ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図“2025”
- プレジデント社 (2012年7月31日発売)


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本 ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784833420167
感想・レビュー・書評
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2012年出版時に2025年という近い未来の働き方のシフトを警鐘する内容が大方間違っていないと感じた。ネットワークの広がりが世界じゅうの人々をより身近に感じ、社会・生活がよりボーダレスで多様性に富んでいる一方で、国境、宗教、文化の相違を相容れない「分断」の社会がここまでになろうとは予想されなかったように思う。生産性の向上と効率化・機械化の傍らで孤独や、受容の耐性の低さが個人だけではなく、国や地域にも同様なことが起こっているように思う。そんな世界で物の所有や物理的な富から「幸せ」、「再生」に生きる糧を見出すための働きかたのシフトについては著者の意見に納得できるものばかりであった。自分自身としては、自分の枠を超えた人とのつながり、ネットワークを構築していきながら如何にして自分を売り込んでいくこと、より高い専門技能をいくつか持ち合わせていくことに難しさを感じた。
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大学のゼミの課題図書。
いくつかのペルソナが登場し、そこに筆者の未来予想図を投影していく構図なので、読み易い。
本書発売が2012年で、当時から13年先の2025年を未来予想しているわけだが、相当的中しているなと思う。勿論コロナは想定外だったはずだが、筆者は当時からコロナの出現に関わらず、オンラインでの授業、ビジネスが活性化することを予知していた。
ゼミで読んでいた当時は、既に少子高齢化、グローバル化と言った波の中にいたので、10年先もそれの延長だよなぁ…と思っていたけれど、社会人になって改めてこの本を手に取ると、もっと個としての能力を鍛えつつ、ライフワークバランスを意識した効率的な働き方をしていく必要があるなと、より強く意識させられる。 -
3つのシフトで自分の価値観に合った働き方を実現する。
世の中は大きく変化しており過去の常識、固定観念は全く通用しなくなっている。
昔は新卒で入社し、60歳までがむしゃらに働き、社内での昇進、昇給を横一線で目指すのが当たり前でそれで幸せな人も多かった。これからは、100歳まで生きる人が増え、70、80歳まで働く人も増える中で、多様な働き方が受け入れられるのはごく自然なこと、60歳からのセカンドライフを目標にするのではなく、仕事で心が満たされて、人それぞれのライフスタイルに合わせて働けるようにしていく。 -
リンダ・グラットンが長寿化社会、日本へ語る。一人ひとりが「社会の開拓者」になるために | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/41088/1/1/1
働き方はどう変わる? リンダ・グラットン著「ワーク・シフト」書評|@人事ONLINE
https://at-jinji.jp/blog/10486/
『ワーク・シフト』著者、リンダ・グラットン教授に聞く「なぜ私たちは漠然と未来を迎えるべきではないのか」(上) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://www.google.co.jp/amp/s/president.jp/articles/amp/7240%3fpage=1
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多くの人に勧めたい良著。非常に面白かった。
グローバル化、技術革新、環境問題、高齢化、等々の急速な変化により、仕事・働き方がどのように変わるのか、分析した本。
これら変化のメリット、デメリットが色濃く反映された、具体的な未来のシナリオ(仮想)がいくつか描かれている。そして、これから変化に対応するため、変化をチャンスに変えるため、どう行動すべきか、述べられている。
未来のシナリオは、ある意味、かなり恐ろしいけど、避けては通れない。「それなら、精一杯、楽しもう。変化をアドバンテージにしよう。」という著者のメッセージ。
考えさせられる。自分としっかり向き合ってみようと思える。 -
大量消費・給料のモノサシから、情熱を傾けられる経験へシフトする。非常に共感。
選択的認知か、似た論調をみんな最近の著書で見かける。本田直之、酒井穣、小倉広、西村佳哲、、など。
13年後、遠いようで近いのか、今からは想像もできないようなことは書かれていない。それだけにリアル。 -
これからのキャリアを考えるにあたって、どのような潮流があるかを知ろうと思い拝読。本書では大きく3つの”シフト”をしていかなければならないと述べられている。
1.ゼネラリスト的な技能を尊ぶ常識を問い直すべきである。
2.職業生活とキャリアを成功させる土台が個人主義と競争原理であるという常識を問い直すべきである。
