレンドだが、本書はその予測から未来の働き方を提案しているところが他とは一線を画すところ。
2025年には、テクノロジーの進化とグローバル化の進展により途上国と先進国の差は相対的に小さくなり、特にイノベーションを担うような職種では増々競争が激しくなる。
そんな社会で必要なのは以下の3つの働き方を「シフト」すること。
・第一のシフト:ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ
・第二のシフト:孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ
・第三のシフト:大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ
第一のシフトは、テクノロジーの進化が増々早くなる未来では、異なる専門的な技能を連続的に習得する必要があるということ。
第2のシフトは、能力に秀でた個人がイノベーションを起こすのではなく、専門技能が異なる人達がチームを組んでイノベーションを起こす必要があるということ。
第三のシフトは、エネルギー問題が深刻化する未来では従来型の大量消費社会は無理があり、またよりイノベーティブな仕事をするためには自分がその仕事を心底好きで情熱を傾けられる対象であることが必要であるということ。
また、著者は、自分が本当に望む働き方を深く内省し、意図をもって職業生活を送り、自分がした選択に責任をもつことが重要だと説く。
正直いって、本書に書かれた未来の働き方を実践するのは、非常にハードルが高い。
しかし、自分がどういう生活(仕事にしろプライベートにしろ)を送りたいか、人生に何を求めるかは、しっかりと考えたい。
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・ピラミッド型の組織と交換可能なゼネラリスト的技能に代わって、水平型のコラボレーションと磨き上げられたスペシャリスト的技能が復活しようとしている。
・あまりに多忙な日々を送るようになると、一つのものごとに集中して取り組むことが難しくなり、じっくり観察して学習する能力がそこなわれる。また、仕事の世界に気まぐれや遊びの要素が入り込む余地も奪われてしまう。
・イノベーションは、特定のグループなり、企業なり、政府なりが単独でおこなうものえではなく、コラボレーション的・ソーシャル(社交)的性格が強くなり、多くの人の努力が積み重なって実現するものになる。
・未来の世界でニーズが高まりそうなジャンルと職種を選び、浅い知識や技能ではなく、高度な専門知識と技能を身につける。その後も必要に応じて、ほかの分野の専門知識と技能の習得を続ける。
・要するに、未来の正解で成功を納めたければ、高度な専門知技能と知識を身につけるべきなのだ。そのためには、まず未来にどういう技能と知識が価値をもつかを見極める必要がある。そのうえ、リスクを回避するために、複数の専門分野に習熟しなくてはならない。ひとことで言えば、連続スペシャリストになることが不可欠なのである。
・働き方の未来を形づくる五つの要因の影響が本格化するにつれてとくに重要性を増す専門技能としては、生命科学・健康関連、再生エネルギー関連、創造性・イノベーション関連、コーチング・ケア関連の四つが挙げられる。
・どこで生活し、どういうコミュニティの一員になるかが、これまで以上に大きな意味をもつようになるのである。
・自分のやっていることに胸躍らせ、学習と訓練につきものの苦労を楽しみ、手ごわい課題に挑むことにやりがいを感じてはじめて、私たちは本当に高度な専門技能を習得できる。
・世界中の人々が能力を築くチャンスを手にする結果、労働市場の競争が激しくなるので、自分の能力を証明する必要性が高まるのだ。
・しかしこれからは、高度な専門技能を習得し、そのうえで多くの人と結びつかなければ成功できない。知的資本と人間関係資本を組み合わせ必要があるのだ。
・友人関係は自然に生まれるものではなく、エネルギーと時間を意識的につぎ込まなければ成り立たないこと。活力源となる友人関係の核をなすのが関心と価値観の共有であること。
・私が働くのは、充実した経験をするため。それが私の幸せの土台だ。
・主体的な選択をおこなうためには、これまでより深く内省し、自分の選択がもたらす結果を受け入れる覚悟が必要だ。
・私たち一人ひとりにとっての課題は、明確な意図をもって職業生活を送ることが。自分がどういう人間なのか、人生でなにを大切にしたいのかをはっきり意識し、自分の前にある選択肢と、それぞれの道を選んだ場合に持っている結果について、深く理解しなくてはならない。
・「普通」でありたいと思うのではなく、ほかの人とは違う一人の個人として自分の生き方に責任をもち、自分を確立していく覚悟が必要だ。
著者プロフィール
リンダ・グラットンの作品