3.どういう職業人生が幸せかという常識を問い直すべきである。
なぜ、このような”シフト”が求められるかは、未来を形づくる以下の要因によるものである。
1.テクノロジーの進化(主にインターネット・デジタルの進化)
2.グローバル化の進展(人口バランス、貧富格差の問題)
3.人口構成の変化と長寿化(労働人口構成の変化)
4.社会の変化(ワークライブバランス意識の向上)
5.エネルギー・環境問題の深刻化(エネルギーの枯渇と持続可能性)
本書では、こういった変化に伴う世界の未来がストーリー仕立てで描かれている。
2部・3部ではそれぞれ最悪の未来と望ましい未来の予測が述べられた後で、4部にて働き方のシフトが述べられている。
特に考えさせられたのが、この4部の内容である。
仕事の世界で求められる3つの資本がある。知的資本(=知識と知的思考力)・人間関係資本(=人的ネットワークの強さと幅広さ)・情緒的資本(=自分自身について理解し、自分の子なう選択について深く考える能力・勇気ある行動をとるために欠かせない強靭な精神をはぐくむ能力)である。これらの資本に関連して、冒頭で書いた3つのシフトが対応する。
<知的資本>
グローバル化が起こると、相当熟達した人材を適時に登用することも不可能ではなくなるため、たとえ幅広いものであったとしてもある程度の知識・経験では、歯が立たない時代がやってくる。そうなったとき、いくつかの専門技能を連続的に習得していく能力が求められてくる。合わせて、この能力を外部に押し出していくためにセルフマーケティングの能力も求められるである。
また、漫然と専門性を身に着けようとするのではなく、未来においてどういったスキルのニーズが高まるかも想像したうえで、その技能型の技能より高い価値を持つというのはどういう場合かを考えることが大切である。要は、①その技能が価値を生み出すことが広く理解されているか、②その技能の持ち主が少なく技能に対する需要が供給を上回っているか、③その技能が他の人に模倣されにくく機械によっても代用されにくいかを考えることが重要である。なお、そのうえで自分の好きなこと(仕事と遊びの境界線をあいまいにしても苦でないこと)を選ぶことも欠かせない(得意×好き=本当にやりたいこと、というのは『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』を参照)。
このシフトで特に気になったポイントは、「カリヨンツリー型のキャリア」というものである。これは、仕事に打ち込む期間と余暇や専門性向上のための期間を明確に区切りながら、キャリアを形成していく方法である。上記のように際立った専門性が求められる時代においては、まとまった時間が必要であるため、このような働き方が主流になってくれると自分としてもうれしい。
<人間関係資本>
日本でいえば、高度経済成長期のように孤独に競争しあうことで自然にパイが拡大していったような時代もあったが、今後はこのような状況を前提にするとうまくいかないことが増えてくると予想される。では、今後はどのようにすればいいかというと、ほかの人たちとつながりあってイノベーションを成し遂げることを目指す姿勢にしていくべきということになる。このことはある意味で、『人口減少社会のデザイン』で述べられていたことと通底するところがある。
そのために必要なコミュニティとして、①ポッセ(=声をかければすぐ力になってくれる面々の集まりで、比較的少人数のグループ)、②ビッグアイデア・クラウド(=自分の人的ネットワークの外延部にいる人たちで構成されており、比較的大規模なグループ)、③自己再生のコミュニティ(=現実の世界で頻繁に会い、プライベートでくつろげる時間を過ごせるメンバーで構成されているグループ)があげられる。
<情緒的資本>
エネルギー問題が深刻化してくる今後においては、モノの消費から精神的豊かさを追い求める時代に変化していく(していかざるを得ない)。そうなると、際限ない消費に終始する生活を脱却し、情熱をもって何かを生み出す生活に転換していく必要がある。
漫然と生きていくだけでは、冒頭に記載したテクノロジーの進歩により、いつでもどこでも無理矢理に社会と繋げられ、気の休まらない時代が到来する。
自分の価値観をきちんと理解し、何を優先すべきかを明確にし、それに沿った人生設計をすることが重要である。このプロセスでは選択が求められるため、ジレンマが生じることも往々にしてあるが、それを乗り越えて納得のいく選択を行うことが必要となる。
なお、これは人生全般レベルに限らず、仕事においても同様であり、自分の価値観を確立(もしくは明確に認識)し、情熱を注げる仕事に打ち込むことが人生を充実させるうえで不可欠である。 -
[概要]
・ネットワーク時代の
働き方改革のやり方
[感想]
・「漫然と迎える未来」
「主体的に築く未来」
の言葉にハッとする。
・年を取って、
変化を恐れる自分との
葛藤をどう克服する?
・分野違いの人脈の大切さ。
→出会いを求め続けよう。
・"ゼネラリストから連続スペシャリストへ"
わたしはスペシャリストだが、
「連続」が不足している。
一生、自己研鑽が必要。
[総評]
◎自分の今の職業人としての立場
を見つめ直す著書。
著者プロフィール
リンダ・グラットンの作品





